文化庁所管の日本交響楽振興財団が行なっている「小学校における音楽教育プログラム2010」に、全国から2校だけ選ばれた「音楽教育モデル校」に指定され、1年間にわたりクラシック音楽を楽しく学ぶ教育実践が行われてきた山梨学院小学校で1月21日、教育プログラム最後のワークショップ「プロの演奏家が合奏の楽しさを直接指導する公開レッスン」が行われた。東京ニューシティ管弦楽団の3人の楽団員が、山梨学院小トワイライトスクールで楽器専科を受講している児童たち12人を舞台の上で直接指導した。この日のために、3ヶ月間特訓を重ねたフルート・ヴァイオリン・ピアノを学ぶ12人の児童にとっては、山梨学院大メモリアルホールが夢を実現させる舞台となった。最初は、緊張した表情で登場した子供たちだったが、次第に落ち着きを取り戻し、プロの巧みな指導で音の強弱のつけ方や全員の呼吸の合わせ方を身に着け、短い時間で自分たちの演奏を素晴らしい音色の演奏に変えた。
「小学校における音楽教育プログラム2010」は、公益財団法人日本交響楽振興財団が、交響楽の振興と情操教育の充実を目指して取り組んでいる事業。プロの音楽家の協力により、一般の授業の中にワークショップやコンサートを取り込み、クラシック音楽の振興と子供たちの感性を豊かに育む活動を2007年度から行なっている。2010年度は、山梨学院小と甲府市立新田小が全国から2校だけ選ばれた。昨年6月17日に、山学大メモリアルホールで開催された東京ニューシティ管弦楽団のコンサートを皮切りに、低学年を対象にした第1回ワークショップ「準備体操も音楽!?」など5回のワークショップとミニ・コンサート、ホール・コンサートが行われてきた。
21日に行われたワークショップは、その最後のプログラム。全校生徒が見守る中で、トワイライトスクールで楽器専科を受講している12人の児童が、メモリアルホールの舞台に上がった。最初に行われたのは、フルートとピアノのアンサンブル。6年生の山下翼君らフルートの4人とピアノの林鈴子さんら2人が、プロのフルート奏者井ノ上洋さんとピアニストの小埜寺美樹さんの指導を受けながら「フローリアン/愛の喜び」を合奏した。次いで、ヴァイオリンとピアノのアンサンブルが行われ、6年生の菅原真伍君らヴァイオリンの4人とピアノの箕輪岳弥君ら2人が、「バッハ/ガボット」の練習成果を披露、ヴァイオリニスト鈴木順子さんのレッスンを受けた。直接指導を受けた子供たちは一様に「最初はとても緊張したけど、練習の時よりうまく演奏できた」と胸を張った。3人のプロ演奏者は口を揃えて「お互いの音を聞きながら、お互いの呼吸を合わせることを知り、合奏することの楽しさを味わってください」とアドバイスを送っていた。トワイライトスクールで児童の指導に当たっている音楽主任の山梨学院小藤巻信哉教諭は「1年間の活動ですぐ結果が出るものではないが、徐々に伏流水のように皆の気持ちの中に入り、何かやりたい時に蒸留水のように湧き出してくれたら」と話している。山梨学院小は、教師は"知との出会いのプロデューサー"をモットーに、さまざまな学習の場を設け、もっと知りたい授業の実践・研究に取り組んでいる。
文(M.T)、カメラ(平川大雪)
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[山梨学院小音楽プログラム2010]