
山梨学院大学と特定非営利活動法人大学コンソーシアム山梨・山梨学院生涯学習センターは9月29日、平成22年度県民コミュニティーカレッジ講座・山梨学院大学地域ベース講座を開講させた。この講座は、大学の知的資源を県民に開放して地域社会の発展に貢献しようという山梨県内の大学・短大が協働して取り組んでいる県民向け公開講座。今年度の山梨学院大学地域ベース講座は「『新しい公共』を問う〜市民・行政・政治が協働するガバナンスに向けて〜」というもの、今後の社会の在り方の鍵を握るといわれる「新しい公共」の概念をめぐり、5回にわたり政治学・行政学の専門研究者が解説や問題提起を行う。第1回は法学部長の日高昭夫政治行政学科教授が「自治体の市民協働推進政策の現状と課題〜「新しい公共」をめぐる行政・市民関係の制度化を中心に〜」と題して講義を行った。仕事帰りの社会人と向学心豊かなシルバー世代の41人が、午後7時からの講座に駆けつけ、講師の言葉に熱心に耳を傾けていた。
県民コミュニティーカレッジ講座は、山梨学院大学・山梨学院短大・山梨大学・都留文科大学など山梨県内の11の大学・短大が、それぞれの知的資源を県民に開放し地域社会に貢献する目的で行われる一般県民を対象にした公開講座。共通テーマについて考える広域ベース講座と各大学・短大ごとにテーマを決めて行う地域ベース講座とがある。山梨学院大学の今年度の地域ベース講座は「新しい公共を問う〜市民・行政・政治が協働するガバナンスに向けて〜」が統一テーマ。長い間、「公共」は中央省庁や行政が取り仕切るもの、「市民」には公共を担う責任も資格もないかのように捉える見方が支配的だったが、近年「官イコール公共」とは異なる発想、「新しい公共」という考え方が注目を集めつつある。市民的立場にあるNPOや企業なども政府・行政と協働して公共を支えていこうという考え方。法学部政治行政学科の教授陣が5回にわたり「新しい公共」の概念やあり方について、解説や問題提起を行っていく。
29日の第1回講座で挨拶した
永井健夫山梨学院生涯学習センター長は「日本では、官イコール公共という枠組みが長い間続いて来たが、既存の枠組みでは対処できない問題が増えている、社会運営の枠組みそのものの再検討が求められる時代に入っている」と述べた。第1回講座は法学部長の
日高昭夫政治行政学科教授が担当、「自治体の市民協働推進政策の現状と課題〜「新しい公共」をめぐる行政・市民関係の制度化を中心に〜」と題して講義を行った。日高教授は、自身が2008年に全国1805の市区町村の町内会担当課を対象に実施した調査データなどを基に、行政と市民を結ぶ町内会システムなどの地域協働体制の再編成と課題について持論を展開した。日高教授は「現状における自治体の市民協働推進政策は、『橋本行革』に端を発する『新しい公共』のパターン1(伝統踏襲型)とパターン2(刷新代替型)を融合させたパターン3(伝統と刷新の並立型)及びパターン4(伝統と刷新の統合型)の融合型が今後の推移として最も多く予想される」と話し「融合型の国・地方関係の下での基礎自治体の制度いかんにかかっている。単なるイデオロギーではなく、日本の行政制度にメスを入れないと新しい公共のあり方を議論しても空論になる」と締め括った。
平成22年度県民コミュニティーカレッジ講座・山梨学院大学地域ベース講座は9月29日の第1回を皮切りに、11月24日までの間、隔週水曜午後7時から9時に山梨学院50周年記念館(クリスタルタワー)6階生涯学習センター講義室で行われる。講座の詳しい内容と参加問い合わせは
山梨学院生涯学習センター(M.I)
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