
山梨学院大学・山梨学院短期大学と山梨県、県産業界が連携する産学官連携・地産地消運動の輪が広がっている。山梨県内唯一の管理栄養士養成施設として、2010年に新設された山梨学院大学健康栄養学部で1月20日に「甲斐サーモンの美味しい料理コンテスト」が行われた。管理栄養学科の1年生44人が、山梨県養殖漁業協同組合から提供された「甲斐サーモン」(山梨県内の養殖場で1kg以上に育った大型ニジマスのブランド名)を食材に使った創作料理作りに挑んだ。学生たちは、見た目はサケと同じピンク色で、臭みがなく淡白で美味しい甲斐サーモンの特徴を活かしながら、栄養バランスを考慮した和風や洋風料理を班ごとに作り上げた。山梨県産の水産物や特産物を活用した創作料理コンテストは、昨年11月に山梨学院短大食物栄養科の学生が2度にわたり実施しており、山梨学院としては、今回が産学官連携第3弾のコンテストとなる。山梨県は「山梨県内の大学・短大との連携をより図って行きたい」としており、山梨学院大・山梨学院短大は、県や県産業界と連携した県産品推進活動をより一層強めることにしている。
「甲斐サーモンの美味しい料理コンテスト」は、山梨県農政部花き農水産課と山梨県養殖漁業協同組合の要請を受けて実施された。山梨県は、ニジマスの生産量が全国3位でありながら、あまり知られていないのが現状。料理法も塩焼き以外はあまり知られていないのも現状。県は「県産の淡水魚は、清らかな水で育てられることから刺身でも食べられる、おいしいことをPRして行きたい」としており、山梨県養殖組合は昨年4月に、養殖期間3年を要して大きく育てる大型ニジマスを「甲斐サーモン」と命名し、山梨ブランドとして販売することを打ち出した。組合では赤身(サーモンピンク)であること、良質の脂が乗っていることなどの一定の基準を設けて品質を保ち、消費の拡大を図っていく方針。
山梨学院大学健康栄養学部は、健康と食育の推進に貢献する「管理栄養士」「栄養教諭」を養成する山梨県内唯一の「管理栄養士」養成施設として、一昨年4月に誕生した。スペシャリストを養成するとともに、県産品活用や地産地消を図る県や産業界の"食"に関する要請に積極的に協力していく事にしている。
管理栄養学科の1年生44人は、4〜5人単位で1班から10班に別れ、チームごとに創作料理に取り組んだ。審査の結果、雑穀米を使い栄養バランスにも配慮した8班制作の
「甲斐サーモンの手まりずし」が第1位を獲得した。
制作した中田比奈さんら5人は「素材が生だったので、どうやって生かすか、色彩や栄養バランスを考慮して作りました」と声を揃えた。県農政部花き農水産課の
三浦正之水産担当は「甲斐サーモンの色にも注目してくれて、見た目も美しく、食べたらとても美味しい料理をたくさん作って頂きました。将来、管理栄養士になったら、山梨産淡水魚料理を是非推奨して下さい」と学生に訴えた。県養殖漁業協同組合の
芳賀稔常務理事は「バラエティーに富んだ、たくさんの料理が出来上がりビックリしました。若い感性でこれからも県産食材を活用した料理を考えて下さい」と講評した。
松本晴美健康栄養学部長は学生に向けて「単に見た目だけでなく、栄養価を考えてくれたことは、管理栄養士になるのに大切。1年の初めから比べると料理の腕がだいぶ上りました」と話し、取材に対して「連携することで、学生たちは知らなかった県産品食材を知り、自ら創作することでたくさんのことを学んでいる、いい勉強の機会を与えて頂き、とても感謝しています」と語った。学生を指導する
依田萬代教授は「どの班も、身の柔らかさを上手に活かした料理や栄養バランスを配慮した創作料理を作ってくれた。良質な脂が乗った淡白な甲斐サーモンは生活習慣病を予防する要素もあるので、もっと普及させたい、山梨の食文化をピーアールする実習や活動をさらに進めて行きたい」と話している。
今回の料理コンテストで学生たちが考案した料理のレシピは、山梨学院大健康栄養学部のブログで近く紹介されることになっている。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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