
平成23年度「第55回全日本大学空手道選手権大会」(インカレ)が11月20日に大阪・大阪市中央体育館で開催された。大会には北海道から九州までの地区大会を勝ち抜いた男子62大学、女子55大学の精鋭が出場した。山梨学院大空手道部は、男女ともに優勝実績がある団体形の部に今年度もアベック出場した。合わせて、女子の団体組み手が関東大会を突破して連続出場を果たした。大会の結果、団体形は男女ともに準決勝で僅差で敗れ2年連続の3位となった。一方、初出場した昨年は初戦敗退に終わった女子団体組み手が大健闘を見せた。1回戦で東北学院大を下し勢いに乗った。2回戦で優勝候補の一角国士舘大を関東大会に続き再び撃破。3回戦で関西の強豪大阪商業大を打ち破った。準々決勝で優勝した帝京大に敗れたが、強敵を次々に下す快進 撃で初の全国ベスト8を獲得した。メンバーは、4年の平林沙織と、ともに2年の相澤里栄・松村菜々の3人。実績のある形と違い、組み手の実績はまったくなかったが、強化育成指定3年目で早くも強豪大学と対等に戦う力を見せつけた。
山梨学院大空手道部は、全国への出場権を競った10月30日の関東大学選手権で、女子団体形は2年連続の準優勝で出場権を獲得、男子団体形は1年生トリオで3位入賞を果たして進出した。また、女子団体組み手は、強豪の国士館大を下して全国に名乗りを上げた。
女子団体形の山学大メンバーは、森田真亜沙(3年 横浜立野)、保田恵美(3年 安芸南)、高橋茉里(1年 岐阜池田)の3人で試合に臨んだ。真ん中に小柄な高橋、左に森田、右に保田の布陣。きりっとした表情で切れ味のある演武を披露、7チームで競われた予選で22,1点を獲得し予選2位で準決勝に進んだ。同志社大との準決勝で選択した演武は「コウソウクン大」、止まった後の出だしなど細かいところがわずかにずれて、5人の審判による判定は2−3、僅差で敗れた。
森田真亜沙選手「いい仕上がりで来て挑んだが、本番で緊張して少しずれたのが敗因」。
保田恵美選手「3人の気持ちが一つになり切れなかったのかも知れない」。
高橋茉里選手「一番いい形が出来なくて残念です」。それぞれが反省を口にした。
男子団体形の山学大メンバーは、富田渓介(1年 山梨学院高)、白井鷹哉(1年 宇部鴻城)、中村凌耶(1年 鹿児島第一)の1年生トリオで臨んだ。真ん中にやや大きい富田、左に白井、右に中村の似たような体形の2人が並ぶ配置。予選のトップバッターで演武していきなり22,2点の高得点をマーク、残り10チームの結果を待った。結果は帝京大に次ぐ2位通過、準決勝で予選3位の沖縄国際大と対戦した。選択したのは「スーパーリンペイ」、実力を出し切る演武をしたが、迫力差で1−4で沖縄国際大に敗れた。
富田渓介選手「2位通過はうれしかったが、相手の大学ともっとやりあえる実力をつけてリベンジしたい」。
白井鷹哉選手「1年生トリオは自分たちだけだった。先輩との校内選考は厳しいが、来年もトリオで出たい」。
中村凌耶選手「悔しい思いの方が多い、来年は決勝に進めるようにした」。3人ともパワー不足を感じたと口を揃えた。
女子団体組み手は先鋒・中堅・大将の3人一組で競われる。山学大女子は、平林沙織(4年 松本蜂ヶ崎)、相澤里栄(2年 宇都宮文理)、松村菜々(2年 九州学院)の3人のメンバーで試合に臨んだ。1回戦の東北学院大戦は、先鋒の相澤が勝ち、中堅平林が敗れ、大将松村が勝利して突破した。2回戦の相手は優勝候補の一角国士舘大で大接戦となった。先鋒の相澤が4−3で勝ち、松村1−6で敗れ、決着は大将戦にゆだねられた。大将の平林は4年生、この大会が学生生活最後の試合、大舞台で4年間の集大成となる最高の試合をした。得意の中段逆突きを連発し4‐0と一気にリードした。しかし、ここから反撃され4−3と迫られ、さらに5−3、5−4と大接戦となった。緊迫した大将対決の 最後は、平林渾身の中段逆突き、6−4、ついに強敵に打ち勝った。3回戦の大阪商大戦は、先鋒の相澤と中堅の松村が2連勝して勝利。準々決勝で優勝した帝京大に0勝2敗で敗れたが、先鋒の相澤が3回戦まですべて先勝してチームの勝利に大きく貢献、松村、平林も大健闘した。まだまだ先の事と思っていたベスト8を、3人のチームワークで獲得した。試合後、この試合で卒業する平林と健闘した相澤・松村の3人を後輩部員たち全員で祝福した。
平林沙織選手「気合負けすることがあったが、今日は最後だと思って気合で行けた。自分の中では国士舘戦の勝利がうれしかった、後輩のおかげ」。
松村菜々選手「自分は中堅か大将の役割、先鋒が取ってくれて戦いやすかった。まだ2年なので、これ以上の結果を目標に頑張って行きたい」。
相澤里栄選手「何が何でも4年生を全国に連れて行くという思いで大会出場を果たし、最高の結果を出せたと思います。3人の団結力でつかんだベスト8」。試合の表情から一変、3人とも晴れやかな笑顔を見せた。
片田貴士監督は「男子団体形準決勝の対戦相手沖縄国際大は、ナショナルチームメンバー、1年生トリオは負けずに大舞台で自分の力を発揮した。女子団体形は、一人一人は良かったがまとまりに欠けた所が課題。強化指定3年でベスト8入りした女子団体組み手の健闘は快挙、新たな歴史を作った」とそれぞれの戦いを評価した。
山梨学院大学空手道部は、2009年に13番目の強化育成クラブに指定された若いチーム。元世界チャンピオンの片田貴士監督の指導の下で練習に励み、形、組み手とも着実に力を伸ばしている。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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