第93回全国高等学校野球選手権山梨大会(第10日)は21日、小瀬球場で準々決勝4試合を行った。第1試合は2年ぶり5回目の甲子園を目指す山梨学院と春の覇者で7年ぶり11回目の甲子園を目指す東海大甲府戦が行われた。激闘の末、山梨学院が9回裏5対4のサヨナラで東海を振り切り準決勝に駒を進めた。後攻の山学は、エース左腕・廣瀬直紀(2年・富士河口湖シ)が7回を3安打無四死球5三振と猛攻打線を封じ込める好投。攻めては、3回裏に主砲4番・小林義弘(2年・千葉市シ)の右芝席の場外に出る2ラン[ 大会記録タイとなる3試合連続本塁打 ]などで4対0とリード。8回裏エース左腕・廣瀬は、プロ注目の高橋周平を満塁で打席に迎え真っ向勝負し、右越えフェンス直撃の3点適時打を打たれ4対4の同点とされた。山学は9回裏、7番・加藤久也(2年・千葉市シ)の安打と犠打で一死二塁とし、9番・青戸角太郎(青葉緑東シ)の右前打で、二塁から加藤が一気に生還し、東海に5対4のサヨナラ勝ちを収めた。準決勝進出を決めた山学は23日、小瀬球場の第1試合(9時00分)で決勝進出を賭けて甲府南高校と戦う。
☆第93回全国高等学校野球選手権山梨大会(第10日) 於 小瀬球場
東海大甲府 |
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山梨学院 |
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1× |
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[山梨学院]
投手:廣瀬(9回、126球、10安打、1四死球、7三振)
捕手:丸山
本塁打 小林 二塁打 田口 廣瀬
[東海大甲府]
投手:神原(5回、70球、6安打、2四死球、2三振、暴投1)
投手:本多(3回2/3、38球、4安打、2犠打、1三振)
捕手:石井
二塁打 高橋
●山梨学院は1回表、マウンドに8番エース左腕・廣瀬直紀(2年・河口湖シ)が上がった。廣瀬は期待にこたえ3者凡退に打ち取り素晴らしい立ち上がり。
●3回裏、先頭打者のエース・廣瀬が左中間への二塁安打で出塁すると、9番・青戸角太郎(2年・青葉緑東)の犠打が内野安打となり無死一二塁としたが、内野ゴロで三塁封殺で一死一二塁とした。続く、2番・鈴木孝昌(3年・八王子シ)の一球目がワイルドピッチを招き一死二三塁。鈴木の「気持ちを楽にして、インコース真ん中の真っ直ぐを思い切って振った」球が、右前適時打となり山梨学院が先取得点をあげた。続く、3番・丸山陵司(3年・調布シ)の内野ゴロで二塁封殺の間にランナーが生還し2対0。さらに二死一塁から、主砲4番・小林義弘(2年・千葉市シ)が「真ん中高目のスライダー」を叩くと右芝席の場外に出る特大の2ラン。山梨学院は小林の大会記録タイとなる3試合連続本塁打で4対0とした。
●山梨学院は8回表、7回まで好投していたエース左腕・廣瀬が、先頭打者の6番に安打。一死後、9番を内野ゴロで二塁封殺し二死一塁三塁とした。しかし、1番打者に右前適時打され4対1。続く2番打者に、この試合初めての四球を与え二死満塁とされ、プロ注目の高橋周平を打席に迎えた。エース左腕・廣瀬は、この試合に高橋と真っ向勝負で、一塁ゴロ、投手ゴロ、遊撃飛に打ち取っての4回目の対戦、1ー0からの「甘く入ったスライダー」を右越えフェンス直撃の3点適時打を打たれ4対4の同点とされた。
●山梨学院は9回裏の一死後、7番・加藤久也(2年・千葉市シ)が6回からのリリーフ投手の「外、高目のスライダー」を思い切り振り抜き左前安打で出塁。この試合2打数2安打と投打に活躍のエース左腕・廣瀬の犠打で一死二塁とし、9番・青戸角太郎(青葉緑東シ)が「真ん中、高目のストレート」を右前に弾き返すと、二塁から加藤が一気に本塁に生還し、東海大甲府に5対4のサヨナラ勝ちを収めた。
