山梨学院パブリシティセンター
● 講道館杯全日本体重別選手権 最終日
〜世界一の浅見八瑠奈が3年ぶり2度目の優勝〜
〜52s級浅海静香と男子の新鋭中村剛教3位〜

平成22年度講道館杯全日本体重別選手権大会は11月21日、千葉ポートアリーナで2日目(最終日)を向かえ、体重の軽いクラスの男子3階級、女子4階級が行われた。1日目に78s超級の山部佳苗が初優勝を飾り、主将の70s級谷口亜弥が3位に入った山梨学院大勢は、48s級など期待の軽量級に11名が 出場した。このうち、9月に東京で行なわれた世界選手権で最強の敵福見友子を破り世界チャンピオンとなった48s級浅見八瑠奈が、10月の団体戦で敗れた帝京大の近藤香にリベンジ、1年の時に優勝して以来、3年ぶり2度目の講道館杯制覇を果たした。また、52s級の学生チャンピオン浅海静香と男子73s級の中村剛教 の2人が3位の表彰台に上った。4年目に学生チャンピオンとなった浅海も2年の新鋭中村も、ともに高校時代は無名選手、山学大に入って実力を伸ばし日本トップレベルの選手に成長した。この他、OGの63s級小澤理奈(ミキハウス)が準優勝を飾った。


≪浅見八瑠奈(48s級 4年 愛媛新田)≫山学大の柔道着で臨む最後の試合で再びの日本一
世界チャンピオンの浅見は第1シード、2回戦から登場した。初戦の福島朱莉(高岡法科大)戦と3回戦の玉置桃(藤村女子高)戦は相手に柔道をさせない圧勝で準決勝に進出した。準決勝の筑波大OG伊部尚子(ぎふ柔道クラブ24)戦も2分30秒に有効を奪い、そのまま危なげなく押し切った。向かえた決勝戦の相手は、10月の体重別団体戦で不覚を取った近藤香(帝京大)、浅見はリベンジを胸に決勝の畳みに上った。しかし、近藤が先に先に技を仕掛けて浅見は指導を取られる苦しい展開となった。両者ポイントなしで試合はGS延長に突入した。もう一度指導を取られると敗れる状況から、浅見八瑠奈は世界一を立証する切れ味鋭い技を繰り出した。延長45秒、全身を投げ出 すようにして放った「袖釣込み腰」が近藤の体を宙に浮かせた。技あり、その瞬間に3年ぶり2度目の優勝を手中にした。苦しかったのであろう、花道を引き上げる浅見の目から、世界一になった時にはこぼれ落ちなかった大粒の涙が溢れ出てきた。浅見八瑠奈選手は「山部先生から『山学大の道着で出場する最後の試合だぞ』(12月のグランドスラム大会はJAPANの柔道着で出場する)と言われ、絶対に勝たなければと思いました。決勝は、投げなければ指導を取られて負けると思い必死でした」と振り返り、テレビ局のインタビューに対しては「これから厳しい試合が続きますが、一つ一つ乗り越えて、オリンピックで優勝できたらと思います」万事控えめな浅見が思い切って、オリンピック 金メダルを目標にすると宣言した。

≪浅海静香 (52s級 4年 広島広陵)≫敗者復活から執念で勝ち上がり3位の表彰台
1回戦は山守晴奈(愛知産業大)を開始早々の肩固めで1本勝ち。2回戦は宮川拓美(小松大谷高)に優勢勝ち。順調に勝ち上がったが、3回戦で高校1年生ながら並外れた身体能力で強豪を次々に下し優勝をさらったスーパー1年生の山本杏(桐蔭学園高)に合わせ技1本で敗れ敗者復活戦に回った。しかし大学最後の大会、浅海は悔しさを胸に執念を燃やし、津村美希(環太平洋大)を大外刈り技ありで下し、3位決定戦で塚原理早(環太平洋大)を内股有効で破り3位を確保した。試合場から引き上げる浅海の目から悔し涙が溢れ出てきた。顔を覆って泣く浅海を、4年間一緒だった同級生の濱口光と湧川のなが待ち構え、その肩をたたいて慰めていた。卒業後JR東日本に所属することが決まった浅海静香選手は「優勝してグランドスラムにつなげたいと思っていたので悔しいです。気持を強く持ってまた頑張ります」小柄な体に夢を詰めて再挑戦を誓った。

