山梨学院パブリシティセンター
●日本学生選手権競泳競技 最終日
〜山学大女子2年連続の大学日本一に輝く〜
〜チーム全員の心を一つにして栄冠再び〜

第86回日本学生選手権水泳競技大会(インカレ)競泳競技は最終日の5日、男女7種目の決勝が行われた。山梨学院大学水泳部は3日目も出場全選手が健闘した。女子400m個人メドレーの坂井菜穂子と200m平泳ぎの鈴木聡美の2人が準優勝で表彰台に上がった他、100m自由形の山岸奈央が4位、800m自由形の野中瑞姫が5位、男子400m個人メドレーの山崎智史が5位、1500mの須藤勝也が7位、200m平泳ぎの大須武が8位に入った。そして、出場できずに応援にまわった者、マネージャーとしてチームを支えた者、全員がこころを一つにして積み上げた得点合計は、女子314点、日体大・中京大との激しい優勝戦いを制し、困難と思われた大学日本一に再び輝いた。男子は初日16位と出遅れたが、2日間で8レースも泳いだ山崎智史を中心に挽回、昨年と同じ12位を確保した。
坂井菜穂子集大成のラストスイム準優勝(女子400m個人メドレー決勝)
この種目1・2年連覇、3年準優勝の主将坂井菜穂子(4年 東京立正)は、大会終了とともに競技生活から引退する。決して調子は良くなかったが、最後のレースに坂井は、心の炎を燃やした。最初はバタフライ、両手を鳥の翼のように広げる坂井独特の大きなストロークでトップに躍り出る。背泳ぎを終えた200m通過タイムは大会記録を上回る2分16秒07だった。平泳ぎはやや苦手、優勝した末永京香(中京大)にかわされ2位に、最後のクロールで懸命に詰め寄ったが2年連続の準優勝となった。坂井菜穂子主将は「合宿練習でも調子が上がってこなくて、そのまま大会に入りました。2個メは駄目だったし、リレーでも足を引っ張ってしまった。今日は最後だという思いでレースに集中しました。皆の声援がすごくよく聞こえて来て励まされました。チームとしては後輩がいい結果を出してくれて連覇。心を一つにして達成できたことが何よりも嬉しいです」受け取った優勝カップの奥野杯を笑顔で山学応援席に向けた。

鈴木聡美チーム優勝を決めた準優勝(200m平泳ぎ決勝)
100mを2連覇で制した鈴木聡美(2年 九産大九州)が個人種目最終レースの200m平泳ぎに再び登場した。パンパシ大会から帰国した直後の大会、リレーと合わせて6本目のレース、疲労は極限に達していたがチームの勝利のために気力で泳いだ。200mのスペシャリスト金藤理絵(東海大)には及ばなかったが2位でゴール、得点17点を獲得した。この瞬間に2位日体大との差が41点となり、最後の800mリレーを待たずに山学大の2連覇が確定した。ライバルの金藤理絵は4年生、この大会を最後にインカレを卒業する。鈴木はレース後、金藤に歩み寄り握手を求め「ありがとうございました」と頭を下げていた。鈴木聡美選手は「200mは2番だったけれど、自分の今出せる力は発揮できました。チームに貢献できて良かったです。ハードスケジュールの中で自己ベストに近いタイムが出せたことは、出場することになったアジア大会につながると思います、次のステップに進もうと思います」と振り返った。

3日目決勝進出入賞選手の感想
100m自由形4位の山岸奈央選手(2年 春日部共栄)「予選4位通過だったけど、上位3人とは大差があった。昨日の200m4位の時は表彰台を逃した悔し涙が止まらなかったけど、今日はやっとの4位涙は出ませんでした。チームに貢献できてよかった」。800m自由形5位の野中瑞姫選手(2年 佐賀学園)「決勝の8人中7人は800mリレー予選を泳いだばかり、疲れは言い訳に出来ない。前半を怖がって泳いで、肝心の後半を伸ばすことが出来なかった。予選(3位)よりタイムも順位も落としたので悔しい、リレーで挽回します」。男子400m個人メドレー5位の山崎智史選手(4年 山梨学院高)「最後なので格好良く終わりたかった。200mでは8位だったが、平泳ぎで5位に上がり最後のクロールは全力を出し切って泳ぎました。予選(7位)より順位を上げることが出来た、完全燃焼しました」。1500m自由形7位の須藤勝也選手(2年 東京立正)「全国大会の決勝は生まれて初めて、入場する時からテレビカメラに撮られる大舞台の決勝、もの凄く緊張しました。緊張がタイムに出ましたが素晴らしい経験をしました。山学大に入り、周りの先輩の練習に取り組む姿勢を見て、自分も努力しなければいけないという気持ちになりました。あと2回インカレに出れる、この経験をステップにします」。200m平泳ぎ8位の大須武選手(4年 鹿屋工)「朝起きた時から体は重かったが、4年最後のインカレ、何としてもの思いで予選に臨み(自己ベストを出して)遂に決勝の舞台に立つことが出来た。集大成の泳ぎが出来たので悔いはないです。4年目にやっと納得のいく大会になりました」。女子800mリレー6位のメンバー秋山夏希選手(1年 山梨英和)「大学に入り初めての経験ばかり、先輩の皆さんが一生懸命私のタイムやフォームをチェックして支えてくれたり、大勢の強い仲間と一緒に練習する環境になりました。インカレでリレーに出させて頂き、すごく楽しかった。チームに貢献できるように、自分を一歩一歩成長させていこうと思います」。