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■9回裏ヒットで出塁し、サヨナラのホームを踏んだ7番・加藤久也(千葉市シ)は「新チームになって、秋・春ともにベスト8だったので、今日は勝ちたかった」。「東海は同点に追いつき勢いに乗っていたので、この回で決めてやろうと打席に入った。出塁(安打)し、廣瀬の送りバントでセカンドに、2アウトだったので角太郎の打った球が角度的に抜けたと思ったので猛ダッシュした。三塁コーチャーの大崎(陽平、3年・浦安シ)さんの手が回っていたのと応援スタンドが盛り上がっていたので、そのまま迷わずホームを突いた」と心境を語った。
■サヨナラ打を決めた9番・青戸角太郎(2年・青葉緑東シ)は「加藤が出て、廣瀬が確り送ってくれたので、後は自分が加藤を還そうと、気持ちを楽にして集中して打席に入った。真ん中高目の真っ直ぐを叩いた。外野に抜け加藤が還り、嬉しかった」。「次も自分らしいプレーをして、チームに良い結果をもたらせたい」と目を輝かせた。
■先制打を放った2番・鈴木孝昌(3年・八王子シ)は「先制点が欲しかったので、無我夢中で打った。次の試合でも『頭は冷静、気持ちは熱く』を心がけて戦いたい」と、単刀直入に述べた。
■ライトスタンド場外へ2ランを放ち、3試合連続本塁打とした4番・小林義弘(2年・千葉市シ)は「ホームランを狙って打席に入っていない。チームバッティングに徹して、甘い球を捕らえようと集中して打席に入っている」と強調。「1打席目に感触良く打球を捕らえていた(前打席、右に特大ファール)のでフルスイングした」と自信を覗かせ「準決勝でも得点につなげるバッティングでチームの勝ちに貢献したい」と、力強く述べた。
■ 東海打線に真っ向勝負を挑み続けたエース左腕・廣瀬直紀は「東海戦『自分が抑えられれば勝つ、自分が打たれれば負ける』というプレッシャーはあったが、こうしたステージに立てることに感謝し、『やってやろう』とプラス思考で臨んだ」と試合前の心境を語った。投球については「立ち上がりが何時も悪いので、特に立ち上がりは低目に丁寧に投げた」。「打線が点を取ってくれると信じていたので、自分のピッチングに気持ちを込めて投げられた」と振り返った。「次回も、気持ちを込めて投げ、チームに貢献したい」と、清々しい顔で述べた。
■ 田口蒔人主将(3年・青葉緑東シ)は「廣瀬が同点でぎりぎり良く踏ん張ってくれた。打線も上手く噛み合った」と胸を撫で下ろした。打撃陣は東海戦に向けて「相手投手の外の出し入れを研究していたが、試合では振ってはいけないところで振ったりして、五分五分の出来だった」と、辛口評価。「今は部員全員で戦えている。チームのムードが一試合一試合ごと、良くなっている。準決勝も部員全員で雰囲気をつくり、全力で戦い抜きたい」と、決意を新たにしていた。
■須田喜照監督は、先発完投したエース・廣瀬について「廣瀬は、今まで1番良いピッチングをしてくれた。」と開口一番、廣瀬を絶賛。「満塁で高橋選手と真っ向勝負させた。スライダーが甘く入り同点とされたが、廣瀬に動揺は無かった。エースとして成長したと思う」と目を細めた。「試合前に、『東海打線を抑えようと思うな。練習している姿を思い浮かべて投げなさい』とアドバイスした」と、エース・廣瀬の仕事に満悦しきりだった。攻撃面では「3回に小林の今大会タイ記録の3試合連続本塁打などで4得点。9回裏の利点を生かしての加藤の安打、廣瀬の犠打、青戸のタイムリーと3人でサヨナラ勝ちとなり、日頃の練習が実った」と選手を褒めた。「次回も、一人一人が1つ1つ出来ることを確りして、戦いに臨む」と、再び戦いの顔に戻った。文(H.K)、カメラ(平川大雪)(八巻和夫)
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