
山梨学院短期大学は10月4日、山梨学院創立者 故古屋眞一初代学院長、故古屋喜代子初代学長の建学精神を訪ね、未来にわたり継承すべきものを確認する会「第32回木犀の会」(もくせいのかい)を開催した。この会の名称は、古屋喜代子学長の忌日が、木犀の香りがただよう頃であったことと、謙虚で温かい人柄を偲ばせる花であることから名づけられた。亡くなられた翌年の1980年10月4日から毎年開催されている。「学生が自らの道を切り開くには "真・善・美"にあこがれを持つことが大切」という教えから、この日を芸術鑑賞の日と定め、今年度は国内外で活躍する6人の演奏家によるクラシックコンサートが開かれた。また、この日、60周年記念館サザンタワー3階の床面に張られた24枚のミラーガラスが一斉に輝きだし、5階天井に"七色の虹"が出現した。この虹が現れるのは1年に2回だけ、秋の10月4日12時05分と、春3月10日12時26分、天候に恵まれないと見られず、わずか15分前後で姿を消してしまう幻の虹。建学精神の象徴として、今秋もサザンタワーに姿を現した。
山梨学院短大45号館南側の川沿いには、6本の金木犀と7本の銀木犀が植えられている。金色と銀色に輝く花が先週末から咲き始め、この日に合わせたように満開となり、強い香りと輝きを放っている。木犀の会は、山梨学院短大生と山梨学院大健康栄養学部の学生約600人が、メモリアルホールの全席を埋めて行なわれた。「たまゆらの いのちを とわに托さんと 若き欅を校庭に植ゆ、大いなるものをば たのみまいらせて 心ゆたかに ありたしと思う、学院のすべての人に幸福と 平和来たれとひたに祈るも」と歌った古屋喜代子初代学長の教育への思いと、建学の精神が記されたパンフレットが全学生に配布された。開会にあたり
赤井住郎短期大学長は「本学に学ぶ学生諸君が、建学の精神と、創立者が学生に望んだことをかみしめて、自らの前途を力強く、美しく造り出していかれることを望みます」と挨拶した。コンサートは、最初にクラリネット奏者の三倉麻実さんが、クラリネットという楽器の特性と面白さが判るシュライナー作曲「インマー・クライマー」を演奏、オーボエの松岡裕雅さん、ファゴットの森純一さんらがそれぞれ独奏を行い、最後に6人の出演者全員によるピアノと木管五重奏でプーランク作曲「六重奏曲」が演奏された。
コンサートが終了したのは、午前11時50分、その直後の正午過ぎ、サザンタワー3階の床面に張られた24枚のミラーガラスが一斉に輝きだした。そこから発せられた光線が4階5階の吹き抜けを射抜いて5階の天井を七色に染める現象が起きた。これは、建学の精神を象徴する光として、サザンタワー建設時に設計者に依頼し、建築者が苦心して完成させた芸術作品。建物の中央を突き上げて設けられた天窓から、レインボープラザと名づけられた3階の床面に太陽の光が降り注ぎ、そこから色彩を抽出して、天井に虹を浮かび上がらせる演出が施された。この虹が現れるのは1年に2回だけ、秋10月4日12時05分と、春3月10日12時26分、天候に恵まれないと見られず、わずか15分前後で 姿を消してしまう。建学精神の象徴は、この日半年ぶりにその姿を現した。演奏会を見終えた学生たちがレインボープラザに駆け付け、携帯カメラに幻の虹を映し込んでいた。
文(M.I) カメラ(平川大雪)
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