

第52回日本選手権水泳競技大会競泳競技(25mプール)が2月26日、東京辰巳国際水泳場で開幕した。日本のトップスイマーが短水路日本最速をかけて競う2日間の大会に、山梨学院から大学19人、高校2人、職員1人の計22人がエントリーした。1日目の山学勢は、5人が午前中の予選を勝ち抜き、午後からの決勝レースに進んだ。このうち女子400m個 人メドレーの加藤 和(いずみ)と女子100m平泳ぎの鈴木聡美の2人が優勝を達成、表彰台で金メダルを受賞した。加藤は昨年に続く大会2連覇を飾った。また、職員の萩原智子が8人横一線でゴールした50m自由形で3位表彰、200mバタフライの秋山夏希が復活を告げる5位、長距離のエース野中瑞姫(みずき)が7位に入った。シーズン開幕戦をそれぞれがいい形でスタートさせた。この他、大学生にまざり、山梨学院高の江原騎士(えはら ないと・2年・200m自由形)と七里夏海(しちり なつみ・1年・100m個人メドレー)が大舞台に立った。2人とも上位進出はならなかったが、トップスイマーへの道をスタートさせた。
水泳シーズンが他の競技より一足早く開幕した。25mプールで競う日本短水路選手権は、4月に行われる日本選手権を占う前哨戦の意味合いもあるが、アメリカから帰国して出場した北島康介が、男子100m平泳ぎで日本新をマークして優勝するなど、1日目から日本新4・高校新・中学新が連発した。開幕レース は、非常にハイレベルな戦いで始まった。
≪女子400m個人メドレー 決勝 加藤 和≫
加藤 和(2年 桜の聖母学院短大)は予選1位で決勝に進出、センターコースの4コースでレースに挑んだ。後半型の加藤は、最初のバタフライでは出遅れ気味、背泳ぎが終わった段階では5位と下位集団だったが、得意の平泳ぎで一気にトップに立ち、ラストのクロールを粘り切り、危なげなく連覇を達成させた。タイムは4分32秒76、2年前に出し た自己ベストの4分32秒12には届かなかったが、ベストに迫るいい泳ぎを見せた。2位は高3の橋口若菜(姫路SS)、3位は大1の末永京香(中京大)が入った。加藤 和選手は「ベストを出したかったが、少し足りなかった。少し残念だけれど予選よりはいい泳ぎが出来ました。前半遅れるのはいつものことなので焦りはなかったが、もう少し積極的にいってもよかったかもしれない。今シーズンは、課題としているところをしっかり練習して、ラストのクロールもしっか り持久力をつけて泳ぎ切るようにしていきたい」とレースを振り返り、トレーニング目標を口にした。
≪女子100m平泳ぎ 決勝 鈴木聡美≫
鈴木聡美(2年 九産大九州)は、ターンがやや苦手、長水路だとターンは1回だが、短水路だと3回となる。予選は焦って空回りしてしまい、ギリギリの8位で何とか決勝に進んだ。決勝までの時間は、気持を落ち着かせる事に努めてレースを待った。決勝レース前の選手紹介では、珍しくテレビ中継カメラに向けて 右手を上げてポーズを決め、リラックスした表情で入場した。コースは8コース、いつもの構えから、思い切りよく飛び込んだ。25mは全員がほぼ横一線で通過したが、ここからぐいぐい前に出た。50mの通過タイムは31秒26で1位通過、75mも1位で通過、最後まで接戦だったが最後のゴールタッチをぴたり決めて優勝 、タイムは1分06秒17(自己ベスト1:06.07)だった。2位には中学2年の渡部香生子(JSS立石)が1分06秒31の中学新で入り、昨年優勝の松島美菜(セントラル)が3位となった。鈴木聡美選手は「予選は、決勝に残ることを考えて泳ぐので、空回りすることが多い、予選の方が緊張する。決勝前は気持ちを落ち着かせることが大切と、のんびりすごしてリラックスすることに努めた。決勝レースは練習のときと同じように、焦らずに落ち着いて泳ぐことが出来ました。明日の200mは苦手 意識があるが、落ち着いて泳げば結果はついて来ると思う」。記者団に囲まれたレース後のインタビューは、いつものように落ち着いて受け答えていた。
そのほかの決勝進出選手
女子50m自由形の萩原智子(カレッジスポーツセンター研究員)は、復帰した昨年に24秒91の日本新を記録、予選でただ一人24秒台(24秒95)を出して1位通過で決勝に進出、優勝が期待されたが、全員が横一線でゴールに飛び込む壮絶なレースの結果、予選より悪い25秒14のタイムで3位に留まった。萩原智子選手は「スタートもターンも全部失敗した、情けない。本番の緊張した場面でやってきたことが出せなかった。練習が結果に結びついていない」と反省を口にした。女子200mバタフライの秋山夏希(1年 山梨英和)はいい泳ぎをした。スタートは0,67の最高の反応、50mは3位で通過、100mで2位に上がり、150mまでは2位をキープした。表彰台が望めるレース展開だったが、ラスト50mは大混戦、結果的には3人にかわされ5位(2分08秒86)でゴールした。秋山夏希選手は「三重の合宿で泳ぎ込んで、調子が良くなりました。前半から行こうと決めてレースに臨み、落ち着いて泳ぐことが出来た。以前は力任せの泳ぎでしたが、腰を使えるようになりました。コーチからスタートラインと言われました」秋夏は復活のスタートラインに立った。長距離の野中瑞姫(2年)は、女子800m自由形タイム決勝最終組で泳いだ。他の7人と比べるとゆったりした大きな泳ぎ、前半はやや押さえ気味で6位・7位.8位争いだったが半分の400mを過ぎた辺りからスピードを上げ、中盤から5位に上がり、そのまま最終組5位でゴールした。タイムは8分36秒19、全員の成績を集 計した最終結果は7位となった。野中瑞姫選手は「中盤から追い上げたが後半ややバテた、昨年と同じタイムだった。シーズン始めとしてはまずまずの結果ですが、もっと前半から行って後半もバテない選手にならないといけない、もっと練習して持久力をつけたい」さらなる努力とさらなる高みを誓った。
大会2日目は、27日午前9時に予選がスタート、午後2時からB決勝、午後3時から14種目で決勝が行われる。
文(M.T) カメラ (平川大雪)
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