山梨学院パブリシティセンター
男子第62回全国高校駅伝競走大会
〜山梨県代表 山梨学院24位(2時間8分56秒)健闘〜
〜1年生の6区・矢ノ倉、最終区・上田 区間10位快走〜

男子第62回全国高校駅伝競走大会が12月25日、京都府の西京極陸上競技場を発着とする付設ハーフマラソンコースで都道府県代表47校が参加して行われた。12時30分に一斉スタートし、7区間42.195キロメートルで高校駅伝男子の日本一を競った。山梨県代表の山梨学院(4年ぶり11回目出場)は主将以外は全て1年生というフレッシュな布陣で挑み、2時間8分56秒で24位と健闘した。山梨学院は、最長距離でエースが走る花の1区を唯一3年生で主将の上田竜平を起用。上田主将は全力を出し切る走りで25位とし、スピードランナーが集まる2区の西山令(1年)が24位と力走し、1区・2区で上手く流れをつくった。しかし、上がりが長く続く難所の3区で河村知樹(1年) が28位とすると、4区・市谷龍太郎(1年)も29位と順位を下げる。5区・南嘉紀(1年)が粘りの走りで29位と踏ん張ると、6区・矢ノ倉弘(1年)が区間10位と快走し順位を27位に上げる。最終7区・上田健太(1年)も故障上がりにもかかわらず快走し区間10位の24位で襷をゴールに運んだ。優勝は世羅(広島)が2時間3分50秒で2年ぶり7度目の日本一となった。


1区[10km]上田竜平(3年)〈25位30:47[25位30:47]〉
【西京極陸上競技場〜烏丸鞍馬口】

この日の西京極陸上競技場は、天候 晴れ、気温 7.0度、湿度 57%、風向 南東、風速 1.5m/s。北の札幌山の手(北海道)から南のコザ(沖縄)まで47都道府県代表がスタートラインに付いた。エースが揃う花の1区、山梨学院の主将・上田竜平(3年)は2列目の外から4番目。10時20分の号砲とともに一斉にスタート。1区以外は全て1年生というオーダーで1区に起用された主将・上田は「1年生に安心して走ってもらえるように、良い位置で襷を渡したい」と競技場を一周する。競技場から右折し西五条通へ。ここからコースはなだらかな上がり坂、主将・上田は「大集団の中盤で走る」。五条天神川交差点(1キロ付近)を「集団の流れに乗って走り」渡る。主将・上田は西大路五条 信号機を左折し西大路通へ、阪急電鉄の西院駅を過ぎる。中間地点で主将・上田は「集団がばらけて来て、前の集団に大きくはなされた」。コースは、ここから7キロ地点まで一気に上がる。主将・上田はこの「集団を引っ張り」、金閣寺前を通り過ぎ、カトリック衣笠教会を右に折れ北大路通へ。ここから中継所までの3キロ。主将・上田は「集団を引っ張りながらも、まだ余裕があった」と概ね下りとなるコースを力走。主将・上田は残り1キロを左折し紫明通に、平坦で緩やかに蛇行する紫明通を右折し烏丸通へと下る。主将・上田は「目標タイムには20秒足りなかったが、こんなに駅伝を楽しく走ったことはない」と25位の走り。主将・上田は地下鉄烏丸線の鞍馬口駅手前から400メートルの第2烏丸鞍馬口中継所で待つ西山に、最上級生と主将の責務を果たす最高の笑顔で襷を渡した。

☆1位 九州学院(熊本)、2位 小林(宮崎)、3位 倉敷(岡山)、4位 青森山田(青森)、5位 世羅(広島)、6位 佐野日大(栃木)、7位 大分東明(大分)、8位 鹿児島実(鹿児島)。25位 山梨学院(山梨)

