横浜市の横浜国際プールで９月２日から３日間にわたり開催された"学生日本一決定戦"第８７回日本学生選手権水泳競技大会（インカレ）競泳競技が閉幕した。最終日の４日は男女７種目の予選・決勝が行われ、すべての種目で母校の名誉を賭けた戦いが速く！熱く！美しく！繰り広げられた。山梨学院チームは、４００ｍ個人メドレーで加藤　和、２００ｍ平泳ぎで鈴木聡美がともに優勝を飾った。加藤は前日の２００ｍに続く２冠、鈴木は初日の１００ｍに続く２冠。加藤が２００ｍ派遣標準記録を突破する自己ベストで泳ぐなど、来年のロンドン五輪出場を目指す２人が、日本代表に向けて大きく前進した。学校対抗得点争いは、女子４位・男子１６位となった。女子は３連覇がかかっていたが、 戦前の戦力分析では５位が予想された。しかも短距離のエース下中千明が発熱でダウン、非常に厳しい戦いだったが、リレーの弱点背泳ぎを新人がカバーした他、主将の前原優理が最終日に医務室に運ばれるほどの体調で懸命にチームを引っ張るなど、チーム山梨学院の選手・マネージャーが全員の心を一つにして一丸となって戦い抜いた。

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加藤　和が課題の前半を克服して２冠（女子４００ｍＭリレー）
加藤　和（かとう　いずみ　３年　桜の聖母短大）は、この日リレーの予選・決勝と合わせ、１日に４レースを泳いだ。４００ｍメドレーリレー決勝は、８００ｍリレー予選の２時間後だったので疲労が懸念されたが、そんな心配は無用だった。加藤は後半型だが、この日は積極的に飛び出し、最初のバタフライ５０ｍをトップで通過した。やや苦手の背泳ぎで３位に下がったが、得意の平泳ぎで１位に上がり、最後のクロールでは２位の昨年チャンピオン末永京香（中京大）を完全に体一つ放して４分４０秒５２でゴールした。加藤　和選手は「２００ｍは派遣標準Ｂを突破できたが、４００ｍは出来なかった。派遣タイムを切らないとオリンピックに行けないので、基礎体力をしっかりつけてスピード強化を図っていきたい」と五輪への思いを語った。
 
鈴木聡美インカレ２００ｍは初優勝（女子２００ｍ平泳ぎ）
鈴木聡美（すずき　さとみ　３年　九産大九州）は、１００ｍは初日に３連覇を果たしたが、１年の頃には苦手意識があった２００ｍはインカレでの優勝はまだない。予選は藤本紗綾（東海大）に次ぐ２位で通過した。入場してきた鈴木の首には、５人の４年生が手作りしてチーム全員に贈った"必勝祈願だるまお守り"が掛けられていた。スタート前のいつもの動作、体を叩き、両手を回し、最後に胸をポンポンと叩いてスタート台に上がった。０,６２の一番早い反応で入水、上下動の大きい他の選手と比べるとゆったりした大きな泳ぎ、５０ｍで早くも頭一つリードしてトップに立ち、そのまま後半もゆったりした力強い泳ぎでゴール、インカレ２００ｍ初優勝を果たし２冠に輝いた。鈴木聡美選手は「今シーズン２００ｍはタイムが良くなかった。仲間の声援がとてもよく聞こえて、チームのために貢献出来て良かった。世界水泳で緊張した舞台を経験しました。オリンピック代表になることを目標にして、選ばれたら緊張した舞台でも自分のレースができるプレッシャーに打ち勝つ泳ぎが出来るようにしたい。今年は総合優勝を逃しましたが、来年は皆で力を合わせて取り戻したい」とオリンピックへの思いとインカレへの思いを語った。
 
この他の種目では、８００ｍ自由形決勝に進出した野中瑞姫（のなか　みずき　３年　佐賀学園）が、８分４７秒２９で泳ぎ５位に入った。野中瑞姫選手は「４００ｍが思ったより悪くてショックだったが、８００ｍは思ったより良かった。５位で１４点貢献出来てホッとしました」と振り返った。女子８００ｍリレーは８位、男子８００ｍリレーはＢ決勝６位（全体１４位）となった。
 
大会終了後、全選手を集めた神田忠彦監督は「いい人もいたし悪い人もいた、皆がいいということはありえない。４年生のほとんどの人はこれで水泳人生を終える、本当にご苦労様でした。３年生以下は来年に向けて頑張ってほしい。短期間の努力では成果は出ない、毎日努力を積み重ねていくしかない、一人ひとり目標に向かって頑張りましょう」と話した。取材の質問に対し神田忠彦監督は「体調を崩した人もいたが、良くやってくれた。男子はトップレベルの選手はいないがＢ決勝に進むなど、自分たちの能力の中では高い所に伸ばしてくれた。来年は、加藤と鈴木をオリンピックに送り出し、その勢いでチームの全員がインカレで自分の力を発揮できるようにしてもらいたい」と総括した。
 
文（Ｍ．�T）　カメラ（平川大雪）
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