
第63回春季関東地区高校野球山梨県大会(8日目)は4月29日、甲府市の小瀬球場で4試合を行った。第四試合(三回戦)は地区シードの山梨学院と一回戦から勝ち上がってきた上野原が対戦し、山学が10対3の8回コールドで勝った。山学は1対1の6回表、二死満塁で2番・青戸角太郎(2年・青葉緑東)が1-0からの2球目「真ん中、低めの直球」を左前2点適時打し勝ち越すと、打線が爆発し7回3点、8回には4点を加点し10得点とした。投げてはエース左腕・廣瀬直紀(2年・富士河口湖シ)が7回までで7安打2四球で3失点したものの毎回奪三振の11三振、8回表にリリーフした1年生の左腕・坂本秀仁(青葉緑東シ)は3人の打者を3球三振を含む7球で切って取るデビュー。山学は長短15安打の打線と廣瀬・坂本の左腕コンビの継投で上野原を破った。山学は5月1日に小瀬球場の第二試合(12時30分)でシード校の東海大甲府と準々決勝を戦う。
●☆ 対 上野原戦(三回戦)
山梨学院 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
2 |
3 |
4 |
× |
10 |
上野原 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
0 |
× |
3 |
●バッテリー 山梨学院 廣瀬直紀・坂本秀仁-丸山陵司、上野原 安藤佑京-西室佑晟
●山梨学院 本塁打 丸山陵司 三塁打 丸山陵司、鈴木孝昌
●上野原 本塁打 安藤佑京 二塁打 鷹取大地
●山梨学院投手 ☆廣瀬直紀 7回 27打数114球7安打2四死球11三振1暴投
☆坂本秀仁 1回 3打数7球0安打0四死球1三振0暴投
●上野原投手 ☆安藤佑京 8回 37打数142球15安打4四死球4三振0暴投
【山梨学院出場メンバー】
◆山梨学院は1回表の二死後、
3番・丸山陵司(3年・調布シ)が四球で出塁。続く、4番・小林義弘(2年・千葉市シ)の右前安打で一三塁としたが後続が倒れ先取点を逃した。
◆1回裏、
エース左腕・廣瀬は1番打者を三振に切って取るが、2番打者に左前安打、四球、右前安打で満塁とされ、5番打者を四球とし押し出しで先制点を奪われた。
◆2回表の山学は、敵失と犠打で一死二塁、8番・加藤久也(2年・千葉市シ)の三塁へのセーフティーバンドで一死一三塁としたが後続が続かずチャンスを潰した。
◆3回表の一死後、3番・丸山が初球を中越え三塁打。4番・小林はストレートの四球、続く5番主将・田口蒔人(3年・青葉緑東)が「外高目の真っ直ぐ」を右犧飛し1対1とした。
◆6回表一死後、7番・鈴木孝昌(3年・八王子シ)、8番・加藤の連続中前安打で一死一二塁とした。続く9番・廣瀬のバントを投手が三塁へのフィールダーズチョイスで満塁とした。二死後、2番・青戸が1-0からの2球目「真ん中、低めの直球」を左前に2点適時打し3対1と勝ち越す。
◆6回裏、エース・廣瀬は先頭打者に1-2からの4球目を左芝席に本塁打され3対2と追い上げられる。
◆7回表、先頭打者の3番・小林が四球で出塁。一死後、6番・中村太星(3年・山梨都留シ)の右安打で一死一二塁。7番・鈴木の左前安打で一死満塁とした。8番・加藤の右飛が敵失となり4対2とした。さらに二死後、1番・坂上泰斗(2年・静岡裾野シ)の右前への2点適時打で6対2と突き放した。
◆7回裏、エース・廣瀬は8、9番打者を空振り三振に仕留めるものの、1番打者に左前安打され、2番打者に7越え二塁適時打され6対3とされた。