2区[3km]西山令(1年)〈24位39:15[16位8:28]〉
【烏丸鞍馬口〜丸太町河原町】

西山は上田主将が「予定より良い順位で襷を渡してくれたので、この流れは悪い方には絶対出来ない」と、スタートし真っ直ぐ下る。1キロを「下り坂ということもあり、2分40秒位の良いペースで、前の集団に付くことが出来た」と、上手くリズムをつくり快調に走る。西山は烏丸今出川交差点を渡り、「一つでも順位を上げ、一秒でも早く河村に届けたい」と、ひたすら心に念じて力走する。西山は府民ホールアルティ付近の中間点に差し掛かると、自分の気持ちとは裏腹に「走りがきつくなる」。西山は「流れを良い方向に向けなければ」と、堪え忍ぶ。流れる汗を拭い、平安女学院大京都キャンパスの裏を通り過ぎる。西山は「走りがきつく」ペースが思う様に上がらない。「チームのために襷を良い方向 で繋ぎたい」と、自分を奮い立たせ走る。西山は後、残り1キロで「沿道で応援してくださっている父母会の方や、親や兄の声援があり粘れた」と、懸命に走る。力をもらった西山は、再び腕を大きく振り力走する。西山は丸太町通に入り、第2丸太町河原町中継所に順位を24位に上げ駆け込み、河村に「前の集団に付いて、楽に行け」と、叫び良い流れをつくり襷を託した。

☆1位 九州学院(熊本)、2位 倉敷(岡山)、3位 青森山田(青森)、4位 鳥栖工(佐賀)、5位 鹿児島実(鹿児島)、6位 小林(宮崎)、7位 佐野日大(栃木)、8位 世羅(広島)。24位 山梨学院(山梨)

3区[8.1075q]河村知樹(1年)〈28位1:05:09[39位25:54]〉
【丸太町河原町〜国際会館前】

河村は「先輩から順位を24番と聞いて」襷を受け取る。河村は都大路を走れる喜びで心がはずみ「前に他校の選手が走っている。抜いてやろうと「『ドキドキ』して走る」。河村は期待と喜びを噛み締め、鴨川にかかる橋を渡り、京阪電鉄の神宮丸太町駅脇を走り抜ける。河村は「1キロの設定は3分ペース」、前の選手を追いかけ「何時もより速く」軽快に走る。河村は快調に聖護院山王町交差点を左折し東大路通へ、京都大学のキャンパスを左右に見渡し走る。河村は、上手くコース取りしながら、今出川通から左折し白川通を順調に走る。河村は白川通に入ると「前から来る風が気になり上手く走れない」。河村は北白川小学校付近の中間点を「向かい風に、体をやや前傾にすることを意識して走る」が、攻略でき ずに体力を消耗する。河村は白川通北山信号機を直進「設定より速く走ったのと、向かい風が強く、後半は失速してしまった」と北風に負け花園橋を渡る。河村は残り1キロ地点に「応援者とか親がいたのでがんばれた」と力を振り絞り左に折れ宝ヶ池通へ。河村は同志社中高グラウンド前を右に国際会議場前の折り返し地点をまわる。河村は第3国際会館前中継所に28位で飛び込み、「自分が順位を下げてしまい、ごめん」と謝りながら市谷に襷を託した。

☆1位 世羅(広島)、2位 青森山田(青森)、3位 倉敷(岡山)、4位 九州学院(熊本)、5位 西脇工、6位 鳥栖工(佐賀)、7位 伊賀白鳳(三重)、8位 小林(宮崎)。28位 山梨学院(山梨)

4区[8.0875q]市谷龍太郎(1年)〈29位1:29:43[26位24:34]〉
【国際会館前〜丸太町寺町】

市谷は「3区の河村が見えた瞬間に、何人も抜いてやろう」と心に決め襷を受け取る。市谷は宝ヶ池通から白川通へ走り抜け、1キロを「2分57秒と安定した走り」。「佐久長聖の選手が、すごい勢いで出て来たので付いて行った」。市谷は白川通の中間地点まで快調に追随したが、「オーバーペース」と気が付く。市谷は自重し、ペースダウンさせ「佐久長聖の選手と離れ」自分のペースで走る。市谷は白川通北大路信号機を直進し、銀閣寺を右に折れ今出川通へ、「佐久長聖の選手に付いて行きオーバーペースとなり、足を使いすぎ一杯一杯」の走りと情勢が一変。市谷は気合いを入れ東大路通へ、京都大学のキャンパスを左右に懸命に走る。市谷は聖護院山王町交差点を右折し、丸太町通を歯を食いしばり走る。間もなくすると残り1キロ、市谷は「中学校の恩師と親が応援してくれていた」ので、勇気をもらいラストスパートする。市谷は、恩師と親の応援を目に焼き付け鴨川にかかる橋を渡り、自分に鞭を入れ全力で走る。市谷は第4丸太町寺町中継所に飛び込み、南に「申し訳ない」と心で叫び襷を渡した。

