第42回全日本大学駅伝が11月7日、名古屋市熱田神宮から伊勢市伊勢神宮までの8区間106.8キロで行われ、紅葉色づく伊勢路を舞台に26チームが健脚を競った。「全日本大学駅伝」は、10月の「出雲駅伝」正月の「箱根駅伝」とともに大学三大駅伝の一つと称されている。その中でも「全日本大学駅伝」は全国の予選会を勝ち抜いた25の大学が頂点を競うため、この大会が事実上の大学駅伝日本一決 定戦となっている。42回目となる今年は、先月の出雲駅伝を制した早稲田大学や箱根駅伝2連覇中の東洋大学を含む、全国の代表25校とオープン参加の東海学連選抜チームの26チームで競われた。24年連続24回目の出場となった山梨学院大学は、レース序盤のハイペースについていけず出遅れ、昨年のタイムを上回る5時間21分05秒の9位でゴールしたが、来年度のシード権を逃した。また、出雲の覇者・早稲田大学が5時間13分02秒で15年ぶり5度目の優勝を果たし、大学駅伝2冠を達成した。以下2位・駒澤大学、3位・東洋大学、4位・日本大学、5位・東海大学、6位・明治大学などとなった。
午前8時00分、気温10.7度、スタートを10分後に控えた熱田の杜上空は、薄雲がかかるが青空が広がっていた。8時10分、号砲のピストルの音と各大学の応援団やチアリーダーの声援を胸に、106.8キロの大学駅伝日本一を決める戦いが静かに、そして熱く幕を開けた。
■第1区(愛知県・熱田神宮西門 → 弥富市筏川橋西詰 14.6km)
松枝翔(3年 鹿児島実業) 43分59秒[12位] 総合・43分59秒「12位」
先頭集団の1kmの入りが2分44秒、5kmが14分10秒というハイスピードなレース運びとなったが、松枝は、3km過ぎからは自分のペースを維持。後半に勝負をかけ、レースを進めるが後半伸びずにトップ東洋大から1分17秒差の12位で2区のコスマスに襷を繋いだ。
選手コメント「前半からペースが速く、3kmから自分のペースで走り、後半の勝負にかけた。後半ペースを上げられなかったのは反省し、今日のレースを箱根に活かしたい」
■第2区(弥富市筏川橋西詰 → 三重県・川越町高松 13.2km)
オンディバ・コスマス(3年 山梨学院) 37分45秒[2位] 総合・1時間21分44秒「6位」
コスマスは、12位で襷を受け取ると区間2位の走りで6人抜きをし、トップ東洋を47秒差の6位まで追い上げ、3区の牧野に襷を繋いだ。
選手コメント「少し腰が痛かったが最後まで頑張って粘ったが、自分の目標を達成できなかった。一生懸命練習をして、箱根に向けて頑張りたい」
■第3区(川越町高松 → 四日市市六呂見町 9.5km)
牧野俊紀(2年 西武大千葉) 28分39秒[13位] 総合・1時間50分23秒「9位」
牧野は大学駅伝初出場。途中粘るが後半、ペースをあげることができず、順位を3つ落とし、トップ東洋と2分11秒差、シード権内の6位帝京とは19秒差で4区の中村に襷を繋いだ。
選手コメント「後半7kmぐらいから離されて思うようにペースが上がらず、ラスト1kmでも離されてしまった。2区からの良い流れを断ち切ってしまう結果となってしまった。後半しっかり走れる練習をして闘争心を持って頑張りたい」
■第4区(四日市市六呂見町 → 鈴鹿市寺家 14km)
中村悠二(3年 日高) 41分42秒[9位] 総合・2時間32分05秒「8位」
中村は先月の出雲で大学駅伝デビューし、区間3位と大健闘。全日本では、9位で襷を受けたが、周りのハイペースに対応できなかったが、区間9位の走りで粘り順位を1つ上げ、トップ早稲田と2分59秒差、シード権内の6位日体に26秒差で5区の尾崎に襷を繋いだ。
選手コメント「周りのハイペースに対応できなかった。その反省を箱根に向けて頑張りたい」
■第5区(鈴鹿市寺家 → 津市上浜町 11.6km)
