"高校生の文化の祭典"第31回山梨県高等学校芸術文化祭のマーチングバンド・バトントワリング部門発表会が11月14日、山梨学院大学古屋記念堂で開催された。発表会にはマーチングバンド部門に4校、バトントワリング部門に3校の計7校が出場した。山梨学院高校からは吹奏楽部がマーチングバンド部門に 、チアリーダー部がバトントワリング部門にそれぞれ出場した。大会の結果、マーチング部門の最優秀賞である芸術文化祭賞に山梨学院高校吹奏楽部、バトン部門の芸術文化祭賞に甲府商業高校ソングリーダー部が選ばれた。両チームは来年8月に福島県で行われる全国高校総合文化祭に山梨代表として出場する。山梨学院高チアリ ーダー部は次点の奨励賞だった。山梨学院高吹奏学部は10月31日に行なわれた吹奏楽部門の発表でも芸術文化祭賞を受賞しており、県高校音楽史上初の2部門W受賞の快挙となった。全国大会出場は3年連続で通算5回目の出場となる。
マーチングバンド部門の出場チームは、8月の宮崎全国総文祭に山梨代表として出場した桂高校吹奏楽部、西関東大会出場の甲府商業高校吹奏楽部と東海甲府高校吹奏楽部、それに昨年の大会は集団インフルエンザで出場できなかった山梨学院高校吹奏楽部の4校、バトントワリング部門には甲府商業ソングリーダー 部、甲府湯田高バトントワリング部、山梨学院高チアリーダー部の3校が出場した。
演技の2番目に山梨学院高チアリーダー部が登場した。チア応援の時とはまったく違う黒い縁取りの入った白い衣装で颯爽と現れた。演技タイトルは「The Pink Panther」、ピンクパンサーのテーマ曲に合わせて、最初はゆったりした動きでステップを踏み、途中から得意のフラッグを使った大胆な動 きで躍動、中盤からアップテンポに切り替え、15人が旗と呼吸と間合いを合わせる、最後は尻尾をつけたピンクパンサーが真ん中に進み、周囲を半円で囲んで演技終了。喝采を受けたが、8月の宮崎全国総文祭に出場し、9月のジャパンカップ高校選抜大会2年連続2位となった甲府商業ソングリーダー部の演技には及ばず、次 点 の奨励賞となった。
大会の一番最後に山梨学院高校吹奏楽部が登場した。練習時間の全てを29校で凌ぎを削る吹奏楽部門コンクールに費やしたため、マーチング練習を始めたのは11月1日から、9日に小瀬武道館を借りて行なった練習では足並みは揃わなかった。わずか2週間の短期特訓で本番の舞台に上った。部活を卒業したはずの 3年生16人を含む80人の大編成部隊は白と黒の衣装で腰にスカーフを巻いて登場した。演奏タイトルは「We can do it」、指揮を取るのは顧問の渡邊正樹教諭、始まってすぐにサックスのソロ、アルトサックスの心地よい音色が会場に響き渡った。陣形は縦から横、横からハート形、斜め移動から交差、どんどん形が変わっていく。途中からアップテンポに変調、コミカルなパーカッション の演奏に合わせ「ハイ・ハイ・ハイ・ハイ」の掛け声、12人のカラーガード隊が小旗から中旗さらに大旗に持ち替えて迫力を演出、終盤はリズムがまた速まり、ラストは全員が右手を斜め上に突き上げ「ヤー」と叫んでフィニッシュ、大拍手が起きた。
審査の結果、わずか2週間の練習期間ではあったが、先輩たちから受け継いだ伝統ともいえる財産と3年生16人の渾身的な協力もあって、山梨学院高が最優秀賞の芸術文化祭賞に輝いた。10月31日に獲得した吹奏楽部門芸術文化祭賞と合わせ史上初の2部門W受賞となった。ただし、吹奏楽部門は昨年に続く2年連続受 賞のため、全国大会の出場権は他校に譲るルール、来年8月の福島全国総文祭の出場はマーチングバンド部門のみの全国大会出場となる。
芹澤康帆部長(2年)は「支えてくれた先生や、3年生、仲間のおかげでここまで来れました、感謝の気持で一杯です。いいスタートが切れたと思うので、来年の夏に向けてこれまで以上に頑張って行きたい」と周囲への感謝を言葉にした。サックス・ソロを担当した神澤晃季君(2年)は「超緊張しました。最初は自分のことしか考えられなくて頭が真っ白になりました。ソロが終わった後は楽しかった、あっという間に終わってしまった」と語ったが、観客席からは緊張感などまったく感じられない堂々としたソロ演奏に映った。顧問の渡邊正樹教諭は表彰式後に全部員を集めて審査内容・採点について説明「少ない練習時間で賞を取れた事はよかったと思います。しかし、心から全力で取り組んだと胸を張って言える人はいますか、いませんね。君たちはまだ県代表に値しない。西関東大会で見た強豪校と呼ばれる埼玉栄や春日部共栄の生徒は何 か違うと感じたはずです。表面だけよくても駄目、目を背けたくなる所に目も向けなければ君たちはその先に進めない。やるならとことんやらなければいけない、自分を信じて、反省すべきことは反省して、改善すべきことは改善して、新しい自分を見つけよう」人間としての成長を促す言葉を部員たちの胸に贈 った。(M,I)
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