男子第62回・女子第23回全国高校駅伝大会山梨県予選は11月3日、富士河口湖町の西湖湖畔周回コース(男子 42.195キロ、女子 21.0975キロ)で男子20校、女子13校が参加し、都大路の出場権一枠を目指して健脚を競い合った。男子・女子ともに山梨学院が、2位を大きく引き離し7度目のアベック優勝と11回目の都大路への切符を手にした。男子は、1区・上田竜平(3年)が先頭を奪うと、2区が区間新記録の激走、3区、4区が区間3位の走りで一時、山梨農林にトップの座を明け渡したが5区が力走し奪い返し、追い上げてくる山梨農林を6区が疾走し追随を許さない。アンカーの上田健太(1年)が笑顔で4年ぶりのゴールテープを切った。女子は、1区・田中結女(2年)が1分2秒離す走りでトップを奪うと、2区も区間賞の走りで新たに40秒の貯金をつくり独走態勢を築いた。流れに乗った山梨学院は3区・4区が区間賞(区間新)の走りで、5区のアンカー・塩川結(1年)に繋いだ。塩川は両足の筋肉が硬くなるアクシデントに見舞われながらも区間賞と粘り強く走り、3連覇を示す右手を高々と秋空に突き上げゴールイン。優勝した山梨学院の男女は、12月25日、京都で行われる全国大会(都大路)に山梨県を代表して出場する。
男子62回全国高校駅伝大会山梨県予選
〜11回目4年ぶりのゴールテープ〜 |
◆男子は、午前10時30分に西湖レストラン前から秋の湖畔に響き渡る号砲で一斉にスタートした。昨日、監督から7区から1区に交代を告げられた1区・上田竜平(3年)は「緊張はなく、いつも通りの走りをしよう」と自分に言い聞かせた。「予定通り落ち着いて抑えて行こう」と最後尾でのスタート。2キロ過ぎに「農林、韮崎の後ろについた」。「8キロまで、余裕があっても、並走した」と冷静に走る。8キロ過ぎから「余裕があったので韮崎、農林を抜き」、そのまま「1年生が2区から7区に配置されていたので、1秒でも早く2区に襷を渡そう」と快走、2区・西山が居る旧ガソリンスタンド前にトップで2位・韮崎に15秒差、3位・山梨農林に27秒差をつけ襷を届けた。2区・西山令(1年)は「1位で来るとは思っていたが、先輩が15秒差をつけて来てくれたので、落ち着いてスタートができた」と、千メートルは「想定の3分5秒より早い、2分57秒」で力むことなく通過した。西山は「自然に無理なく走れていた」ので、このままの流れを大切にし快調に飛ばす。中間地点の上り坂が「きつい勾配で苦しかったが,沿道の人の声援が励みになり」力走。一人旅だったが「どんどん飛ばして、相手を離して行こう」と走りを緩めることはしない。終盤の2キロ過ぎ、「下り坂が多くて、きつかったが、逆に、この下りを利用して行こう」と、下りでブレーキを掛けることなく、「チームのためにも行こうと思い、そのままの調子で走った」と快走する。残り1キロも相変わらず軽快に飛ばし、西山は2位の韮崎に43秒差、3位の山梨農林に58秒差をつけて、3区・河村が待つ西湖漁業組合駐車場に区間新・区間賞の快走で襷を手渡した。3区・河村知樹(1年)は「西山が1番でくると言われ、緊張がなくなった」。河村は「3分10秒で確り行こう」とスタート。しかし、最初の入りが、3分14秒とかかってしまい、「ペースを上げようとした」が3分13秒、3分12秒と「思う様に走れない」。慎重に入り過ぎてか、五千の通過が16分7秒と波に乗れない。中盤、遅れを取り戻そうと、「3分6秒と走りに切り替えて」力走。7キロ地点の上り坂は「苦しかった」が粘走。後半ラスト1キロ過ぎはペースを上げて力走したが、「前半、後半飛ばそうと抑え過ぎてリズムを崩してしまった」と、河村は2位の韮崎に23秒差と「西山の貯金(28秒)をほとんど使い切り申し訳ない気持ちと、矢ノ倉に挽回してくれという願いを込めて」区間3位・チーム1位で、西湖こうもり穴手前の4区・矢ノ倉に襷を託した。4区・矢ノ倉弘(1年)は「入りは落ち着いて走ろうと思い」スタート。千メートルで「普段より15秒遅く通過」し、あまりにも丁寧に入り過ぎた。その後、「ペースを上げようと、思い」自分を奮い立たせ「3分3秒とペースを上げる」が、「3分10秒にペースが落ちる」。これではいけないと、自分を叱咤激励し「3分3秒のペースを刻む」が、8キロという距離にまだ慣れていないので思う様には走れない。残り3キロで山梨農林に並ばれ、そのまま抜かれた。「追いかけようと思ったが、このペースでついて行ったら、潰れると思い」自重した。残り2キロ「体力が落ち、足が思う様に動かない、手も振れない」、それでもチームのため自分のために粘走。