山梨学院パブリシティセンター
特別シンポジウム「東日本大震災から学ぶ」
 〜600人を超す市民や学生が聴講〜
 〜防災や減災に対する意識を高める〜

山梨学院大学は特別シンポジウム「東日本大震災から学ぶ−かけがえのない生命を守るために−」を11月16日、山梨学院メモリアルホールにおいて開催した。このシンポジウムは東日本大震災やその後の原発事故などの発生を受け、一人ひとりが「震災後の日本」にどのように向き合っていくべきかを共に考える機会として企画された。会場は600人を超す市民や学生が詰め掛け、シンポジウムの模様はWeb上でライブ配信された。シンポジウムでは、「防災・減災と日本社会」をテーマに発災後に多くの被災者を受け入れ、現在も支援活動を続けているNPO法人河口湖自然楽校校長の清水国明氏の基調講演、清水氏とジャーナリストの鳥越俊太郎氏とのトーク対談が行われた。さらに「自分が変わり、社会が変わる防災論」をテーマに有識者や専門家らによるパネルディスカッションも実施され、参加者一人ひとりが防災や減災に対する意識を高めていた。

会場となった山梨学院メモリアルホールには600人を超す市民や学生が集まり、防災・減災に対する意識の高さが伺えた。このシンポジウムはUstream(ユーストリーム)の協力により、Web上でライブ配信された。第1部の基調講演&トーク対談では、「防災・減災と日本社会」をテーマにNPO法人河口湖自然楽校校長の清水国明氏による基調講演とジャーナリストの鳥越俊太郎氏と清水氏とのトーク対談が行われた。清水国明氏の講演では、発災後の支援活動の様子や富士河口湖町での避難者の生活支援の状況などを紹介。さらに災害時の行動について@自分の体と命を守る「脱出」、A被災した人を自分たちで助ける「救助」、B延命の工夫「生存」、C広く長い支援システム「復興」の4つのステップに分けて解説した。さらに清水氏は「普段の生活の中で色々な情報を取り入れて即決判断していくことが大切である。今回の震災では、今まで作られたマニュアルが役に立たないことが白日のもとにさらされた。次の災害のために、色々なデータや情報、エピソードを収集し、自分自身の防災・災害に対する体質改善をしなければいけない」と語り、次の災害時のためにも意識改革が必要であることを説いた。鳥越俊太郎氏は清水氏とのトーク対談の中で自身のジャーナリストの経験や今回の震災取材を通じ「新聞やテレビなどのメディア・報道は、人間が取材し、編集し人間の主観が入るため欠陥もある。さらに時間と競争して取材しているため、不十分な情報が放送されることもある。我々は、「真実」と「事実」が違うことを認識しなければいけない。テレビに映っているものは事実だが真実ではない。放送では、ある部分しか切り取られておらず、画面の背景にある出来事までは放送されていない。テレビや新聞はその日の報道だけで判断せず、長い期間着目することで真実が見えてくる。本当の真実は、色々な角度から見ていく中で見えてくる」と語り、情報判断や物事の捉え方について詳説した。
 
第2部では「自分が変わり、社会が変わる防災論」をテーマに山学大法学部の竹端寛准教授がコーディネーターを務め、清水氏、鳥越氏にフォトジャーナリストの野田雅也氏、元横浜市消防訓練センター体育訓練担当課長の本田大三郎氏、山学大現代ビジネス学部の青山貴子専任講師が加わりパネルディスカッションが行われた。フォトジャーナリストの野田雅也氏は自身が現地を取材してきた経験をもとに「2004年のスマトラ島沖地震では、大津波の状況が世界中に伝えられた。今回の東日本大震災の大津波も想定外ではなかった。物資の買占めが各地で起こり、必要なものが被災地に届かなかった。災害はいつ発生するか分からないので二重三重の防災対策をとる必要がある」と述べた。自衛隊体育学校での指導経験があり、横浜市消防局の体育訓練課長も務めた本田大三郎氏は「人間の運動生理学的に言うと、酸素など呼吸をせず、とっさの時に行動できる範囲は7秒から8秒、体内の酸素や酵素を再生、循環などを行って動ける範囲が33秒程度、両方を足しても40秒ほど。その後は、乳酸が体内に溜まり体は動きにくくなる。とっさの時の行動などの「防災体育」は科学的・知的な見地から咀嚼をして小学校の頃から覚えさせる必要がある。消防の現場でも、非常呼集の訓練を頻繁に行い、体にとっさの行動を覚えこませている」と語り、小さい頃からとっさの時の判断力を養うことが必要であることを説いた。山梨学院内でボランティア組織の創設に関わり、自身も被災地に赴き活動している青山貴子講師は山梨学院としての被災地・被災者支援の取り組みや学生ボランティア活動の様子などを紹介し「これから必要なものは、冷静な視線で震災を見つめ直す学術研究。大学だから出来る長期的な視点の学術研究、シンポジウムの開催や情報、物理、放射線の専門家からの提言が必要になってくると思う」と語った。この他、実際に被災地に赴き活動した学生からも、学生の視点に立って報告がなされた。
パネルディスカッションの最後には、フロアから寄せられた質問などにパネラーが回答し、参加者一人ひとりが、今自分が何をするべきかを認識し、防災や減災に対する意識を高めていた。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)
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