山梨学院パブリシティセンター
女子第23回全国高校駅伝競走大会
〜山梨県代表山梨学院 県最高記録・最高順位〜
〜1時間9分45秒13位で新記録を樹立する〜

女子第23回全国高校駅伝競走大会が12月25日、京都府の西京極陸上競技場を発着とする付設ハーフマラソンコースで都道府県代表の47校が参加して行われた。10時20分に一斉スタートし、クリスマスに彩られた都大路へ、5区間21.0975キロメートルで高校駅伝女子の日本一を競った。山梨県代表の山梨学院(3年連続11回目出場)は、韮崎高校が20回大会で打ち立てた県最高記録1時間10分23秒と県最高順位18位をともに上回る1時間9分45秒で13位と県新記録を樹立した。山梨学院は、エースが集まる1区を鈴木千晴(3年)が先頭集団に食らい付く快走で9位、4つの直角カーブとアップダウンの難所2区を田中結女(2年)が15位と上手く流れをつくる走りで3区に、 3区・塩川結(1年)はその流れを受け継ぐ走りで12位、するとスピードランナーが走る4区を野田友梨花(1年)が区間2位の激走で11位に、アンカーの青葉愛(1年)は留学生が多く走る勝負区間で力走し襷をゴールに届けた。山梨学院は昨年の40位から大躍進を遂げた。優勝は豊川(愛知)が1時間7分29秒と歴代5位の記録を出し、2年ぶり3度目の日本一となった。


1区[6km]鈴木千晴(3年)〈9位19:41[9位19:41]〉
【西京極陸上競技場〜平野神社前】

この日の西京極陸上競技場は、天候 晴れ、気温4.5度、湿度 67%、風向 南、風速2.0m/s。北の札幌静修(北海道)から南のコザ(沖縄)まで47都道府県代表がスタートラインに付いた。エースが揃う1区、山梨学院の鈴木千晴(3年)は3列目の内側から号砲とともに一斉にスタートした。鈴木は西京極陸上競技場を「リラックスして、自分の位置取りをしっかりしよう」と一周。興譲館を先頭に競技場から鈴木はトップ集団で右折し西五条通へ。ここからコースはなだらかな上がり坂、先頭集団の速い走りに付き鈴木も快調に飛ばす。五条天神川交差点(1キロ付近)を、先頭集団の鈴木は「3分8秒でハイペースだったが、焦らずに走れた」と快走。西大路五条信号機を左折し西大路通へ、阪急電鉄の西院駅を過ぎる中間点。トップ集団に食らい付く鈴木は「まずまずの走り」で9分33秒のトップタイで通過。3キロ過ぎから4キロまでさらに上る。ここで鈴木が集団から遅れる。鈴木は2位集団の先頭で前を追う。4キロ過ぎは300メートル上がって200メートル下がり、100メートル上るコース。このアップダウンを鈴木は全力で走り、西ノ京円町の円町信号機を京福北野線の白梅町駅へ。ここから中継所までラスト1キロの上り。鈴木は「苦しくなり、先頭集団から離れたが、自分のリズムを上げていこう」と必死に走った。コース最長距離を19分41秒で9位と「最後まで力を出し切りることができた」という快走で、トップとの差20秒で西大路通の第1中継所平野神社前に待つ田中結女(2年)に襷を繋いだ。

☆ 1位 成田(千葉)、2位 立命館宇治(京都)、3位 豊川(愛知)、4位 白鵬女(神奈川)、5位 山田(高知)、6位 興譲館(岡山)、7位 鳥取中央育英(鳥取)、8位 須磨学園(兵庫)9位 山梨学院(山梨)。

