
平成23年度(男子30回・女子27回)全日本学生柔道体重別選手権大会が10月8日、東京・日本武道館で開幕した。各階級の学生日本一を決める2日間の大会に、山梨学院大からは、男子12名・女子12名が出場する。初日は、男子は軽量級の60s級から中量級81s級までの4階級。女子は、中量級の63s級から重量級の78kg超級までの4階級が行われた。山学勢は、4人がベスト4に進出し、男子73s級の中村剛教と女子78kg超級の山部佳苗が準決勝戦を勝ち抜き決勝に進出、二人揃って優勝を飾った。山学男子の優勝者は、3年前の西田大悟以来2人目の快挙。中村は、3週間前の国際大会で肩甲骨にひびが入るけがを負いながら、得意の袖釣り込み腰を鮮やかに連発させて 初優勝を獲得した。女子の山部は、社会人とも戦う講道館杯で昨年度の日本一に輝き、今や最重量級の第1人者だが、学生の大会は今回が初優勝、得意の払い腰を連発させて貫禄の優勝を決めた。男子66s級の清水健登は準決勝延長戦で惜敗、女子78kg超級の井上愛美とともに3位の表彰を受けた。
≪男子73s級決勝 中村剛教vs太田慶一≫
中村剛教(3年 京都共栄)は、3週間前の国際大会で肩甲骨にひびが入るけがを負い、まったく練習が出来ないまま、出場が危ぶまれるほどの最悪の体調だった。テーピングで肩を固定させ、ぶっつけ本番で大会に出場、準々決勝は袖釣り込み腰、準決勝は巴投げ、ともに鮮やかな一本勝ちで制し決勝に勝ち上がった。きりっとした武士の雰囲気を持つ中村は、孤高のサムライのような毅然とした姿勢で畳に上り、エリート軍団東海大のエース太田慶一との決勝戦に臨んだ。左組み手の中村に対し、太田は右組み手の喧嘩4つ、中村は故障を感じさせない動きで組み勝ち、多彩な技を繰り出した。そして、開始2分過ぎ、中村得意の袖釣り込み腰が鮮やかに決まった。エリートなど誰もいない雑草軍団( 柴崎主将の言葉)四天王(柴崎・増田・帆高・中村)の一人が、最悪の体調で最高の地位"学生チャンピオン"の座を射止めた。
中村剛教選手は「国際大会でけがをして、医師の診断は、肩甲骨にひびが入っているということだった。欠場はまったく考えなかった。試合前は不安だったが、前に踏み込むことを心掛けた。大きな大会で優勝するのは初めて、うれしい」。高校時代は無名だった中村は、山学大に入って急激に力を伸ばした。両親は上京して、わが子の試合を見守った。父親の中村直義さんは兵庫県加東市で柔道教室を開く柔道家「高3の時に、近畿大への進学が決まっていたのに、山梨学院に行くといわれて驚きました。西田監督率いる山梨学院に預けて本当によかった」と喜びを語った。
≪女子78kg超級決勝 山部佳苗vs土屋文香≫
最重量級最強の山部佳苗(3年 旭川大高)は、2回戦で二階堂智美(金沢学院大)、準々決勝で麻岡優子(近畿大)、準決勝で畑村亜希(帝京大)を簡単に退け、決勝の相手土屋文香(東海大)もまったく寄せつけなかった。開始1分に得意の払い腰を決めて危なげなく優勝を決めた。
山部佳苗選手は「直前の男子73s級決勝で、同じ3年の中村が目の前で豪快な一本を決めたので、自分も行こうと前に出ました。学生の大会では負けられないと思っていたのでホッとしました。このあとの体重別団体戦でチームに貢献して、講道館杯を2連覇したい」と語った。この女子78s超級のベスト8に、山学勢4人が勝ち進んだ。山部の他に、井上愛美(1年 愛媛新田)・甲斐南(4年 大分野津)・町純香(2年 山口西京)の3人が進出、最終結果は、優勝山部、3位井上、5位甲斐・町となった。出場選手全員がベスト8以上、山学女子は最重量級最強軍団であることを立証した。
男子66s級3位の
清水健登(2年 京都共栄)は、準決勝で高上智史(日体大)とゴールデンスコア方式の延長戦までもつれる試合をしたが惜敗した。「背負いと思って足払いを受けてしまった、悔しい。次の団体戦に向けてしっかり調整したい」と唇を噛み締めた。女子78s級3位の
井上愛美(1年 愛媛新田)は、浅見八瑠奈の新田高の後輩、日本一を目指して山学大に入学した。準決勝で土屋文香(東海大)に敗れ、先輩の山部佳苗との直接対決はならなかった。「組み負けてしまい、自分の柔道が出来なかった。まだ練習が足りない」と反省していた。この他の山学勢は、3回戦までに姿を消した。
2日目(最終日)の9日は、男子は重量級の90s級・100s級・100s超級の3階級。女子は軽量級の48s級・52s級・57s級の3階級が行われる。山学勢男子は、100s級に主将の柴崎裕亘、100kg超級に増田哲也・鈴木誉広・嘉山貴之が出場する。女子は、48s級に主将の黒江優希と高田知穂、52s級に加賀谷千保、57s級に吉元佳代と連珍羚が登場する。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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アルバム中村剛教選手 |
アルバム山部佳苗選手 |