第92回全国高等学校野球選手権山梨大会(第9日)は18日、小瀬球場で3回戦3試合を行った。第3試合は連覇を狙う山梨学院と打撃好調の巨摩の試合が行われた。山梨学院は、2回戦で好投したエース右腕・中村太星(2年・山梨都留シ)を抜擢。1回表、エース・中村は一死一塁から3番打者に右前安打、4番打者に左前適時打を許し、先制点を奪われた。山梨学院は、その1回裏。1番主将・松浦航平(3年・青葉緑東)が相手エース右腕の投球に食らい付く粘りをみせ12球目の「甘くなった外の真ん中」を右前へ三塁打。続く2番・鈴木悠介(3年・青葉緑東)が「インコース真ん中のストレート」を左中間へ適時二塁打し同点とした。3回裏には、1番主将・松浦が内野失策で出塁、犠打で一死二塁。3番・山田凌(3年・八王子シ)の左前安打で一死三塁とした。続く4番・小林夏樹(3年・長野北シ)は、0-2からの「インコース真ん中ストレート」をフルスイング。打球は打った瞬間本塁打と分かる、夏空に千金の3ランホームランで4対1と勝ち越し勝負を決めた。投げてはエース・中村は立ち上がりこそ不安定だったが、2回以降は低めに良くコントロールされ、5回表に2安打を許すものの、9回表まで3人ずつで打ち取る6安打1四球4三振1失点の好投で、5対1と試合を締めくくった。準々決勝進出を決めた山梨学院は、21日(第10日)小瀬球場の第2試合(13時)で準決勝を賭けて、明日行われる駿台甲府高校と日大明誠高校の勝者と戦う。
☆第92回全国高等学校野球選手権山梨大会(第9日) 於 小瀬球場
巨 摩 |
1 |
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0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
山梨学院 |
1 |
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3 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
× |
5 |
[山梨学院]
投手:中村(9回、103球、6安打、1四死球、4三振)
捕手:相馬
本塁打 小林(夏) 三塁打 松浦 二塁打 鈴木(悠)
[巨 摩]
投手:市川(7回2/3、114球、11安打、1本塁打、2犠飛、1三振)
投手:比嘉(1/3、1球)
□梅雨明けした小瀬球場は灼熱の太陽が容赦なく照りつけている。第3試合は両校、全校応援となった。連覇を目指す山梨学院と1回戦14安打、2回戦7回コールド15安打と打撃好調の巨摩高校との対戦となった。山梨学院の須田喜照監督はバッテリーに前回(2回戦)同様、コントロールが良く安定感のあるエース右腕・中村太星(2年・山梨都留シ)と中村が全幅の信頼を置く捕手・相馬彰吾(3年・猿橋中)を抜擢した。
□後攻めの山梨学院は1回表、エース・中村は1番打者に1-0から中前安打され、2番左打者の0-1からの2球目のとき「一塁手の『走った』という声が聞こえたので、外角高めに投げ込んだ」。それを捕手・相馬が素早く二塁へ送球し走塁を阻止した。しかし、エース・中村は2番打者をストレートの四球で歩かせ一死一塁とし、3番打者に右前安打、4番打者に左前適時打を許し、先制点を奪われた。さらに5番打者には初球を中前安打され一死満塁のピンチ。エース・中村は「満塁になったら『守りやすくなった』と、思ったら落ち着けた」と、応援団とは裏腹に落ち着いて6番打者を遊ゴロに打ち取り、6-4-3の併殺とし、4安打されながらも最少得点で切り抜けた。
□1回裏、2回戦で先頭打者で初球本塁打を含む4打数3安打3打点の主将・松浦航平(3年・青葉緑東)は相手エース右腕の投球に食らい付く粘りをみせ、12球目の「甘くなった外の真ん中」を右前へ三塁打。続く2番・鈴木悠介(3年・青葉緑東)は0-1から3球ファールで粘り、甘くなった「インコース真ん中のストレート」を、左中間へ適時二塁打し同点とした。
