
昭和町議会と山梨学院大学ローカル・ガバナンス研究センターは7月17日、昭和町地域交流センターにおいて議会活動報告会を開催した。昭和町議会では、「学ぶ議会」「行動する議会」「改革・革新する議会」を目標に掲げ、議会改革の一環として平成20年5月22日に全国初となる連携協定を山学大ローカル・ ガバナンス研究センターと締結した。これまでに、山学大は政治学や行政学を専門とする教授陣による議員研修や議員と学生とのワークショップ、学生による模擬議会、町民アンケートなどを実施しており、議会と大学研究機関との有機的な結びつきを実現している。この日は、住民や議会関係者、学生などおよそ200名が参加し 、山学大陸上競技部の上田誠仁監督による講演や、議会改革に関するシンポジウムが行われた。シンポジウムでは、議員が連携後の議会改革の内容や具体例などを提示し、これまでの議会活動を直接住民に報告し、学生からも調査・研究の分析結果の報告や政策提言があり、参加者らと共に議会改革に関する議論を深めた。
議会活動報告会は2部構成で行われ、開会に際し、来賓の
角野幹男昭和町長が議会改革の成果に触れ、今後についても「町政と議会は車の両輪の関係であり、議会とは適度な緊張関係を持ち、小さくても豊かな街づくりを推進していきたい」と挨拶した。第1部では、山梨学院大陸上競技部の
上田誠仁監督が「遥かなる夢にむかって限りなき挑戦」と題し講演を行い、参加した200人の聴衆は、箱根駅伝総合優勝3回、準優勝5回の名将の話に耳を傾けた。上田監督は、26年の監督人生を振り返り、箱根駅伝初出場の秘話や座右の銘「疾風知勁草」から選手育成の苦悩や指導方針について、時にユーモアを交えて紹介した。結びとして「結果を求めてやるには、本気で取り組まなければいけない。駅伝・チーム・組織・自分自身の在り方に必要なのは「信頼」と「絆」である」と語り、夢に向かって挑戦することの難しさや大切さを説いた。
第2部では、シンポジウム「大学と連携、議会改革を推進〜2年を振り返る〜」がローカル・ガバナンス研究センター長の
江藤俊昭法学部教授のコーディネートで行われ、昭和町議会議員3名と学生2名がパネラーとなり、議会改革について議論を深めた。昭和町議会は「学ぶ議会」「行動する議会」「変革・改革する議会」をテーマに議会改革を進めており、ローカル・ガバナンス研究センターとの連携以降、有機的な結び つきを実現し、多くの成果を挙げてきた。はじめに、
昭和町議会・浅川武男議長が連携に至る経緯や議会改革の内容を報告した。(以下、報告要旨)
「学ぶ議会」
山学大の教授陣による住民自治や地域福祉、環境政策などに関する議員研修会を実施し、議員と学生とによるワークショップも行った。平成20年9月には若い感性を取り入れるため、昭和町議会議場において、学生模擬議会を開催。
「行動する議会」
地域行事などの住民活動へ積極的に参加し、地域住民と議員の対話集会「井戸端会議」を各地区で実施した。また、街頭パトロールを行い、街灯の設置状況や危険箇所の点検に努めた。
「変革・改革する議会」
現行制度の点検・見直し・改善を実施した。学生模擬議会で行った一問一答方式が傍聴人には分かりやすいということで、平成21年3月議会より一問一答方式に移行。情報公開の観点から、議会広報の充実に努め、全国議会広報コンクールの第2位をはじめ、数々の賞を受賞。
続いて、
昭和町議会・萩原馨副議長が「行動する議会」の「井戸端会議」についての詳細な概要説明を行い、住民と直接議論を交えることの意義を報告した。その後、山梨学院大学法学部政治行政学科の学生2名の調査研究・政策提言に関する報告を行った。江藤ゼミに所属する
加藤聡さん(4年)は住民アンケートの結果を報告し、議会改革について「議会は討論する場であり、議員が一方的に質問するのではなく、反問権や議員同士の自由討議も必要である」と述べた。また、竹端ゼミで「男性の育児参加」について研究している
佐野朋之さん(3年)は、昭和町内でのアンケート調査や議員とのワークショップをもとに「行政の中で男性の育児休業の認知度をあげ、育児休業取得を推進していく必要がある。行政の取り組みを昭和町内の企業にも広く紹介し、町全体の男性の育児休業取得に向上につなげてはどうか」と政策提言した。また 、議会全体に関連し、
三井猛議員が昭和町議会基本条例について報告し、議会と町民との関係、議会と町長との関係を詳説した。最後に江藤教授のコーディネートにより、ディスカッションが行われ、フロアが開かれると多くの町民や議会関係者から質問や意見などがあがり、一定の成果を挙げ議会報告会は閉会した。(Y.Y)
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