残り700メートルで韮崎に抜かれる。「韮崎はオーバーペースなので必ず抜き返す」と、追撃の機会を狙った。そのチャンスが500メートル手前で訪れた。矢ノ倉は韮崎を抜き返すと一気に、南が待つカーブミラー付近中継所に駆け込んだ。区間3位で、チーム1位の山梨農林に3秒差、3位の韮崎に4秒差で、5区・南に襷を託した。チーム2位で襷を受けた5区・南嘉紀(1年)は山梨農林が1位で通過して行くと「1番で来ると予想していたので、少し緊張した」。しかし、「直ぐ気持ちを切り替えてリラックスし」チームを信じ自分を信じて山梨農林を追った。千メートルの通過は「3分3秒」と少し早めに入った。中盤ではリラックスして快走。南は「残り千メートルで走りを切り替えようとしたがペースを上げることが出来ない」。9月中旬の捻挫で約一ヶ月間練習が思う様に出来ていないのが響いた。「やっと、ラスト500メートルで全力で走れた」と、自分に鞭打って走る。当初は区間新記録を塗り替えるのが目標だったが、「怪我で練習不足」となり区間新に終わった。南は山梨農林に15秒差をつけ、追い上げてくる韮崎に29秒の差をつけ青木ヶ原看板付近の6区・市谷に襷を手渡した。6区・市谷龍太郎(1年)は「トップで来ていることを聞き、自分もトップで渡そう」とスタート。「予定より5秒遅く入ってしまった」と抑え気味の走り。2.2キロ地点で「農林高校に抜かれた」が「オーバーペースで来ているので、ラストで抜けば良い」と落ち着いて「射程距離で走る」。3キロ過ぎ「農林を捕らえ、百メートル並走」し、そのまま「1秒でも早く健太に渡そう」と振り切り、追随を許さない区間新の疾走で、2位の山梨農林に24秒差、3位の韮崎に1分37秒差をつけて、雨林勧岳園オートキャンプ場で待つ7区・アンカーの上田健太(1年)に襷を繋いだ。7区・健太は「1ヶ月前から1区を告げられ、確り練習をやり過ぎて足に違和感を覚えた。一週間前から足に痛みが出た。1区に回った先輩が背負ったプレッシャーの分まで、7区で頑張ろうと気持ちを切り替えて臨んだ」。「どんな位置で貰っても、自分のペースで走ろうと気持ちを整えていたので3分4秒のペースで確り入れた」、「中盤、練習が一週間出来なかったので、呼吸は楽だったが足に来た。しかし、ペースを落とすことなく押せた」と、終盤「どんなに苦しくてもメンバーが笑顔で待っていてくれるので笑顔でゴールしようとラストスパート」。健太は不安を克服しての区間賞の走り、笑顔で4年ぶりのゴールテープを切った。山梨学院は7区間中の5区間で区間賞に輝く活躍。2年ぶり20回目の優勝を狙った2位の山梨農林に33秒差をつけて11回目の優勝を決めた。
◆第62回全国高校駅伝山梨県予選 山梨学院総合成績
◆男子64回関東高校駅伝大会出場権獲得校(11月19日 / 神奈川・丹沢湖)
☆ 山梨学院・山梨農林・韮崎・桂・巨摩・北杜。
◇上田竜平主将(3年)は「チームは毎年行ける行けると言われ、行けなくて、自分にとっては最後の年でプレッシャーを感じていた。合宿中に故障者が多く出て不安があったが、大会に近づくに連れて故障者も良くなり優勝できた。都大路では、チャレンジャーの気持ちと、多くの応援してくださる方々に支えられているという感謝の気持ちを持って、1年生が中心の若いチームなので、来年、再来年に繋がる走りをしたい」と述べた。
□箱崎孝久男子監督は「今年は怪我人が多く、10月にどうにか怪我人が復活した。今大会は、3年生1人で後は1年生というメンバーだったので、とにかく勝つことだけが目標だった。ここ3年間、1区で出遅れ、優勝できなかった。今回は1区・2区でリードしたが、3区・4区で山梨農林と韮崎に追いつかれハラハラドキドキしたが、後半力のある選手がいたので勝てた。昨日、2週間前から足に違和感のある1区の健太(1年)と7区の竜平(3年)を入れ替えた。このオーダーが上手くいった。竜平は落ち着いて入り後続の韮崎に15秒の差をつけて2区に繋いでくれた。健太も24秒差を33秒に広げゴールしてくれた。今日の出来は70%、後の残り30%を仕上げて都大路に臨みたい」と目を輝かせ語った。
| アルバム男子 |
女子23回全国高校駅伝大会山梨県予選
〜11回目3年連続の優勝旗を獲得〜 |