尾崎 博(4年 山梨学院) 35分52秒[12位] 総合・3時間07分57秒「9位」
山梨学院高校出身で大学駅伝デビューとなる尾崎は、順位を1つ落とし、トップ早稲田に5分4秒差、シード権内の6位帝京と1分21秒差で6区の伏島に襷を繋いだ。
選手コメント「とても実力不足だと感じた。課題も色々出てきたので、箱根に向けて克服できるように頑張りたい」
■第6区(津市上浜町 → 松阪市曽原町 12.3km)
伏島祐介(2年 白鴎大足利) 37分38秒[8位] 総合・3時間45分35秒「10位」
伏島は大学駅伝初出場。積極的な走りをして途中東海の小松選手と9位争いを繰り広げるが力及ばす。トップ早稲田と6分34秒差、シード権内の6位中央に1分40秒差で7区松森に襷を繋いだ。
選手コメント「今回のレースは序盤から厳しい展開となり、シード権を争う結果となった。途中、東海の選手に離されたのが悔しい。アンカーの高瀬さんに負担をかけてしまって申し訳ないと思っています」
■第7区(松阪市曽原町 → 松阪市豊原町 11.9km)
松森新一(4年 岡山工業) 36分30秒[6位] 総合・4時間22分05秒「10位」
松森は大学駅伝初出場。初出場ながら区間6位の走りでトップ早稲田に7分27秒差、シード権内の6位日体に1分43秒差で8区高瀬に最後の襷を託した。
選手コメント「4年間で初めての駅伝だったが、後半に失速してしまい高瀬に負担をかけてしまった。箱根では悔しい思い出ではなく、楽しい思い出になるようにしたい」
■第8区(松阪市豊原町 → 伊勢神宮内宮 19.7km)
高瀬無量(4年 市立尼崎) 59分00秒[4位] 総合・5時間21分05秒「9位」
松森から最後の襷を託されたアンカー高瀬は、先月の出雲では、区間2位の力走でチームの5位入賞に貢献した。今日のレースでは懸命に前を行く選手を追いかけ区間4位の走りをし、なんとかシード権入りを果たそうと力走するが力及ばす。トップの早稲田・平賀選手が1位でゴールテープを切ってから8分03秒後の5時 間21分05秒の9位でフィニッシュした。
8区を走った高瀬無量主将はレース後の報告会で「チームとして手ごたえがあり、勝負をかけたが結果が伴わなかった。代々の先輩方が繋いでくれたシード権を自分達の代で落としてしまい、とても申し訳なく思います。後輩にも繋ぐことができずとても悔しいです。今年は笑顔でゴールすることが目標なので、箱根では、報 告会で笑顔でチームの成績を報告できるようにしたいです」と涙ながらに語った。
飯島理彰コーチは「「手ごたえを持って臨んだが、力を発揮させることができず悔しい。この結果をしっかり分析して、箱根に向かいたい」と述べた。
上田誠仁監督はレース後に報道陣に対し「大学の駅伝の状況はハイスピード時代。ものすごく早いレース展開で練習で培ったものを発揮できなかった。1区の松枝は5000mを自己ベストで通過。設定タイムより20秒早く走ったが、1区は予想以上に早かった。コスマスまでは、設定通り良い走りをした。今回初出場組の3、5、6、7区は経験不足で走れなかっ た。これで6月の予選会で全日本の出場権を勝ち取らなければならなくなったが、気持ちを高めていかなければならない。初出場組がハイスピードに弾き出されたので、メンタルタフネスをもう少し鍛えてほしい」と語った。
今年は、例を見ないハイペースなレース展開となった。チーム成績5時間21分05秒は昨年の日大の優勝タイムに0.01秒と肉薄、昨年のチームを5分も上回る成績を修めるも9位でシード権を逃す結果となった。昨年よりもチーム力が向上しているのも事実だが、他の大学も昨年以上に向上していることも事実。大学駅伝は、ハイスピード時代になり、スピードへの対応が課題になってきている。
(Y.Y)(M.I)
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