☆1位 世羅(広島)、2位 倉敷(岡山)、3位 青森山田(青森)、4位 九州学院(熊本)、5位 鳥栖工(佐賀)、6位 西脇工(兵庫)、7位 浜松日体(静岡)、8位 伊賀白鳳(三重)。29位 山梨学院(山梨)

5区[3km]南嘉紀(1年)〈29位1:39:07[26位9:24]〉
【丸太町寺町〜烏丸紫明】

南は「市谷は目一杯の走りで襷を渡してくれた」と感動して襷を受け取る。南は「自分も襷を全力を出し切り渡そう」と丸太町通を懸命に走る。南は丸太町通を右折し烏丸通へ、平安女学院大京都キャンパスを通り過ぎる。南は地下鉄烏丸線の今出川駅手前の府民ホールアルティ付近の中間地点で「タイムが分からない」。南は市谷の気迫の走りに圧倒されてか「スタートでストップウォッチを押し忘れた」。南は機転を利かせ「走りながら商店のウインドーに映る自分のフォームを見てチェックしながら走る」。南は烏丸今出川交差点を渡り残り1キロ地点、沿道の声援の中から「『5分59』」と父親の叫ぶ声が聞こえ、通過タイムを確認することができ気持ちが楽になった」と力走する。そこから50メートルして「母親の『がんばれ』と応援する声が聞こえた」。南は母親の声援で再び力をもらい、気持ちを一段と切り替え、さらに「ペースを上げる」。南は地下鉄烏丸線の鞍馬口駅を抜け「気持ちを切り替えペースを上げたのが早かったのか、ラスト300メートルで、足が急に動かなくなった」とペースダウン。「1秒でも早く渡そう」と必死の走りで区間26位、第5烏丸紫明中継所で待つ矢ノ倉に29位で襷を手渡した。

☆1位 世羅(広島)、2位 倉敷(岡山)、3位 青森山田(青森)、4位 西脇工(兵庫)、5位 鳥栖工(佐賀)、6位 九州学院(熊本)、7位 豊川工(愛知)、8位 伊賀白鳳(三重)。29位 山梨学院(山梨)

6区[5km]矢ノ倉弘(1年)〈27位1:54:08[10位15:01]〉
【烏丸紫明〜西大路下立売】

矢ノ倉は、走る前に「競っていると聞き、競り合いには自信がある」と気合いを入れて待つ。しかし「南と前の選手が離れていて、予想外の展開」に戸惑いスタート。矢ノ倉は、カーブが多くアップダウンのある難所といわれるコースを、烏丸通を約100メートル上り、左折し紫明通へ。矢ノ倉は「県駅伝では守りの走りで失敗した。前とは射程圏内だったので、気持ちを切り替えてタイムとかは気にせずに、積極的に『ガツガツ』走る」。矢ノ倉は大小のカーブが多くコース取りが難しい紫明通を上手く抜ける。矢ノ倉は1キロを「2分57秒と自分が描いた設定通りで、体も楽だったので、行けると思い突っ込む走り」で北大路通へ。勾配が急になる北大路通を矢ノ倉は、さらにモチベーションを上げて「 『ガツガツ』」と走り抜ける。矢ノ倉は中間地点で「後、半分と考えると、『ドンドン、ドンドン』、スピードが上がった」と快走する。左大文字山を右に左へ進路を切り西大路通へ。矢ノ倉は金閣寺を右に置き去り、京福北野線の白梅町駅手前で残り1キロ。矢ノ倉は「親がいて、はっきり親の声援も聞こえ、下り坂を気持ち良く走り、最後に2人抜いた」と区間10位の快走。第6西大路通下立売中継所で待つ、アンカー・上田に27位と順位を上げて襷を渡した。

