第89回全国高校サッカー選手権大会は12月30日、東京・国立競技場に全国の精鋭48代表(東京は2代表)が集結し開会式を行った。昨年初出場初優勝の快挙を達成し、前年優勝校は県大会を突破できないというジンクスを打ち破り、2年連続出場を勝ち取った山梨学院高には、全チームの先頭で入場行進する栄誉が与えられた。昨年は恐る恐るだったが、今年は校旗を掲げた宮本龍主将を先頭に、威風堂々王者の風格を見せて行進した。そして、加部未蘭副主将ら3人が緑の大優勝旗、文部科学大臣杯、M・W杯を返還した。茨城代表・鹿島学園の請川順也主将が「日本サッカーの礎となったこの歴史ある大会で、新しい時代に踏み出すプレーを心がけることを誓います」と選手宣誓、いよいよ山梨学院高サッカー部の歴史舞台第2章が幕を開けた。正月2日に長崎代表・国見高と新旧・強豪対決する。
底冷えのする曇天、東京・国立競技場メインスタンドは、防寒着の保護者・学校関係者で埋まった。12時10分、前年優勝の山梨学院高を先頭に参加48代表(東京はA・B代表)がカラフルなユニホーム姿で次々に入場した。山梨学院は、ひときわ色鮮やかなプルシアンブルーとイエローのユニホーム。先頭は校旗を掲げた宮本龍主将、次いで優勝旗を手にした加部未蘭副主将、恐る恐る歩いた昨年と違い、今年は全員が王者の風格を漂わせ威風堂々整然と行進した。そして、FW加部未蘭副主将が優勝旗、GK畠山睦選手が文部科学大臣杯、DF大黒貴哉選手がM・W杯を返還、レプリカを授与された。
ベンチ入りした25人以外の選手と吉永監督、横森総監督はスタンドで開会式を見守った。吉永一明監督は「いよいよ始まったなと感じた。優勝旗を返還しチャレンジャーに戻った。戦う準備に入ります」選手宣誓を聞きながら気持ちを引き締めていた。横森巧総監督は「一番最初に入場行進する姿を見てとても感動した。こういう場を作ってくれた先輩に感謝しながら、頑張ってもらいたい」名将は、感動を噛み締めているように見えた。
宮本龍主将「寒かった〜と言うのが率直な感想です。まだ実感は湧きませんが、皆いい感じに仕上がっています。国見だからとか相手に関係なく、自分たちが目指して来た、自分たちのサッカーをします」。加部未蘭選手「皆から副主将のお前が返して来いと言われて優勝旗を返還しました。自分達しか出来ない貴重な体験でしたが、返すだけでなく取り戻します」。関篤志選手「去年はものすごい場所だと感じ雰囲気に飲まれましたが、今年は落ち着いて歩くことが出来ました。いい入場行進が出来たと思います」。堤建太選手「指先が冷たかった〜、歩きながら、必ずここに戻ってくると心に誓いました」。大黒貴哉選手「去年はスタンドから見ていました。フィールドに立ったのは初めて、一気にモチベーションが上がりました。(ディフェンダーの)自分がやらかさなければ勝てます」。選手の闘争心に一斉に火が点った。
昨年の優勝で第1シードとなった山梨学院は、1回戦をシードされ、正月2日の午後2時10分から、千葉・柏の葉公園総合競技場で長崎代表の国見高校と2回戦で対戦する。国見は2年連続23度目の出場で、戦後最多の6度の優勝を誇る名門校。昨年は静岡代表の藤枝明誠に2回戦で敗れている。2年連続出場の新王者山梨学院は、全力疾走で往年の王者に立ち向かい、新旧・強豪対決に決着をつける。山梨学院和戸サッカー場Rest Roomには、元日本代表監督イビチャ・オシム氏の言葉が掲げられている「本当に強いチームというのは、夢を見るのではなく、出来ることをやるものだ」。山学イレブンは、自分たちが出来る、自分たちが積み上げて来た、自分たちのサッカーで、再びの国立・頂点をめざし、必ず勝つ。(M.T)
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