山梨学院パブリシティセンター
●日本学生ショートトラック選手権 1日目
〜中口雪絵が膝の故障を乗り越え500m2連覇〜
〜田中翔太郎は1500m2連覇、女子4連覇へ〜

スケートシーズンが到来。先陣を切り第33回日本学生ショートトラックスピードスケート選手権(インカレ)が10月23日、長野県南牧村帝産アイススケートトレーニングセンターで開幕した。優勝回数男子16回、女子9回を誇る山梨学院大は、女子は4連覇、男子は優勝旗奪還を胸に大会に臨んでいる。初日の山学勢は、女子500mで膝に故障を抱えるスプリンターの中口雪絵が痛みに耐えて優勝を果たした。中口は昨年も500mを制しておりインカレ2連覇を飾った。また、男子のエース田中翔太郎は、初日の1500mで圧倒的な勝負強さで優勝を飾った。田中も昨年に続くこの種目2連覇を達成。昨年の田中は1000mも制しており、明日二日目の1000mで2年連続インカレ2冠の偉業に挑む。初日が終わった段階の女子の順位は、1位山学大、2位立教大、3位阪南大の順。山学大女子は4連覇に向けて最高のスタートを切った。


ショートトラック競技は、アイスホッケー競技・フィギュア競技と同じ30m×60mサイズの室内リンクで行われる。1周111.12mの楕円形のトラックを、500mは4周半、1000mは9周、1500mは13周半、3000mは27週、5000mは45周滑走するコーナーワークが非常に重要な競技。数名(通常4人〜6人)の選手が同時に走り着順で優劣を決める。スタートライン/フィニッシュライン以外には線は引かれず、コーナーの仕切りにそれぞれ7個のブロックが置かれる。コーナー部分の氷が荒れやすいため、リンク内は5つのトラックが1m間隔で設定可能なようにしてこれを順次移動させて競技が行われる。

膝の故障を乗り越えて2連覇達成≪女子500m決勝 中口雪絵≫
リンク4周半で勝負を決める短距離の500mはスタートが命。山学大から中口雪絵(2年 山梨学院高)がただ一人決勝に進んだ。昨年の中口はスタートでポンと飛び出し、そのまま他の追撃を許さずに優勝を遂げた。しかし、今年の中口は膝に故障を抱えての戦いとなった。高校生の頃から少しずつ痛さが増していた膝が今年悲鳴を上げた。診断の結果、完治させるには手術して2年間のリハビリが必要と判明した。中口は、膝と相談しながら騙し騙し無理しないでレースに臨む道を選択した。この日のレースは3コースからのスタート、無理に突っ込まずにバタバタしなかったことが逆に優勝に結び付いた。スタートでトップに立ったのは1コーススタートの吉田麻里絵(慶応大)、中口は3周目まで無理をせずに2位の位置をキープした。残り1周半で猛然とスパートしてトップに立ち、最後は膝がガクガクになったが、懸命に粘り2連覇を達成した。中口雪絵選手は「アウトコースから無理に突っ込むと失格になるルールに変わり、1コースの吉田さんは速い人なのでスタートでは2番手に付けて勝負時を待った。トップに立ってからは、内から抜かれないように気をつけた。膝と相談しながら上手く付き合って行くしかない」2週間前の距離別選手権で銅メダルを取ったことも自信になったと語った。


コーチと決めたプラン通りの滑りで2連覇≪ 男子1500m決勝 田中翔太郎 ≫
リンクを13周半する中距離の1500m。前年度チャンピオンの田中翔太郎(4年 山梨学院高)は3コースからスタートした。1周目で早くもトップに立ったが、残り6周の所でポンと外にはじきだされて5番手に落ちた。残り4周の時に隣の二人が転倒するハプニング、巻き込まれそうになる所をぎりぎり回避した。ここから前を行く2人を猛烈な勢いで追い上げ、残り1周でトップを行く村竹啓恒(神奈川大)との一騎打ちとなった。篠原祐剛コーチが立てたレースプランは、最後の1周は、いつものコースではなく思い切って外に膨らんでスピードをつけ、そのスピードを生かしてカーブの出口で一気に抜き去るプランだった。田中は、そのプラン通りの滑りで逆転劇を演じて見せた。最上級生になり主将を務めるチームリーダーがテクニックを見せつけて2連覇を達成した。明日の1000mも2連覇が懸かっており、主将は2年連続2冠達成の偉業に挑む。田中翔太郎選手は「自分がポイントを稼がなくてはというプレッシャーがあったので、優勝出来てホッとしました。レース途中で5番手まで下がったが、諦めずに食らいついてトップ集団に追いついた。最後はコーチの指示通り滑りのコースを変えて、いい氷が残っている所を選んでスピードをつけて抜いた。大学最後の年、ユニバーシアード大会出場を目標に頑張りたい」エースはラストシーズンに燃えている。

篠原祐剛コーチは「田中は、レース途中で突っ込まれて5番手に下がったが、落ち着いて対応した。徐々に追い上げて残り1周の所で外に膨らんでスピードを上げ、そのスピードを殺さずにインから抜き去る作戦が上手くハマった。中口については、膝の具合が悪いので、一気に先頭に立てたケースと立てなかったケースの2つのパターンを考えてレースに臨んだ。2番手の位置で我慢して、いったんスペースを開けてから一気に抜き去った。最後は足に負担がかかったがよく踏ん張った」と二つの決勝レースを分析した。

この他の女子結果は、1500m植田涼子(3年 富士学苑)4位・新海麻衣(3年 山梨学院高)5位・北村優希(3年 山梨学院高)7位。500m北村優希7位・郷芙璃那(3年 白樺学園)8位。男子の結果は、500m與那誠一(1年 福岡須恵)7位・山田翔太郎(1年 福島石川)18位。1500m吾妻義尚(3年 郡山商)14位。

学校対抗総合成績1日目
女子
1位、山学大 45点。2位、立教大 22点。3位 阪南大、14点。
男子
1位、神奈川大 95点。2位、大阪経済大 67点。3位、山学大 57点。

大会2日目(最終日)の24日は、男・女1000mと男子3000mの予選・決勝、女子3000mリレー決勝・男子5000mリレー決勝が行われる。山学大男子は、活躍が期待された宮崎勇太(2年 熊本文徳)が大会前日の公式練習で膝に大怪我を負い欠場、4人で戦うため優勝は絶望的。一方、女子のインカレ4連覇は、リレーで失格しない限り濃厚と見られる。(M,I)
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