山梨学院パブリシティセンター
● 全国高校サッカー選手権 3回戦
〜山梨学院高が駒澤大高を下しベスト8に進出〜
〜荒木克仁が大舞台で最高の直弾フリーキック〜

第89回全国高校サッカー選手権大会は1月3日、ベスト16による3回戦8試合が行なわれた。前日の初戦で長崎代表の名門国見高を3−1で下した前年度優勝校山梨学院高は、千葉市フクダ電子アリーナで東京B代表の駒澤大高と対戦した。バックスタンドの山学応援席は、バス23台を連ねて再び甲府から駆けつけた前日を上回る約1200人の大応援団がスタンドを青に染めた。そして、山学イレブンは今選手権初のプルシアンブルー、青き戦士として再登場した。対する駒澤大高は上赤・下黒のユニホーム、駒澤応援席は赤に染まった。試合は開始から一進一退が続いたが、前半30分、FKキッカーに起用された2年生の荒木克仁が、大緊張する大舞台で、公式戦初ゴールとなる見事な直撃弾を左足で決めた。青き戦士たちは、この1点を全員で守り切り、ベスト8に進出した。5日に千葉代表・流通経済大柏高と"2年連続の国立"を賭けて対決する。


両チームの布陣は、山梨学院高が4−5−1、駒澤大高は4−4−1−1のシステム。山梨学院はFW加部未蘭(3年)をターゲットにボールを前線に上げ、加部が競り落としたセカンドボールをMF白崎凌兵(2年)の飛び出し、MF堤建太(3年)・MF長谷川紫貴(3年)のドリブル突破で攻めあがるスタイル。一方、駒大高はMF山本亮太を起点に、FW須貝暁の裏への飛び出しからゴールを狙う。駒澤は昨年の山学が初出場初優勝を成し遂げた時と同じような、怖いもの知らずの勢いのあるチーム。ともに前線に早めにボールを供給してFWを中心に攻撃を組み立てるチーム同士の戦いとなった。

この日の山学イレブンは、硬かった初戦と違い立ち上がりは悪くなかった。しかし、10分頃からパスミスが目立つようになり、GK畠山睦(3年)がパンチングで逃れたボールを相手にボレーシュートされ、あわや失点のピンチも招いた。12分にはDF網倉亘基(3年)が通算2枚目のイエローカードをもらい次の試合に出られないことになった。一進一退の攻防が続き、30分に長谷川が倒されてFKを得た。この場面で、キッカーに選ばれたMF6番荒木克仁(2年)が、左45度30mの地点から左足でシュートを放った。ボールはDFの頭を超えてから急激に落下、フックしながらゴールネットに突き刺さった。1−0、芸術的なシュートで山学が先制、そのまま前半を終えた。

ハーフタイムの山学応援席。荒木の母荒木純子さんは「点が奪えなくてハラハラしていました。自主練でFKの練習をしているようでしたが、FKに息子が出てきてドキドキしました。決めてくれてホッとしました、このまま後半も波に乗っていってほしい」と話した。チアリーダー部の萩原紀恵新主将(2年)は「1点取れて良かった。私たちは、後半も前半以上に声を出して応援を頑張ります、選手も前半以上に頑張ってほしい」と笑顔を見せた。

後半も山学イレブンは前半と同じように、ボールを得るとすぐに加部をターゲットに、前線にボールを送り込みチャンスを伺うが、なかなか突破できない。一方、駒大高はDFの裏を突くボールで活路を開こうとするが、山学DF陣は2年連続センターバックの長身DF関篤志(3年)と小柄ながら鉄壁の守備を誇るDF大黒貴哉(3年)を中心にしっかり守り、シュートチャンスを与えない。両チームとも攻め切れず、じりじりした試合展開が長く続いた後半40分、ドキッとしたシュートを打たれた。駒大のロングシュートがクロスバーに当たりヒヤッとさせられた。そして、5分間のアディショナルタイム(ロスタイム)に突入した。山学イレブンは懸命に体を張って凌いだ。長い5分間の末に、勝利を掴み取った、よくこらえた。山学サッカー史第2章の2ページ目に記された言葉は"国立に王手"だった。

第89回全国高校サッカー選手権大会 3回戦
≪山梨学院高vs駒澤大高≫(1/3) 於 千葉市フクダ電子アリーナ
○ 山梨学院高 1
前半 1−0
後半 0−0
0 駒澤大高 ●
得点 荒木克仁


唯一の得点を決めた荒木克仁選手「国立に立ちたくて、環境も先輩も素晴らしい山梨学院に来たが、最初はやっていけるのかなと思いました。周りの人に支えられて県大会の準決勝から試合に出れるようになった。シュートはイメージ通りに打てた、公式戦で決めたのは初めてです」取り囲んだ記者団に誠実に答えた。宮本龍主将「相手は気持の入った強いプレーをしてきた。後半途中で退場したのは足がつったから、チームに迷惑をかけた。次はチャレンジャーとして、しっかり最後までチームを引っ張る」と語った。2人の教え子対決について湯浅征二郎GKコーチは「駒大高のGK岸谷は、中学時代は3番手のキーパーだったが、努力して正キーパーになった。白崎のループシュートを止めるなど成長した。畠山には『戦場だから顔は鬼の形相でやれ、心は冷静に』と伝えて臨ませた。昨日ミスしたサイド攻撃に対してはしっかり出ていた。クロスバーに救われたラッキーもあったが、ゼロで抑えたのでよし」と評価した。吉永一明監督「非常にハードワークな試合だった。最初は来るだろう、それを我慢できればと思っていた。ここまで来ると相手は上手い選手ばかり、抜かれてもバタつかないようにと指示した。後半五分五分だったのは当然だと思う、相手のパワーに負けずにシステムで抑えたのは良かった。当然ながら完璧なものを求めているが、このレベルになると簡単には出来ない。当たり前のことを当たり前に出来る選手にならないと次の世代に行けないので、しっかり育てたい」と語った。

この他の試合結果、高校総体準優勝の滝川二(兵庫)は、前回準優勝の青森山田を2―0で破った。流通経大柏(千葉)は前橋育英(群馬)、日章学園(宮崎)は静岡学園をそれぞれPK戦の末に下した。久御山(京都)と立正大淞南(島根)はともに大勝で8強入り。西武台(埼玉)、関大一(大阪)も準々決勝に進んだ。
山梨学院の対戦相手は、千葉代表の流通経大柏と決まった。5日12時05分キックオフ、舞台は今日の勝利を呼んだ千葉市フクダ電子アリーナ、然も、流経大柏高のユニホームは、駒澤大高と同じ赤いユニホーム、プルシアンブルーの青き戦士は赤い軍団に勝つ、再び勝つ、必ず勝つ!
文(M.T)、カメラ(平川大雪)
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