
大学日本一を決める団体戦"平成23年度全日本学生柔道優勝大会(男子60回・女子20回、全日本学生柔道連盟60周年記念)は最終日の6月26日、東京・日本武道館で男子の4回戦から決勝戦までを行った。前日に女子が5人制の部創部初の2連覇(通算4度目)を達成した山梨学院大柔道部男子は、男子初優勝を胸に最終日決戦に挑んだ。4回戦で関西大に3−2 と辛勝して勢いに乗った。5回戦で早稲田大を4−0と圧倒、準々決勝で日体大に4−2と競り勝ち、準決勝に進出した。日本の学生柔道界は、東京・近畿勢が伝統的に強く、高校時代に頭角を現した学生は、東の東海・明治・国士舘・筑波、西の天理・近畿に集中する。昨年のこの大会で山学大男子が地方私学初のベスト4に進出 した時、柔道関係者から驚きの声が上がった。そして今年、エリートなど誰もいない雑草軍団(柴崎主将の言葉)の山学男子が、女子の優勝に匹敵する2年連続ベスト4入りを果たした。準決勝で4連覇(17度目)を達成させた常勝軍団東海大に敗れたが3位の地位を獲得した。山梨学院ここにあり、まさに地方私学の雄となった 。
山梨学院大柔道部は、5月の関東学生柔道優勝大会で、女子は2年連続5回目、男子は6年ぶり3回目の優勝を獲得した。そして、その勢いを全国に持ち込み、女子は前日に4回目の大学日本一を2連覇で達成、男子は創部初優勝・男女アベック優勝を胸に最終日の畳に上がった。4回戦の関西大戦は3−2と辛勝。5回戦の 早稲田大戦は4−0と圧倒。準々決勝で東海大、国士舘大に次ぐ東京3位の日体大と激突した。
準々決勝≪山学大vs日体大≫ (6/26) 於 日本武道館
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先鋒 |
次鋒 |
五将 |
中堅 |
三将 |
副将 |
大将 |
山学大 |
藤木 |
柴崎 |
鈴木 |
中村 |
阿部 |
帆高 |
増田 |
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引き分け |
○
一本勝 |
●
一本負け |
○
一本勝 |
●
一本負け |
○
一本勝 |
○
一本勝 |
日体大 |
鈴木 |
豊田 |
村上 |
土田 |
下和田 |
森内 |
小林 |
山学大4勝2敗1分勝利
先鋒の藤木暢志(2年 汎愛90kg)が引き分けた後、次峰の主将柴崎裕亘(4年 福岡舞鶴100s)と中堅の中村剛教(3年 京都共栄学園73s)が一本勝ちしたが、五将の鈴木誉広(1年 弘前実業135kg)と三将の阿部亜人(4年 利根商130s)が一本負け、2−2のタイで副将・大将戦を迎えた。ここで関東を制した時と同様に4年生が踏ん張ってチームに勝利を呼び込んだ。副将の帆高純平(4年 福岡大大濠81s)が一本勝ち、大将の増田哲也(4年 大牟田125s)も一本勝ちを収め、準決勝進出を決めた。
準決勝≪山学大vs東海大≫ (6/26) 於 日本武道館
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先鋒 |
次鋒 |
五将 |
中堅 |
三将 |
副将 |
大将 |
山学大 |
柴崎 |
藤木 |
鈴木 |
中村 |
阿部 |
増田 |
帆高 |
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○
一本勝 |
●
一本負 |
●
一本負け |
●
一本負 |
●
優勢負 |
引き分け |
●
一本負 |
東海大 |
橋本 |
豊田 |
羽賀 |
王子谷 |
穴井 |
高木 |
吉田 |
山学大1勝5敗1分敗退
先鋒の主将柴崎裕亘が開始早々に足払いで一本を取り、いい流れを作ったが、後が続かなかった。副将の増田が100s級の世界選手権代表高木海帆と引き分けた以外は、173cm・90sの藤木が188cm・120sの豊田竜太に横四方固め、182cm・135sの鈴木が187cm・103sの羽賀龍之介に内また、170c m・73sの中村が186cm・110sの王子谷剛志に支え釣り込み足、185p・130sの阿部が176cm・90sの穴井帆史に優勢負け、175cm・81sの帆高が171cm・90kgの吉田優也に十字固めを決められ、1勝5敗1分けで屈した。東海大は、決勝で国士舘大を3−2で下し、最多タイの4連覇と単独 最多の17度目の優勝を果たした。大会優秀選手に山学大から主将の柴崎裕亘が選ばれた。
西田孝宏男子監督「エリート集団の東海大とは力の差があった。山梨学院は、インターハイに出たことのない選手や、出るのがやっとの選手の集団。実績のない選手を、鍛えて、鍛えて、ここまで作り上げて来た。全体的にみると本当によく頑張ってくれた。特に日体大戦は頑張ってくれた。来年につながる、後輩につながる戦いをしてくれた という思いでいっぱい。体重別でもう一度挑戦する」と闘将は語った。
5月の関東大会で優勝した時、主将の柴崎裕亘は次の言葉を残した。「筑波大は高校時代から実績のある選手のエリート軍団、我々は雑草軍団、皆の力を集めて、皆で掴み取った6年ぶりの優勝。失点がなかったことは、全国につながると思う、全国で優勝を目指す」と全国での活躍を誓った。山学男子は、柴崎・帆高・増田 ・中村の四天王を中心に、全員が力を合わせ大健闘したが、常勝軍団に屈した。東海大戦後の
柴崎裕亘主将の言葉は、「目の前の試合の事だけ考えろと監督もおっしゃっていたので、選手も一つ一つ試合を積み上げて頑張ってきた。東海大とは力の差がありました、まだまだ練習が足りないです。(自分が勝って)いい流れが作れたと思ったが、やはり実力差にはかなわなかった。これが今の自分たちの実力かと思う」と肩を落とし、そして「また一から修行です」と語った。去年3位になった時の山学男子は、大喜びで日本武道館の畳の上で記念撮影をした。今年の山学男子は、記念撮影などせず、悔しさをその胸に刻み 込んで涙をこらえていた。そこには確かな成長の姿が映し出されていた。
文(M.I) カメラ(平川大雪)
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アルバム準々決勝 |
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