山梨学院パブリシティセンター
全国高校サッカー選手権 2回戦
〜山梨学院まさかの初戦敗退市立西宮に敗れる〜
〜前半圧倒的に攻めながら決まらず流れ変わる〜

第90回全国高校サッカー選手権大会が開幕した。今年の大会は群雄割拠、どこが優勝するか分からない戦国決戦と呼ばれる。2年前初出場初優勝、昨年ベスト8の山梨学院高は、再びの頂点をめざし3年連続3度目の選手権の舞台に立った。1回戦をシードされ1月2日の2回戦から登場、東京・西が丘サッカー場14時10分キックオフで、昨年の優勝校滝川二高を予選で破って進出してきた兵庫代表の市立西宮高と対戦した。試合前半は山梨学院が、ボールを完全に支配し萱沼優聖のゴールで先制、初出場チームを圧倒したが、前半終了直前にPKを与えて失点、さらに後半10分にカウンター攻撃から逆転弾を許し、流れが変わってしまった。焦りからボールを優位に処理できなくなり、後半37 分に追加点を奪われた。アディショナルタイムに藤原光晴が意地のゴールを奪い1点差に迫ったが時が遅く2−3で敗れてしまった。強いチームが必ず勝つわけではないのがサッカー、3度目の冬は初戦で姿を消した。


正月2日の東京赤羽・国立西が丘サッカー場、晴天ながら、セットしたボールが風で動いてしまうほどの強い風がピッチに吹き荒れた。バックスタンドの山学応援席は、受験生を除く全校応援の生徒と選手の家族・OBら約1000人の大応援団で埋め尽くされた。フィールドに出て来た山学イレブンのユニホームは、いつものプルシアンブルーではなく白だった。対戦相手の市立西宮が赤と青のユニホームのため、セカンド・ジャージで登場した。
 
試合の開始時間は14時10分、第1試合がPK戦までもつれたため、応援席の入れ替えが終わらないうちに慌しく始まった。山学イレブンは、立ち上がりこそ硬かったが、5分頃からペースをつかみ、前半は市立西宮を圧倒した。J1清水エスパルス入りする10番白崎凌兵主将が攻撃の起点になり、両サイドを使った素早い動きで西宮陣深くに激しく切れ込み、シュートシーンを再三演出した。そして、前半18分、6番荒木克仁のCKに7番萱沼優聖(3年)が、県大会優勝ゴールと同様のヘッドで先制点をもぎ取った。そのままリードで終わると思われた前半終了直前、唯一許した反撃でPKを許し、GK山田修平が一度は止めたがセカンドボールを決められ、同点で折り返した。
 
ハーフタイムの山学応援席、チアリーダー部と吹奏楽部が寒風の中で懸命に舞い、懸命に演奏して選手を励ました。吹奏楽部の新部長深澤瑞生さん(2年)は「同点になってしまったが、後半に点を取れるように自分たちも一生懸命応援します」と演奏する手にさらに力を込めた。応援に駆けつけた先輩の関篤志選手(日体大)は「前半終了直前に追いつかれてしまったが、自分たちのプレーをしている。後半落ち着いてプレーをすれば勝てる」と話し、入場してきた後輩たちに「落ち着いて行け」と声援を送った。
 
風上に立った後半が開始されて10分、まさかの事態が起きてしまった。勢いよく攻め上がった時にボールを奪われてカウンター攻撃を受け、攻撃型チームが陥りやすい落とし穴に落ちてしまった。バックスの裏にボールを出され一気にゴールを割られ逆転されてしまった。1−2、このプレーで試合の流れが変わってしまった。このあとの山学のシュートは、ポストに嫌われ、わずかに外れ、追いつけない。焦りがじりじりとイレブンを襲ってきた。前半はしっかり奪ったセカンドボールを相手に奪われる場面が多くなった。そして、35分のFKを生かせなかった直後に、またしてもカウンター攻撃から失点、1−3と突き放されてしまった。アディショナルタイムに4番藤原光晴が意地のゴールを奪 い1点差に迫ったが時すでに遅く2−3で試合終了。サッカーというゲームに勝つ事は本当に難しい、山学イレブンは、力では勝りながら勝負に敗れた。山学サッカー史第3章に記されたのは"初戦敗退"という悔しい文字だった。

第90回全国高校サッカー選手権大会 2回戦
≪山梨学院高vs市立西宮高≫(1/2) 於 東京・西が丘サッカー場
● 山梨学院高 2
前半 1−1
後半 1−2
3 市立西宮高 ○
得点 萱沼優聖、藤原光晴(山学)、帷智行、後藤寛太2(西宮)

体を張ってチームを引っ張った責任感の強い藤原光晴副主将は応援席の前で号泣した「全校生徒が応援に来てくれ、先輩たちも駆けつけてくれたのに、不甲斐ない結果になってしまい申し訳ない」ガッツマンは涙をぬぐい、後輩たちにリベンジを託した。ベンチに入れずにスタンド最前列で懸命に声援を送り続けたサッカー部三浦弘基応援団長は「負けるとは誰も思わなかったが、仲間たちはピッチの中で自分の力を発揮して、俺たちの分も頑張ってくれた」一般入試で大学進学を目指すという応援団長は、目に涙を浮かべながらピッチを去る仲間たちをずっと見詰めていた。サイドを駆け上ってクロスボールを上げ続けた2番山口聖矢選手は「3年の時が一番早かった、気がつけば最後の大会だった。カウンターに敗れた、1点の大切さを教わった」足だけでなく超ロングスローで何度もゴール前にボールを上げた右SBは唇を噛み締めた。ケガを克服して最後の選手権にやっと間に合った15番新潟谷勇人選手は「皆が全国に連れて来てくれた。自分の力を最大に出して皆に恩返しをしたかったが、結果がついて来なかった、悔しさが残る」故障を克服した男は下を向いて涙をぬぐった。荒木克仁副主将は「この1年間、色々な試合をしてきたが、まだ甘さがあった。しかし、100%ではないがやり切った感はある」フリーキックのスペシャリストは悔いはないと話した。報道陣に囲まれた白崎凌兵主将は「完全にうちの試合だったが、相手に点を取られたことで流れが変わった。後半はチーム全体が焦ってしまった、自分が点を取れなかったことが敗因、最高の仲間たちと5試合やりたかった」と唇を噛み締めていた。吉永一明監督は「前半は今迄で一番良かった。何度もチャンスは作ったが、最後のところで点が取れなかった。点が取れないと流れが変わるのがサッカーの怖さ。白崎は、レベルの高いところに行けばもっと力の出せる選手なので、次のステップで成長してほしい。後輩たちは、この試合を糧にして成長してほしい」と言葉を結んだ。
 
文(M.T)、カメラ(平川大雪)
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