≪中村剛教(73s級 2年 京都共栄学園)山学大に入って急成長、無名選手からトップ選手に飛躍
1回戦の赤迫佑介(自衛隊体育学校)戦は、巴投げで有効を奪い勝利。2回戦の金岡真司(警視庁)戦も3回戦の渡邊聖貴戦も1本勝ちで準決勝に進出した。準決勝の斎藤涼(旭化成)戦も非常にいい試合をした。相手より先に仕掛け先手先手で攻め続けたが、一瞬の間合いで技ありを奪われてしまった。懸命に追い上げ、有効を取って詰め寄ったが、あと一歩届かず3位決定戦に回った。3決では海老沼聖(警視庁)を寄せつけず、1分32秒袖釣込み腰で1本勝ちした。中村は高校時代には全国レベル大会の受賞はなく、これまでの最高成績は、大学1年時の全日本ジュニア3位が最高だった。山学大入学後に頭角を現し、無名選手から日本一を争うトップ選手に急成長した。中村剛教選手は「1回戦から体がよく動いた。準決勝も自分では行けると思ったが届かなかった。組んだら相手より先に技を掛ける柔道が信条。優勝を逃した悔しさをばねに練習に励み、日本一を目指したい」武士のような精悍な風貌で静かに語った。男子選手の表彰台は、平成12年の手塚勝彦・須藤英雄の3 位以来で10年ぶり3人目の快挙となった。

そのほかの2日目成績
48s級黒江優希(3年 横須賀学院)5位、濱口光(4年 東大阪大敬愛)7位、空閑愛媛(2年 久留米商)2回戦。52s級加賀谷千保(2年 藤枝順心)5位、湧川のな(4年 福岡嘉穂)1回戦。57s級吉元佳代(3年 鹿児島南)1回戦。63s級上野まゆみ(4年 鹿児島南)2回戦。男子66s級清水健登(1年 京都共栄学園)2回戦。

山部伸敏監督「この2年間は優勝者を出せなかった。今年は結果的に2人の優勝者を出せたので、その点は良かった。個人的には課題や問題点が見つかったものもいた。山岸絵美と対等に戦った黒江や浅海のように成長を証明したものもいた。加賀谷以外は全体としてはまずまずだった」と2日間の戦いを評価した。
西田孝宏総監督「山部と浅見の2人が優勝してくれて、正直ホッとした。男子の中村の3位は非常に価値のある成績。清水は怪我を押しての出場だったので満足な試合が出来なかった。全日本で勝つためには、もうひとつレベルを上げなければいけないことを各選手がそれぞれ自覚したと思う。12月のグランドスラムに出場できるものは大 会に向けて、出場できなかったものは来年に向けて努力を重ねてほしい」と選手一人ひとりに精進を求めた。

今年度の山梨学院大柔道部は、6月の全日本学生柔道優勝大会で女子が2年ぶり3度目の優勝を飾り、男子が創部初の3位となった他、浅見八瑠奈が世界選手権で優勝するなど輝かしい成績を残して来た。この柔道日本一を決める大会でも、優勝2人、3位3人の成績を収めた。4年になって念願の学生チャンピオンとなった 浅海静香や男子の新鋭中村剛教を始め、高校時代は無名だった選手が山学大で努力を続け実力を開花させた。創部から14年、山学大柔道部は過去最高の成績を残した年となった。 (M.T)
| アルバム浅見八瑠奈 | アルバム浅海静香 | アルバム中村剛教 |


成績

階級

名前

学年

備考

優勝

78kg超級

山部 佳苗

2年

初優勝

優勝

48s級

浅見八瑠奈

4年

3年ぶり2度目

2位

63kg級

小澤 理奈

OG

 

3位

70kg級

谷口 亜弥

4年

 

3位

52kg級

浅海 静香

4年

 

3位

73kg級

中村 剛教

2年

 

5位

78kg級

濱田 尚里

2年

 

5位

48kg級

黒江 優希

3年

 

5位

52kg級

加賀谷千保

2年

 

7位

70s級

飯田 有香

4年

 

7位

48kg級

濱口  光

4年

 

2回戦

78kg級

生田  茜

4年

 

2回戦

66kg級

清水 健登

1年

 

2回戦

48kg級

空閑 愛媛

2年

 

2回戦

70kg級

馬場菜津美

1年

 

2回戦

63s級

上野まゆみ

4年

 

2回戦

57s級

野中 未奈

OG

 

1回戦

100kg超級

鈴木 健人

4年

 

1回戦

100kg超級

増田 哲也

3年

 

1回戦

57kg級

吉元 佳代

3年

 

1回戦

52kg級

湧川 のな

4年

 



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