□エース・中村は「相馬(捕手)さんと『真っ直ぐを狙われている。2回目以降は、初球の入りと投球テンポをかえよう』と話し合った」と、2回表、3回表と三振を含む凡退に3人ずつで打ち取る好投。
□3回裏、1番主将・松浦の相手内野失策を足がかりに、2番・鈴木の犠打で一死二塁。3番・山田凌(3年・八王子シ)の左前安打で一死三塁。ここで4番・小林夏樹(3年・長野北シ)が0-2からの「インコース真ん中ストレート」をフルスイング。打球は打った瞬間に本塁打と分かる、夏空に千金の3ランホームランで4対1と勝ち越した。
□エース・中村は5回表に2安打を許すものの、8回表まで3人ずつで打ち取る好投。
□8回裏の一死後、5番・田口蒔人(2年・青葉緑東)が1-0から左前安打。2死後、3打数1安打の7番・花澤冴俊(3年・千葉市シ)への代打・小林義弘(1年・千葉市シ)が「バッティング投手をしてくれる中村のために打ちたい。チャンスがあれば初球から積極的に行きたい」と初球を中前に運ぶ。一塁走者・田口が一気に三塁への好走塁をみせると、中堅手が三塁へ悪送球、それを見て小林が二塁を陥れると、三塁のカバーに入っていた選手が二塁へ悪送球、これを見た田口が生還し5対1とした。
□9回表のエース・中村は、3番打者を遊飛に、4番打者を捕飛に、5番を右飛に打ち取り、2回以降はエースらしく2安打無四球無得点と試合を締めくくった。
■同点打を叩きだした鈴木悠介(3年・青葉緑東)は「松浦がスリーベースヒットで三塁にいたので、外野フライを打とうと、思い切って振ることだけを考えて打席に入った。打った球が左中間に抜けて良かった。この大会に入ってから打撃は上向き。少し遅い球を芯で打つ練習が実を結んだと思う。次の試合でもチームのために活躍したい」と、笑顔で述べた。
■2回以降、見違えるように好投した中村太星(2年・山梨都留シ)は「1回表は相手がタイミングがあっていたので、初球の入りやテンポを変えるために、また球の切れを良くするために大きく足を上げた。2回から9回で2安打無四球に抑えられたのは、自信になった」と、微笑みを浮かべ大きく頷いていた。
■3回裏、起死回生の3ランホームランを放った小林夏樹(3年・長野北シ)は「一本でて気持ちが楽になった。打席で頭が動いて、前に突っ込んでいたので、頭が残るように心掛けた。巨摩が深く守っているので前に落とそうと、クリーンヒット若しくは2ベースヒットを狙っていた。『インコース真ん中のストレート』がきたので振り抜いた。弾道が低かったのでホームランになるとは思わなかったが、入って良かった。まだ頭が前に突っ込むので次の試合までには修正したい」と、待望の一発が出て安堵した面持ちで述べた。
■主将の松浦航平(3年・青葉緑東)は「初回に太星が固くなって連打され先取点を奪われたが、一死満塁では落ち着いて、併殺で切り抜けられたので良かった。その裏に同点に出来て、2回以降は太星が自分のリズムを取り戻し好投してくれて、攻撃にもリズムが出て得点できたので良かった。次からはさらに厳しい試合となる。野球部全員が一丸となり戦って行きたい」と、力強く語った。
■須田喜照監督は「これが、夏の大会だ」と振り返った。「中村は初回、どうなるかと思った。大会期間中はフォームを弄れないし、自分で修正してくれるしか方法がなかったので頭を抱えた」。「2回以降、中村が自ら修正してきたので安心した。本人は大変自信になったと思う」と、目を細めた。攻撃は「巨摩のバッテリーは良いので、粘って粘って甘い球を打とうと、選手に言い聞かせておいた。1回裏に松浦、鈴木が実践してくれた」。また、「小林は狙っていた。4番は、ここという時に一振りしてくれれば良い。4打数1安打で良いんですよ」と、4番の一振りを絶賛した。「他の選手も、強いゴロを打っていたし打撃陣も心配ない。次の試合に必ず繋がると思う」。「うちに余裕なんかない、一戦一戦勝つしかない」と、球場を後にした。(H.K)
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