
山梨学院短期大学食物栄養科フードクリエイトコースの学生たちが、山梨特産の桃を加工した「桃餡」から8種類のスイーツを考案、6月16日に試食会が開かれた。製品を開発したのはフードクリエイトコースの2年生。全員でアイデアを出し合い、3~4人のグループに分かれて試作を繰り返し、「桃餡チーズモンブラ ン」など8スイーツを完成させた。山梨学院大・山梨学院短大・山梨中央銀行の三者は、昨年7月に地域産業の育成支援を積極的に推進する「包括的業務連携協定」を締結した。大学は現代ビジネス学部を中心に商業振興・街づくり振興についてアドバイス。短大は健康・食育に関するアドバイスを積極的に行っていく。今回のフー ドクリエイトコースの試みは、山梨中央銀行からの「若い学生たちのアイデアで、県産加工品に新しい息吹を」という要請で実施された。アイデアを求めたのは、笛吹市一宮町の「いちのみやママさん工房」、ここで7年前に考案されたものの商品にするのは難しいと眠ったままになっていた「桃餡」が、学生たちのアイデアによっ て商品化への道を歩み始めた。
山梨学院短大のフードクリエイトコースは、食物栄養科に昨年開設された新コース。「洋菓子」「和菓子」「製パン」の3分野と、レストランサービス分野のプロフェッショナルを目指す人のために新設されたコース。ここで学ぶ学生には、菓子作り・パン作りの国家資格「製菓衛生師」と「レストランサービス技能士3級」の受験資格・中学校教諭二種免許状(家庭)が与えられる。食文化を創造するプロフェッショナルを要請する定員30名の少数精鋭製菓衛生師養成コース。学生の多くが地元山梨の出身で「フルーツ王国やまなし」の将来を担う人材育成の場として注目されている。
学生たちは5月に依頼を受けて以来、2年生全員でアイデアを出し合い、3~4人のグループに分かれて、試作を繰り返してきた。最終的に「桃餡ロールケーキ」「桃餡チーズモンブラン」「桃餡レアチーズケーキ」「桃餡どら焼き」「桃餡アイスクリーム」「葛桃」「桃餡パンナコッタ」「桃餡ボイゲル」の8スイーツを 完成させた。16日の試食会には、依頼主の「いちのみやママ工房」と山梨中央銀行の関係者が出席して作品の味を確認した。学生の一人
伊藤創真さんは「商品開発に取り組んだのは初めて、いつもの授業と違いレシピもないので、最初は戸惑いました。みんなで意見を出し合い、それぞれ思いを込めて完成させました。商品として世に出せるかどうかはわかりませんが、今はホッとしています」と話している。
いちのみやママ工房の小川苗美代表は「7年前に桃餡を考案しましたが、商品化は難しいと取り組んでくれるところがありませんでした。中銀さんに学生さんたちを紹介して頂きましたが、まさかこんなにたくさんアイデアを出してくれるとは、しかも、全部が美味しい。商品化のオファーを頂けるように働 きかけたい」と述べた。
山梨中央銀行営業統括部の込山紀章調査役は「地元銀行として大学・短大と連携し、山梨の特産品に付加価値をつけた商品開発を支援していきたいと考えています。大学の現代ビジネス学部にはマーケテイング関係、短大の食物栄養科には食育について、それぞれ相談していきたい」と語った。
山梨の特産品に新たな息吹を与えた学生考案の新スイーツは、山梨中央銀行が仕入れ業者を山梨に招いて7月6日に開催する商談会「やまなし食のマッチングフェア」への出品も検討されることになった。
文(M.I) カメラ(藤原 稔)
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