
スケートシーズンの先陣を切り第34回日本学生ショートトラックスピードスケート選手権(インカレ)が10月22・23の両日、長野県南牧村帝産アイススケートトレーニングセンターで行われた。優勝回数男子16回、女子10回を誇る山梨学院大は、女子は5連覇、男子は優勝旗奪還を胸に大会に臨んだ。大会1日目の500mで山学勢が優勝を独占した。まず、膝に故障を抱えるスプリンターの中口雪絵が痛みとプレッシャーに耐えてインカレ3連覇を達成、北村優希が3位に入った。続いて行なわれた男子決勝で、大学に入ってから力を伸ばした2年の與那誠一が初の栄冠を手にした。2日目は、男子3000mで宮崎勇太が果敢な滑りで準優勝を獲得。與那誠一が1000mでは3位に入った。2日間の個人戦得点を合計して競う学校対抗は、女子が5年連続11回目のインカレ総合優勝を獲得。前年は不振だった男子が復活、準優勝を飾った。
≪女子500m決勝≫ 中口雪絵膝の痛みとプレッシャーを克服し3連覇達成
山学大から中口雪絵(3年 山梨学院高)、北村優希(4年 山梨学院高)、郷茉璃那(4年 白樺学園)の3人が決勝に進んだ。中口は、高校生の頃から少しずつ痛さが増していた膝が昨年悲鳴を上げた。診断の結果、完治させるには手術しかなく、その場合は2年間のリハビリが必要と判明した。選手生命の危機に立たされた中口は、膝と相談しながら騙し騙し無理しないでレースに臨む道を選択した。しかも、大会前日に熱が出て公式練習で転倒、不安な体調と連覇を期待されるプレッシャーに押しつぶされそうになり、前夜は一睡も出来なかったという。リンク4周半で勝負を決める短距離の500mはスタートが命。1コースの中口がスタートでポンと飛び出し、3コースからスタートした北村が2番手につけた。中口はそのまま先頭を守り切り優勝、北村は残り1周で河合奏聖(立教大)にかわされ3位、郷が5位となった。3連覇を達成した
中口雪絵選手は「連覇のプレッシャーと最悪の体調に一睡も出来なくて、予選で落ちる覚悟もしていた。予選を突破できた段階で気持ちが楽になり、決勝レースは先輩が2人いたので、失格さえしなければチームに貢献できると気楽に滑れました。11月の東日本では、ワールドカップに行ったメンバーに勝ちたい」と振り返った。
≪男子500m決勝≫ 與那誠一山学大に入りコーチの指導で自己流から脱却
與那誠一(2年 福岡・須惠高)は競技人口が少ない福岡県の出身、競い合う同世代の選手がなく、高校時代は我流の滑りだった。山学大に入り、長野・ソルトレイク五輪代表の篠原祐剛コーチの指導を受けて滑りを改善した。昨年は結果を出せなかったが、今年は急激に力を伸ばした。予選・準々決勝・準決勝をすべて1位で通過、決勝はトップタイムの選手に与えられる1コースからスタートした。女子の中口と同様に、スタートでポンと飛び出し、そのまま4周半トップを譲らずにライバルを押さえ込みゴールラインを滑りぬけた。大きな大会で初めて優勝の栄冠を手にした。初優勝した
與那誠一選手は「やっとここまで来た。優勝できるか自信を持てなかったので、ホッとしています。予選は出だしが良くなかった、準々決勝・準決勝で微調整して、決勝は1位を狙える最高のポジション(1コース)だったので、スタートからどんどん行った。出来過ぎですが、今の自分の力を発揮できて、金メダルが取れて満足です」と喜びを口にした。
この他のレースでは、2日目の男子1000mで與那誠一は最終コーナーを回り残り10mまでトップだったが、後続の選手に押し出されて壁に激突(相手の選手は失格)2冠を目前で逃し惜しくも3位となった。男子3000mの宮崎勇太(3年 熊本・文徳高)は、昨年は大会前日の練習で膝に大けがを負い悔し涙を流したが、今年は力強い滑りで準優勝を獲得、嬉し涙に変えた。
川上隆史監督は「今大会は男女ともに優勝を目指して戦った。女子は4年生を始め全員の力で総合優勝を勝ち取った。個人的には、中口が3連覇を達成させ、他のメンバーも着実に得点を取ってくれて5連覇という快挙を達成させ、歴史を作ってくれた。男子の準優勝は大きな収穫、ショート男子が復活して来た。個人的には、與那の成長が光った。すべて1位通過して決勝でも1位は成長した証。全員が一丸となって戦ったことが一番の収穫」と2日間の大会を総括した。
山梨学院大勢の主な成績
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成績
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種目
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名前
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備考
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優勝
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女子500m
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中口雪絵
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3連覇
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優勝
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男子500m
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與那誠一
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初優勝
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準優勝
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男子3000m
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宮崎勇太
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3位
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女子500m
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北村優希
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3位
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男子1000m
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與那誠一
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4位
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男子1500m
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宮崎勇太
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5位
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女子500m
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郷茉璃那
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5位
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女子1500m
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新海麻衣
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6位
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女子1500m
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北村優希
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6位
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男子1500m
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吾妻義尚
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6位
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男子1000m
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足立知生
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優勝
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女子3000mR
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新海・北村・郷・植田
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準優勝
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男子5000mR
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吾妻・宮崎・與那・平田
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学校対抗総合成績
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女子優勝
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山梨学院大
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2位
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早稲田大
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3位
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立命館大
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男子優勝
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大阪経済大
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2位
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山梨学院大
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3位
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神奈川大
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文(M.T) カメラ(平川大雪)
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アルバム女子500m |
アルバム男子500m |
アルバム男子1000m |
アルバム男子3000m |
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アルバム女子3000mリレー |
アルバム男子5000mリレー |
アルバム表彰式 |