2区[4.0975q]田中結女(2年)〈15位33:31[25位13:50]〉
【平野神社前〜烏丸鞍馬口】

田中は「千晴先輩が上位できてくれたので嬉しかった」と西大路通の平野神社前で襷を受け取るとリズム良く走る。田中は1キロの入りを「3分20秒で上手く入れた」と金閣寺前を通り過ぎ、カトリック衣笠教会を右に折れ北大路通へ。田中は千本北大路信号機から大徳寺前信号機までのアップダウンの区間を「下りでブレーキを掛ける走り」。田中は中間地点、前を並走する奈良育英(奈良)と大阪薫英(大阪)に1秒差の14位で通過する。田中は堀川北大路を右に曲がり堀川通に入ると下り200メートルでも「ブレーキを掛ける走り」、左折し紫明通に出る。田中は平坦で緩やかに蛇行する紫明通を走るが「下りでブレーキを掛けた走りが響いた」とペースダウン。「とにかく前に行こう」と力走。田中は交差点を4カ所直角に曲がるカーブやアップダウンがある難しいコースを「納得いく走りではなかったが、それでも来年に繋がる走りができた」と、地下鉄烏丸線の鞍馬口駅から500メートルの第2烏丸鞍馬口中継所に待つ塩川結(1年)に15位で「襷を託した」。

☆ 1位 豊川(愛知)、2位 興譲館(岡山)、3位 須磨学園(兵庫)、4位 成田(千葉)、5位 立命館宇治(京都)、6位 白鵬女(神奈川)、7位 山田(高知)、8位 仙台育英(宮城)。15位 山梨学院(山梨)

3区[3q]塩川結(1年)〈12位43:37[12位10:06]〉
【烏丸鞍馬口〜北大路船岡山】

塩川は「先輩が思っていた順位で来てくれたので、落ち着いて襷を受け取ることが出来た」と力みなく「ゆったり」と走り出す。烏丸通を下がり、約400メートルで室町小学校前の折り返し地点に達し、折り返すと第3中継所まで上り坂となる。塩川は「ターンしてから、上がりになるのでリズムの切り替えを意識して」走る。塩川は烏丸紫明信号機を左折、緩やかに蛇行する紫明通を「予選会と関東大会の経験を生かし、フォームをチェックしながらリラックスして他の選手に付いて」走る。塩川は堀川紫明信号機を右折し堀川通に出る。残り2キロの上り坂を「余裕を持って」走る。塩川は京都銀行紫野支店を過ぎると第3中継所まであと残り1キロとする。塩川は「ラストスパートは500メー トルからと考えていたが、一緒に走る選手の走りが遅く感じ、体の調子も良かったので、思い切って仕掛けた」とラストスパートを切る。塩川は堀川北大路交差点を左に曲がり「中継所300メートル手前では坂の勾配もきつくなり一杯一杯」で歯を食いしばる。「第3北大路船岡山中継所に待つ野田が見えたとき、このまま抜かれなければ野田が守ってくれる」と全力疾走し、野田友梨花(1年)に12位で襷を手渡した。

☆ 1位 須磨学園(兵庫)、2位 豊川(愛知)、3位 興譲館(岡山)、4位 成田(千葉)、5位 立命館宇治(京都)、6位 白鵬女(神奈川)、7位 大阪薫英女(大阪)、8位 仙台育英(宮城)。12位 山梨学院(山梨)

4区[3q]野田友梨花(1年)〈11位53:15[2位9:38]〉
【北大路船岡山〜西大路下立売】

野田は塩川から襷を受け取ると、「前に一人、その前に一人居たので、一人ずつ抜いて行こう」と心に決めて走る。北大路通を上り500メートル過ぎ、左大文字山を右に左折すると下りとなる。野田は入りの1キロの上りを「どんどん攻めて突っ込むが、目標にしていたタイムより遅い」と気持ちがはやる。「監督の言葉『とにかく積極的に攻めろ』という指示が頭に浮かぶ」。「途中でへたばってもいい、とにかく突っ込む」と、気持ちを吹っ切り激走に激走を重ねる。野田は金閣寺を右に快調に飛ばし、京都衣笠郵便局付近の中間点に差し掛かる。野田は妥協することなく「ただ前を見据えて突っ込んだ」。京福北野線の白梅町駅手前からの残り1キロを「勝負所と思い、前に5、6人走っていたので、狙いを定め追撃」。「追いつけそうで、追いつけない」。野田はスピードランナーが走るなだらかに下りが続くコースで、我武者羅に激走し9分38秒で区間2位の快走。野田は第4西大路下立売中継所に待つアンカーの青葉愛(1年)に11位で襷リレーした。

