
男子第59回・女子第32回全日本学生ホッケー選手権大会(インカレ)は11月3日、埼玉県飯能市阿須運動公園ホッケー場で男女の決勝戦を行なった。男女揃って決勝に進出した山梨学院大ホッケー部は、男子は立命館大、女子は東海学院大とそれぞれ頂上対決した。男子は前半10分に立命館に先制されたが、前半20分に村田和麻のシュートで同点に追いつき、後半24分の内海好貴のタッチシュートで逆転、粘る立命館大を振り切り2−1で逆転勝ちした。2000年に創部された男子は初のインカレ優勝、悲願の大学日本一を達成した。男子は今年度の日本リーグを制覇しており、これで2冠達成王者となった。一方女子は、前半11分に東海学院大に先制点を奪われ、後半猛反撃で攻め続けたが1点が遠く0−1で敗退した。東海学院大の優勝は共学になる前の東海女子大時代以来8年ぶり、山学大女子の5連覇は成らなかった。
≪男子決勝 山学大vs立命館大≫
14時03分、山学のセンターパスで試合が開始された。山梨学院は開始早々にFW草野大介(2年 天理)がタッチシュートであわやの場面を作るなど、押し気味に試合を進めたが、前半10分に不注意なミスから相手にボールを奪われ、立命のFW福島駿介に先制点を奪われてしまった。しかし、今年の山学男子はリードされても動じない精神力の強さを持っている。前半20分にPC(ペナルティ・コーナー)を得ると、FB久保良太(4年 伊吹)が強烈なシュートを放った。相手GKが弾いたボールを、ゴール前に詰めたMF村田和麻(1年 石動)が押し込み同点として前半を折り返した。
今年の山学大男子は、7人の4年生が週交代で主将を務めるという、日本では前例がないユニークな主将制を採り、最高のチームワークで大躍進して来た。ハーフタイム、寺本祐治監督は大きな声で「チームを信じろ、自分を信じろ、35分間走り切れ!」と檄を飛ばして選手を送り出した。
サイドが変わった後半は、開始早々から一進一退の攻防が激しく続いた。7分に与えた相手PCのピンチ、強烈なシュートをGK山普@元(3年 北海学園)が俊敏に反応しナイスセーブで食い止めた。そして、後半24分に運命を決める時が来た。負傷を押して強行出場したFW北里謙治(3年 小国)がリバースシュート、このボールを相手が体で止め、PCを獲得した。山学のシューターは、4年間チームを牽引して来た大黒柱の久保良太、日本代表を辞退してチームに専念して来た久保は、卒業とともに現役引退することを心に決めている。この場面で、その久保はシュートではなく、パスを選択した。パスは久保とともにチームを引っ張って来た7人の主将の一人MF内海好貴(4年 東白川)に渡った。魂と魂で結ばれた白球がゴールネットを揺らした、遂に2−1と逆転した。残り10分間、立命は懸命に攻めて来た。山学男子はチームを信じ、自分を信じ、35分間懸命に走り切った。15時25分、激闘の試合は山梨学院OCTOBER EAGLESに創部11年目にして歴史の扉を開ける初優勝の感激を与えて幕を閉じた。
第59回男子全日本学生ホッケー選手権大会 決勝
≪山学大vs立命館大≫(11/3) 於飯能市阿須運動公園ホッケー場 |
○ 山梨学院大 2 |
前半 1−1
後半 1−0 |
1 立命館大 ● |
得点 村田和麻・内海好貴(山学) 福島駿介(立命) |
試合終了のホーンが鳴ると同時に山学ベンチの全員が飛び出し、フィールドの11人と体をぶつけあい一塊りになり、人差し指を空に突き上げてV1の雄叫びをあげた。寺本監督と4年生が次々に胴上げされ、山学男子は初優勝の感動に酔いしれた。
今週の
主将大橋優太選手(4年 伊吹)は「王座で悔しい思いをした雪辱を果たすことが出来た。7人の主将だけでなく4年生全員でチームを引っ張り、全員の心を一つにして優勝を勝ち取ることが出来た、感激です」5月に打球が目に当たり、瞳孔が開く負傷を負い戦線を離脱した時もあったリーダーは、その眼を細め、笑顔で汗をぬぐった。最優秀選手賞を受賞した
久保良太選手は「ここに向けて練習をして来ました。去年は決勝で立命に負けたが、今年は立命に勝つためにはどうすればいいか、打倒立命を想定して練習を重ねて来ました。先制点は取られたが、必ず取り返せると思ってやっていました。これでチャンピオンになったが、全日本ではチャレンジャーの気持ちで、優勝を取りに行きます」チームの司令塔・大黒柱は、全日本を自身のホッケー人生集大成の場と位置付けた。
寺本祐治男子監督は「2年連続して準優勝だったので、3度目の正直で初優勝を掴む事が出来た。立命館は3トップのFWが強いので、ここをしっかり押さえて速攻を仕掛ける作戦を立てた。今年のチームは、4年生が率先してチーム作りをしてくれた。4年生がチームをまとめ全員の心を一つにしてくれた」優勝をもたらしたのは4年生全員のリーダーシップと語った。
≪女子決勝 山学大vs東海学院大≫
試合開始は午前11時00分、山学大のセンターパスで始まった。山学女子は立ち上がりからFW三橋亜記(3年 築館)のスピードのあるドリブルを中心に積極的に攻め、4分には相手のミスを誘いPCを得たが、東海学院の堅いDFに阻まれる。一方東海は、11分に山学のミスから攻撃チャンスを作り、石田明日華が押し込み先制点を上げた。前半は東海が立て続けに5本のPCを奪うなど東海が押していた。しかし、後半は山学が完全に主導権を握り、一方的に攻め続けた。試合終了間際にもPCのチャンスを得たが、守りに徹した東海の粘りのDFを崩せず0−1で敗退、5連覇達成の夢は果たせなかった。
第32回女子全日本学生ホッケー選手権大会 決勝
≪山学大vs東海学院大≫(11/3) 於飯能市阿須運動公園ホッケー場 |
● 山梨学院大 0 |
前半 0−1
後半 0−0 |
1 東海学院大 ○ |
得点 石田明日華(東海) |
ゲームキャプテン丁 ナリ選手は「5連覇というチームの目標を達成させる事は出来なかったけれど、チームとしては、強い絆で結ばれた日本一の仲間がいる、日本一のチームになれたと思います。このあとは連勝記録が続いている関東と、全日本に向けて心を一つにして頑張って行きます」と語った。
ジョン・シアン女子監督は「残念な結果になって非常に悔しい。前半安定感のないうちに失点を許し、後半精一杯頑張ってくれたが相手の粘り強い守備を崩せなかった。今日は相手の力の方が上だった」と肩の力を落とした。
大会の結果、男子は優勝山学大、準優勝立命館大、3位天理大、4位明治大となった。女子は優勝東海学院大、準優勝山学大、3位天理大、4位立命館大の順となった。 (M.T)
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アルバム男子1 |
アルバム男子2 |
アルバム男子3 |
アルバム女子 |