山梨学院パブリシティセンター
酒折連歌講座2011
〜選者のもりまりこさんが楽しみ方を指導〜
〜鑑賞指導−五・七・七でつづる心の手紙−〜

山梨学院生涯学習センターと酒折連歌賞実行委員会は6月4日、「酒折連歌講座2011」第2回を開催した。酒折連歌講座は今年で4年連続開催、例年同様に3回の歌あそび講座が実施される。また、今年度から一般応募者と共に、国民文化祭に向けて新たに結成された「酒折連歌の会」の会員も一緒に講座を受講すること になった。第1回は5月28日に行われ、川手千興実行委員長が「付合の妙味―『去来抄』を中心にしてー」と題し連歌と連句・俳句との違いなどについて講義を行った。4日の第2回は、酒折連歌賞の選者で歌人のもり まりこさんが「鑑賞指導―五・七・七でつづる心の手紙―」と題し、過去の入賞作品を参考例に、鑑賞の仕方 ・楽しみ方についてアドバイスを行った。第3回は、6月18日に同選者の今野寿美さんが「実作指導―片歌問答の楽しみー」と題して作品作りの実技指導を行う。
第2回講座は、山梨学院50周年記念館クリスタルタワー6階生涯学習センター講義室で行われ、一般受講者と酒折連歌の会の会員合わせて50人が出席した。開講に先立ち、川手千興実行委員長が講師のもりまりこさんのプロフィールを紹介した。もりまりこさんは、1965年生まれ、鹿児島県出身、大阪芸術大学文芸科卒、大阪の広告プロダクションにコピーライターとして勤務、大阪の俳句結社「青玄」に所属し最初は俳句、のちに短歌の世界に入る、1998年フーコー短歌賞受賞、1999年歌集「ゼロ・ゼロ・ゼロ」刊行、2000年より酒 折連歌賞選考委員、現在山梨学院大学ホームページに「もりまりこのうたたね日記」を連載中、神奈川県藤沢市在住。
 
もりまりこさんは、講座の最初に、八木重吉の4行の詩「心よ]と、3行詩「在る日の こころ」を参考例に、詩や歌の味わい方についてアドバイスを行った。
「心よ」八木重吉
こころよ では いっておいで
しかし また もどっておいでね
やっぱり ここが いいのだに
こころよ では 行っておいで
 
「在る日の こころ」八木重吉
ある日の こころ 山となり
ある日の こころ 空となり
ある日の こころ わたしとなりて さぶし
もりまりこさんは「心というものは見えない世界、万葉集の時代から心というものに対して、様々な歌が歌われてきた。同じ「心」という言葉を、漢字で表すのと、ひらがなで表すのとでは、受け手に伝わるこころの響きがずいぶん違う。八木重吉の詩は「こころ」という短い表現から、世の中に永遠というものなどないとい う受け止め方など、受け手のその時の心や感受性によって、様々に受け止めることが出来る詩」。「伝わってくる作者の心を、自分の心で受け止めて、共有する楽しさを味わって頂きたい」と述べた。
 
もりさんは、さらに「短歌は一人だけで作る個の世界だが、連歌は人と人とのコミュニケーションを育む。誰かに呼びかけることによって、答えが返ってくる世界、酒折連歌に新鮮な喜びを感じている」と話し、過去の入賞作品を参考例に、「遠くに思いを馳せた片歌」「リズムとのつながり」「自然とのつながり」「からだ の感覚とのつながり」「記憶とのつながり」「祈りや願いのこめられた心の手紙」の6つに分類して、それぞれの歌の世界の味わい方について解説した。
 
「酒折連歌賞」は問いかけの五・七・七の片歌に、答えの片歌を五・七・七で返す二句一連の返歌問答。作歌上の約束事は五・七・七で返す以外はなく、自由な発想で遊びのように楽しく詠んで応募することができる歌遊び。今年の第十三回酒折連歌賞は、東日本大震災により、例年の4月1日から6月1日に遅らせて募集が 開始された。応募の締め切りは例年通り9月30日。最優秀作品の大賞には文部科学大臣賞と副賞十万円が贈られる。

詳しい募集内容と応募の問い合わせは
山梨学院大学酒折連歌賞事務局(TEL055-224−1641 ホームページ

アルバムこちら

Copyright (C) 2011 YGUPC. All Rights Reserved.