☆ 1位 豊川(愛知)、2位 興譲館(岡山)、3位 成田(千葉)、4位 須磨学園(兵庫)、5位 白鵬女(神奈川)、6位 立命館宇治(京都)、7位 大阪薫英女(大阪)、8位 筑紫女学園(福岡)。11位 山梨学院(山梨)

5区[5q]青葉愛(1年)〈13位1:09:45[13位16:30]
【西大路下立売〜西京極陸上競技場】

アンカーの青葉は「自分の一つ前に8位の集団があったので、そこに食らい付いて行こう」と野田から襷を受けとった。田中整形外科医院から地下鉄東西線の西大路御池駅付近までの区間は、約200メートル下り、400メートル上がり、400メートル下がるアップダウン。この1キロを青葉は「少し遅い3分10秒を切るペース」で走る。青葉は阪急電鉄の西院駅前を走り抜け、ここから残り3キロはなだらかな下りになる。青葉はリズムを取り慎重に走る。青葉は宮田歯科医院付近の中間点を力走し、西大路五条交差点を右折し西五条通へ。五条天神川橋手前のラスト1キロで青葉は「トラック勝負になる」と、無理をせずに自然体で走る。開会式が行われた京都市体育館を左折し歓声に沸く競技場に入る。青葉は満を持して500メートルでラストスパートした。最後の力を振り絞りトラックに入る。「応援団の歓声が聞こえた時は、『一人ではない』と勇気づけられた」が「2人に抜かれてしまい、凄く悔しい」思いが込み上げて来た。青葉はその悔しい思いを懸命な走りに変え、1時間9分45秒の13位で、山梨県の最高記録と最高順位を樹立するゴールフィニッシュをした。

☆1位 豊川(愛知)、2位 興譲館(岡山)、3位 仙台育英(宮城)、4位 須磨学園(兵庫)、5位 立命館宇治(京都)、6位 白鵬女(神奈川)、7位 成田(千葉)、8位 長野東(長野)。13位 山梨学院(山梨)


黒岩みさき主将(3年)は「1・2年生中心の若いチームだったが、選手の頑張りとサポートにまわった部員との一丸となった戦いで、関東より1分縮まっての県最高記録と13位と県最高順位を記録できたので良かったと思います。明日から8位入賞を逃した悔しさを持って練習し、8位と言わずに上を目指して、この舞台に戻って来て欲しい」と述べた。
萩倉史郎監督は「走った選手もサポートにまわった選手も、良く頑張ってくれたと思う」と深く頷いた。特に「キャプテンの黒岩は夏以降チームのために寮生活も含めて、良く部員をまとめてくれた。3年生なので走らせたかったが、トレーナーと相談して無理をすると骨が折れてしまうことを懸念して、将来がある選手なので無理をさせなかった」と苦渋の選択をした。レースについて「3年の鈴木と2年の田中が上手く流れをつくってくれて、1年の塩川、野田(区間2位)、青葉が良く走ってくれた」と振り返った。県最高記録・最高順位の樹立については「目標の8位入賞を果たせなかった。タイムが30秒足りなかった。まだまだ、課題がありますし、上のチームもいますので、その課題に確り取り組みたい」と語尾を強める。「今日、走れなかった1年生や2年生も伸びて来ている。その上に来年度、新入生も入るので層が厚くなる」と来年以降に自信を滲ませた。「来年、さらに高い目標を持って、京都に来たいと思います」と語った。
文(H・K)、カメラ(Y・Y)(平川大雪)(藤原稔)(今村佳正)(小池裕太)
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全国高校駅伝・山梨学院高校応援団
〜寒風吹きすさぶ中、熱のこもった応援を披露〜