◆8回表、先頭打者の3番・丸山が0-1からの2球目「真ん中の真っ直ぐ」を振り抜くと左越え芝席に突き刺さる本塁打となり7対3とした。続く4番・小林が、この日3個目となる四球で出塁すると、5番・田口の内野安打で無死一二塁。7番・中村の中飛で、小林が三塁へタッチアップ。さらに田口が7番・鈴木の一球目で二塁へ盗塁し、一死二三塁。鈴木は0-1からの2球目を左越え2点三塁適時打で9対3。続く、8番・加藤の中前適時打で10対3とした。
◆8回裏、1年の坂本がマウンドに立った。左腕・坂本は4番打者に1-1からの変化球を鋭く弾き返されるが、二塁手・鈴木が難無く捕球。坂本は、続く5番打者をストレートで三球三振に仕留めると、6番を遊撃ゴロに切って取り、8回裏のデビュー・イニングを7球で締めくくり大器の片鱗を示した。
□6回左前へ勝ち越しとなる2点適時打を放った2番・
青戸角太郎(2年・青葉
緑東シ)は「チームに後一本が出ていなかったので、二死満塁になったので自分
が決めるしかなかった。一本が出れば流れが変わると、真っ直ぐ真ん中の低目を
力まずに打った。次の東海大甲府戦は何時ものプレーをすれば勝てると思う」と
、自身を覗かせた。
□3打数で本塁打と三塁打の2安打1打点、1四球1犠打の3番・
丸山陵司(3
年・調布シ)は「3番という位置なので出塁率を重視している。今日は打線に一
本が出ずに流れが悪かったので長打を狙ったが、次の試合は後に打撃力のある小
林と田口が控えているので、長打に拘らずに出塁に拘りたい」と述べた。また、
捕手としてエース左腕・廣瀬について「腕が振れていなかった。直球をカウント
球に、変化球を決め球にリードした。廣瀬は悪いなりに良く投げた」と労った、
左腕・坂本については「ストレートが伸びていた。頼もしい新人」と褒め讃えた
。
□3打者を7球で仕留めた高校野球公式戦初登板の1年左腕・
坂本秀仁(青葉緑
東シ)は、「程よい緊張感だった。良く手が振れた。1球変化球で、後はストレ
ートで勝負した。気持ちよく投げられた。投げられる機会があれば、何時でも投
げたい」と目を輝かせていた。
□連続16イニング25奪三振のエース左腕・
廣瀬直紀(2年・富士河口湖シ)
は、「1番バッターを三振にした後、レフト前に運ばれ丁寧に行こうと、結果的
に手が振れなく、自分のピッチングが出来なかった」と反省しきり。連続毎回三
振については「気にしていない。たまたま、三振が取れているだけ」とあっさり
。「次回は、どんな場面にでも手を振ることに心掛けたい」と、次に気持ちを切
り替えていた。
□主将の
田口蒔人(3年・青葉緑東シ)は、「序盤に点数が取れなくて、ベンチ
の雰囲気が悪かった。6回に突き放したが、その裏にホームランされる展開で中
盤まで縺れた。終盤早々、打線が繋がり結果8回コールドで勝てたが、序盤に点
が取れていれば、縺れること無く楽に試合が運べたと思う。東海大甲府戦は練習
試合で15対13と乱打戦だった。準々決勝では守りから攻撃に繋げる野球に心
掛けて戦いたい」と述べた。
□
須田喜照監督は、「後一本が出ない。打撃陣のエンジンが掛かるのが遅い。エ
ースの廣瀬には納得がいかない。前回の方が球のキレが良かった。今日の廣瀬は
腕の振りが課題」と敢えて苦言を呈した。「坂本は1年生ながら、4・5・6番
を良く押えた」と手応えを感じていた。東海大甲府戦は「手の内を知る者同士。
中1日、明日1日でチームをチェックし修正するしか無い」と小瀬球場をあとに
した。 文(H.K)、カメラ(八巻和夫)
アルバムはこちら