ラグビー関東大学リーグ戦グループは12月11日、埼玉・熊谷ラグビー場で1部2部入れ替え戦を行なった。2部リーグ6勝1敗の山梨学院大は、立正大に次ぐ2位で5年ぶりに入れ替え戦に出場した。一方、今期の1部は、大東文化大・日大・法政大の3校が2勝5敗で並び、得失点差で法政大が7位となり対戦校 となった。法政は大学選手権3度の優勝を誇る伝統校、入れ替え戦に回るのは初めて、戦う前は勝負にならないという厳しい見方もあった。しかし、戦いが始まると山学FWが法政FWを圧倒した。立ち上がりから敵陣深くに攻め込む時間が長く続いた、前半のこの時間帯に得点を奪えなかったことが、のちに響いた。前半ロスタイ ムに一瞬の気の緩みを衝かれ、立て続けに2トライを奪われリードされた。後半も、押しに押したが、経験豊富な法政大に逃げ切られた。山学ラグビーは、試合に勝ったが勝負には敗れ12-31で敗退、8年ぶりの1部復帰はならなかった。
今年の山学ラグビーのスローガンは「シンプル」。サインプレーに頼らずに"体を当てるところは当てる、動かすところは動かす"をテーマに、吉田浩二監督・庄司広樹ヘッドコーチ(桂高~日大、日大コーチから昨年山学大コーチ、今年からヘッドコーチ、27歳)の体制で、フォワード主体のチーム作りを進めて来 た。春先からコンタクト力の向上に取り組み、一人ひとりが相手に当たり負けしない力を付けた。5年間1度も勝てなかった埼玉工大を39-0と完封する攻撃力と守備力を身に付け、5年ぶりの入れ替え戦に臨んだ。
山学大は、立ち上がりから敵陣深くに再三攻め込み、先制のチャンスを何度も作ったが好機を活かせなかった。逆に12分・26分・38分にPG(ペナルティ・ゴール)を決められ、前半終了直前のロスタイムに立て続けに2トライを奪われ0-21で折り返した。サイドが変わった後半は、終始山学が攻め続けた。 20分にラックからSH岡部勇哉(3年 東海大翔洋)からSO土屋良介(4年 桂)とパスをつなぎ最後はCTB李明昇(4年 東京朝鮮)がトライを決め、ゴールも決まった。34分にはFBティモシ・ラファエラ(1年 ニュージーランド)がトライを決め、12-24に迫ったが、ロスタイムにダメ押しトライを奪われ12 -31で敗退した。
平成22年度関東大学ラグビーリーグ戦グループ 1部2部入れ替え戦
山梨学院大vs法政大 (12/11) 於 埼玉・熊谷ラグビー場 |
山梨学院大 ● |
12 |
前半 0-21
後半12-10 |
31 |
○ 法政大 |
松永積俊主将(4年 広島工)は記者会見で「悔しい」と言ったあと、しばらく声を発せなかった。そして、声を振り絞り「取れる時に点を取っておかないと、1部には勝てない、残念です。来年は後輩たちがやってくれます」素晴らしいキャプテンシーでチームを引っ張った主将は、果たせなかった思いを後輩たちに託した。吉田浩二監督は「本気で勝ちに行った。ぶつかり合いでは負けていなかった。ボールの8割を支配し、法政の監督に『1部で十分通用する』と言わしめる戦いをしてくれた。4年生を中心に最後まで頑張ってくれた、試合に勝って勝負に負けた」。指揮官は選手の努力とスタッフの努力を称 え、昇格への思いを一層強くしていた。
来シーズンの山学チームは、キックに頼らずにボールを繋ぐ攻撃ラグビーに磨きをかける。指導陣も、下級生も、卒業する4年生の思いを胸に、全員がその魂を熱く燃やし、激しく1部にトライする。(M.I)
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