☆1位 世羅(広島)、2位 倉敷(岡山)、3位 九州学院(熊本)、4位 青森山田(青森)、5位 西脇工(兵庫)、6位 豊川工(愛知)、7位 鳥栖工(佐賀)、8位 伊賀白鳳(三重)。27位 山梨学院(山梨)

7区[5km]上田健太(1年)〈24位2:08:56[10位14:48]〉
【西大路下立売〜西京極陸上競技場】

アンカー・上田は「接戦で渡され」スタート。「1区から6区まで繋いで来てくれた襷を、1人でも前でゴール出来るように」と西大路通を下る。アンカー・上田は「前との距離を詰めようと、400メートルまで早いペースで走る」。アンカー・上田は「前との差を縮めようと思ったが」自重、「自分のペースで落ち着いて一人で走る」と冷静。阪急電鉄の西院駅を過ぎ、中間地点に差し掛かるとアンカー・上田は、前を行く選手の走りに力がないと見ると「3人を捕らえ」一気に抜き去った。ここからさらに1キロ下り、競技場入り口手前で勾配は緩やかになる。天神川橋手前で残り1キロ、アンカー・上田は、「前に鹿児島実が見えていたが、藤沢翔陵と競っていた」こともあり、「ラスト1キロより、トラック500メートルが勝負」と判断。アンカー・上田は「はやる心を抑え」力を溜めて走り京都市体育館脇を左に入る。すると競技場が目の前に飛び込んで来た。応援団の歓声が競技場に響く。トラックを走るアンカー・上田は、溜めていた力を出しラストスパート。しかし「200で前に藤沢翔陵に出られる」。上田には、アンカーとして、エースとしての意地があった。上田は渾身の力を振り絞り、ラスト「100で藤沢翔陵を抜き返し」区間10位の24位で、来年に繋がる襷を、皆の待つゴールに運んだ。

☆1位 世羅(広島)、2位 倉敷(岡山)、3位 九州学院(熊本)、4位 西脇工(兵庫)、5位 青森山田(青森)、6位 豊川工(愛知)、7位 浜松日体(静岡)、8位 東京農大二(群馬)。24位 山梨学院(山梨)


◇1区を走った上田竜平主将(3年)は「今回、全員が都大路を初めて走る。2区以降は1年生という中で、最上級生で重要な1区を任せてもらった。流れをつくる大事な1区として、1年生が楽しく走れるように、精一杯走った。結果は、目標タイムより20秒遅かったが、25番とまずまずの位置で襷を1年生に渡せたので満足している。中盤では後の集団を先頭で引っ張ることが出来て楽しく走れた。この経験は次ぎに行かしたい」と自信の走りを振り返った。「チームは24番、部員全員で頑張った結果。後輩は、ゴールした瞬間に次の大会が始まっている。それぞれ反省点もあると思うので、自分を見つめ直して、来年の大会に向けて調整してもらい、今年の経験を生かし上を目指してもらいたい」と 述べた。

箱崎孝久監督は「1区、2区と良い流れで襷リレーが出来た。3区は1年生で、都大路をチームとしてトップで走る緊張感があってか、後半に本来の走りが出来なかった。それ以外の選手はまずまずの期待どおりの襷リレーが出来た」と振り返り、6区の「1年生の矢ノ倉の区間10位の走りは、流れを再び引き寄せる走りとなった」と頷き喜んだ。「特に7区の上田は区間10位で健闘した。上田は故障上がりで本格的に練習が出来たのは12月過ぎ、それにもかかわらずアンカーとして最後も競り負けしていなかったので、自信になったと思う」とエースの復活を手放しで喜んだ。「チームは主将を中心に部員全員で目標の県最高記録2時間7分51秒を目指したが、結果として更新することが出来なかっ たものの、1年生中心で2時間8分台で順位も真ん中ということで、来年に繋がる走りが出来た」と評価。「来年は都大路に戻り、さらに上を目指したい」と語った。
文(H・K)、カメラ(Y・Y)(平川大雪)(藤原稔)(今村佳正)(小池裕太)
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