スタート・ゴール地点となる京都市・西京極陸上競技場には、山梨学院高校駅伝部を応援するために吹奏楽部やチアリーダー部、応援団などおよそ100人が山梨から駆けつけた。山梨を前日24日にバス3台で出発し、京都に1泊し応援に備えた。京都盆地特有の「比叡おろし」により気温は10度を下回っていたが、バックスタンドの応援団はスタート前からエールなど熱のこもった応援で選手達を激励。選手達のスタート・ゴール時には、応援団が気持ちを一つにして力の限り声援を送った。凍える寒さの中、元気いっぱいの笑顔で声援を送ったチアリーダー部の大沢加奈部長は「12月半ばから、忙しい合間をぬって練習してきました。男女アベック出場なので、去年以上に力を入れて応援しました。選手に気持ちが届くよう、また、見ている人たちにきれいに見えるようにみんなで気をつけました」と語った。また、応援を音楽で盛り立てた吹奏楽部の深澤瑞生(ふかさわ みずき)部長は「選手のみんなに頑張ってもらえるように、なるべく遠くまでまとまりのある音が出るよう心掛けて演奏しました。練習期間も短く寒い中の演奏でしたが、良く出来たと思います」と演奏を評価した。寒風吹きすさぶ中、応援団の最前線で声を張り上げた浅川莉央応援団長は「いつも同じクラスで勉強している仲間が出場しているので、普段の頑張りや練習の大変さが分かっているだけに応援に熱が入りました。他校の応援を見ていると勉強になる部分も多く、もっと学校全体でレベルを上げなければいけないと思いました。年明けには高校サッカーの応援もあるので、全校生徒が一体となって応援ができるようにしたいです」と今日の応援を総括しつつ、次への抱負を語った。ゲートフラッグを掲げ選手達に声援を送っていた菅原 茂PTA会長菅原 茂PTA会長は女子の県勢新記録の13位という結果と応援体制について「最高の気持ちです。寒い中、みんな良く走り、感動を届けてくれたので、"ありがとう"と言いたいです。もう少しで1桁順位だったが、夢を来年に託して更に頑張って欲しい。今日は、PTA役員25人体勢で応援に臨み、男女の各区間でポイントを設けて応援しました。大きい声を出して選手にパワーを送り、逆に選手達の頑張りからエネルギーを貰いました。年明けにはサッカーの応援もあり、万全の体制で臨めるよう準備しています」と笑顔で答えた。さらに、競技場で応援したチアリーダー部や吹奏楽部、応援団以外にも生徒会役員も男女の各区間で選手達に声援を送った。この日の女子の結果や学校応援を総括し川手佳彦副校長は「11回目の出場で県勢の新記録を更新出来たことは快挙だと思います。新監督の萩倉先生の指導のもと、技術や精神力を大事に育ててきた成果だと思う。今までの生活を改善し、厳しい練習に耐えた選手に労いの言葉をかけたい」と語り、応援については「一人一人が使命を果たして気持ちの入った素晴らしい応援が出来た。応援団を中心とした団結力の賜物だと思う。年明けの高校サッカーにつながる良い応援になった」と述べた。
 
あと一歩、あと一秒のために最後の力を振り絞る・・・これには、選手達の不断の努力はもちろんだが、最後の「力」となるのは、普段一緒に学校生活を送る仲間の存在だろう。競技場を後にする応援団一行に選手のある者は手を振り、ある者は「ありがとう」と声を掛け、頭を下げた。応援する側・される側、今日この日の経験が、次への挑戦への糧となり、人間としての成長となるのだろう。
文・カメラ(Y.Y)
応援アルバム

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