山学カルテット・ラストスイム(男子800mリレー)
800mリレー山学大男子の4人は、第1泳者池田慶太(4年 淑徳巣鴨)、2泳武田晃則(4年 九産大九州)、3泳高山裕司(4年 津田学園)、アンカー山崎智史(4年 山梨学院高)、全員が4年生。4人は2年の時から同じメンバーで800mリレーに挑み続けて来た。初めてカルテットを組んだ2年の時に、山学男子史上初のリレー決勝進出の夢を実現させた。3年の時も夢を実現させた。そして、今年は関東大会で2007年以来3年ぶりの優勝を奪還してインカレに臨んだ。午前中に行われた予選の順位は11位、カルテットの最終ステージはB決勝の舞台となった。結果は7分31秒83、B決勝3位で最後の演奏を終えた。2月に肩板損傷と診断され、絶望の淵から這い上がって来た池田慶太は涙が止まらなかった「このメンバーとこの舞台に立ちたくてリハビリに励んだ。両親と支えてくれたみんなに感謝したい」。武田晃則は「自分の中では、今シーズンは人生で最も調子の悪い年、皆の足を引っ張らないように必死だった」。高山裕司は「今年はB決だったが、大観衆と仲間の大声援の中で泳ぐという、震えあがるような体験を3回も経験した。同期のメンバーに恵まれて最高のインカレだった」。山崎智史は「本当の最後のレース、あとは何もないので自分の力を全部出した。1年の時からずっと一緒に練習して来た仲間と最後まで一緒に泳げて本当に良かった」。山学男子は、日本一の女子のようには強くない。シード校にもなれないが、それでも全国12位のチームに育ってきた。後輩たちは黙々と泳ぎ込んで道を切り開いた先輩のあとを追う。青春の全てを水泳に奉げてトレーニングに励み、山学男子史上最高の演奏をした4人は、それぞれの思いを胸に最後のステージを降りた。

山学チームは、全員がその胸に"こころはひとつ"と書かれたワッペンを付けていた。これは、坂井菜穂子主将・川端彩加・竹迫麻弥・山崎愛の4人の4年生が、チームの勝利を願い1ヶ月かけて手縫いで全員の分を作ったお守り。そして、山学チームの席には、昨年度の主将山崎ゆかさんや亀崎あゆみさんら昨年の優勝メンバーが駆けつけ、一緒にメガホンを持ち声援を送り続けた。先輩も後輩も誰もが、心を一つにしてつかみとった2連覇だった。
すべての競技を終えた午後6時半過ぎ、フィナーレの表彰式が行われた。男子の優勝は、初優勝の中京大、大会86年目に初めて天皇杯が箱根の山を越えた。女子の優勝は、大会2連覇の山学大、女子優勝チームに贈られる奥野杯が坂井菜穂子主将の手に再び戻された。そして、V2タオルを用意してこの瞬間を待ち焦がれていた山学チームに歓喜の時が訪れた。"We are Champions 2"、女子も男子も、選手もマネージャーも、1年も2年も3年も4年も、誰もが皆これ以上ない笑顔をカメラに向けて喜びを爆発させた。

神田忠彦監督は「正直な所、連覇は難しいと思っていました。日体大、中京大との三つ巴の戦いとなり、最後までどうなるか分かりませんでした。取りこぼしもありましたが、昨年ふるわなかった子が皆活躍してくれて難しい戦いを良く乗り越えてくれました。男子も全体としてよくやった。特に、これで引退する4年生にはありがとうと言いたい、よく頑張ってくれた]と2010夏の最終章〜すべてはこの日のために〜学生日本一決定戦を振り返った。 (M.I)

最終成績
女子ベスト5
1位 山学大 314点、2位 日体大 289点、3位中京大 267.5点、4位 近畿大 218点、5位 早稲田大 194点、
男子ベスト5
1位 中京大 369.5点、2位 中大 346.5点、3位法政大335点、4位 日大 282点、5位 早稲田大 265.5点、(12位 山学大 72点)

山梨学院大勢の主な成績

成績

種目

名前

学年

自己記録

大会記録

備考

優勝

100m平泳ぎ

鈴木聡美

2年

1:06.32

1:07.43

 2連覇

優勝

400mメドリレ

下中・鈴木・中坊・前原

 

4;04.73

4:07.96

 

2位

200mバタ

秋山夏希

1年

2;06.62

2:09.53

 

2位

400m個人メ

坂井菜穂子

4年

4:40.40

4;46.38

 

2位

200m平泳ぎ

鈴木聡美

2年

2:23.83

2:25.06

 

3位

400m自由形

野中瑞姫

2年

4:.16.03

4:14.33

自己新 県新、

 

 

 

 

 

 

 

4位

50m自由形

下中千明

2年

0:25.87

0:25.91

 

4位

200m自由形

山岸奈央

2年

2:03.03

2:02.52

自己新

4位

200m個人メ

村上優海

2年

2:15.95

2:16.38

 

4位

100m自由形

山岸奈央

2年

0:56.82

0:57.00

 

5位

400mリレ−

山岸・前原・下中・坂井

 

3;47.36

3:48.32

 

5位

400m個人メ

山崎智史

4年

4;19.92

4:22.30

 

6位

50m自由形

前原優理

3年

0:25.83

0:26.02

 

6位

100mバタ

中坊 彩

2年

1:00.46

1:00,35

自己新

6位

200m個人メ

山崎智史

4年

2:02.03

2:02.67

 

6位

女800リレ

秋山・山岸・坂井・野中

 

8:14.75

8;19.16

 

8位

200m平泳ぎ

大須 武

4年

2:13.91

2:15.16

 

B決3位

男800リレ

池田・高山・武田・山崎

4年

7:26.92

7:31.83

 

 


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