◆女子は、午前10時40分に西湖レストラン前からスタート。1区・田中結女(2年)は「昨年は、千晴先輩が1区で良い流れをつくってくれて、2区で気持ち良く走れたので、上手く流れをつくれる様に」と、序盤から積極的なレースをした。「相手を2キロ地点で、離せたので自分のペースで走れた」と快走。「後半は、自分でペース配分が上手くつくれず、設定タイムよりタイムが伸びなかった」と悔やむも、後続の韮崎を1分2秒離す区間賞の走りで、2区中継の麦わら帽子店で待つ鈴木に襷を渡した。2区・鈴木千晴(3年)は「結女が大きな差をつけてくれることを信じていたので緊張はなかった」と襷を受け取ると、「去年(1区)より2区として、後方の区間に1秒でも早く渡したい」とスタート。鈴木は「前半からペースを上げて走った」。「後半、ペースを上げられなかった。納得いかないタイム」としながらも自身で貯金を40秒つくり、後続の韮崎に1分42秒の差をつける区間賞で、民宿ふるさと前にいる3区・黒岩に襷リレー。3区・黒岩みさき(3年)は「後ろとの差があると聞いていたのでリラックスしていた」。「2区の鈴木が最後のキツイ上り坂にもかかわらず笑顔で襷を持って来てくれたので、自分も笑顔を力にして4区に渡そう」とスタートしリズムに乗る。「中盤、萩倉監督が沿道にいてくれて『リズムを取れ、先導車を追いかけろ。ここから(スピードを)上げて行けるぞ』と激励され力になった」とリズムを確り取る。「終盤、渡辺先生に『ラスト100だぞ。まだ行ける、まだ行ける』と励まされ、「3年生最後なので次に早く渡すぞ」と激走し、区間賞区間新記録で2位・韮崎に2分22秒の差をつけて、西湖漁業組合駐車場先の野田に襷を手渡した。4区・野田友梨花(1年)は「先輩方が繋いで来てくれた襷なので1秒でも早くアンカーの結に渡そう」と襷を受け取りスタート。気持ちが入り過ぎて「入りの目標タイム1分37より6秒早く飛ばしてしまい」それがたたり「中盤ペースダウン、落ち着いてリズムに気をつけ確り走ろう」と力走した。ラスト付近に「中学の恩師や山梨県の陸上の先生方が居て応援してくれた」、野田は無我夢中で頑張り、森下キャンプ場バス停の5区のアンカー・塩川に区間賞・区間新の走りで2位の韮崎に2分52秒の差で襷を渡した。5区・塩川結(1年)は「野田の姿が見えると、これから走るんだ」と気を引き締めた。「入りの1キロは練習と変わらない走り」。「リズムだリズムだ」と3分20秒で快調に走り抜ける。2.5キロ地点で「両足の脹脛(ふくらはぎ)に違和感を覚えたが、後ろとの差もあったので」気にせずに走った。徐々に「まだ、何キロもあるんだ」という気持ちが過ったが、「3年生はラストチャンス、ゴールしなければ」という気持ちが勝り不安は払拭でき粘走。終盤、沿道の「お父さん、お母さん達の応援に励まされ」両足の筋肉が硬くなるアクシデントに見舞われながらも力走。左に折れると民宿案内前のゴールテープが見えた。塩川は「これで皆で都大路にいけるんだ」と3連覇を示す手を高々と秋空に突き上げゴールイン。山梨学院は全員区間賞で山梨県大会新記録を樹立。3年ぶり13回目の優勝を目指した2位の韮崎に2分58秒差をつけて3年連続の優勝旗を獲得した。
◆第23回全国高校女子駅伝県予選 山梨学院総合成績
◆女子20回関東高校駅伝大会出場権獲得校(11月19日 / 神奈川・丹沢湖)
☆ 山梨学院、韮崎、山梨農林、桂、巨摩、北杜。
◇黒岩みさき主将(3年)は「3年連続優勝できた。日頃の萩倉監督の指導と保護者の方々のサポート、そして沿道での途切れのない声援が励みとなった感謝したい。この優勝はチーム一丸となり勝ち取ったが、チームにとってはまだまだ通過点。このチームは1年生中心のチームなので、タイムがまだまだ出ると思うので、これからも精一杯練習を積んで、関東大会、そして都大路で活躍したい」と述べた。
□四月から就任した萩倉史郎監督は「腕振りのリズムに気をつけて、自分達のやって来たことに自信を持て臨めば、絶対タイムは出ると大会に挑ませた」。「スタートの1区、2区で上手く行けば、行けると思っていたので経験者を1区・2区・3区に配置した」。「全国の五千メートルのランキングで日本人1位の田中の滑り出しが良く1分2秒離してくれた。2区・鈴木も40秒離してくれたのが良かった」と頷いた。しかし、「大会新記録でも総合タイムが11分台では悪い。試走では1時間10分30秒のタイムが出ていた。5区アンカーの両足トラブルで喰われた」と目線を落とした。関東大会、都大路では「メンバー、区間配置の変更もある」。「1区・2区・5区は長い距離でメンバーは限られるが、3千メートルはトライアルで9人目が9分38秒だった。3区・4区(3千メートル)は熾烈な争いになる」。「山梨代表として都大路は健康管理を徹底して、元気にスタートラインにつき、強豪校も多いが8位入賞を目指したい」と闘志が沸々と湧き出ていた。
| アルバム女子 |
文(H・K)、カメラ(今村佳正)(藤原稔)(藤原勇)