山梨学院パブリシティセンター
山梨学院小ウインタープロジェクト
〜同じ興味・関心を持つ子が互いに学び合い〜
〜学年の壁を取り払った独創的授業始まる〜

学年にかかわらず、同じ興味・関心を持った子どもが互いに学び合う、山梨学院小学校独特の教育実践「ウインタープロジェクト」が2月6日から13日の日程で実施されている。期間中の8日間は、学年の壁を取り払い、四つの研究会「言葉研究会」「数(かず)研究会」「社会研究会」「自然研究会」の中から、子ども自身が興味のある講座を選び、自発的に学ぶ特別カリキュラム。5年目の今年は、ローマ字を覚えて、素早く正確にパソコンにタイピングする「ローマ字講座」、地震のメカニズムについて研究する「地震ゆらゆら講座」、アニメ映画の英語版アフレコに挑戦する「Englishアフレコ講座」など30の講座が設けられた。子どもたちは、選んだテーマや課題について互いに助け合いながら探求している。「3大プロジェクト」中、最も学問色が強いプロジェクト。1年から6年までのすべての学年の壁を取り払って実施される全国でも珍しい課題探求型授業が注目を集めている。
山梨学院小は、春に行う運動要素主体の「スポーツプロジェクト」、秋の文化的・芸術的活動主体の「オクトーバープロジェクト」と、冬の「ウインタープロジェクト」を学校の3大プロジェクトと位置づけて、子供たちの探究心を高める独創的な教育プログラムを実践している。ウインタープロジェクトは、[言葉][数][社会][自然]の4つの研究会の中から、子供自身が興味を抱いた講座を選び、「博士号」シールなどの取得を目指すゲーム形式を取り入れた授業。4つの研究会には7〜9の研究講座がそれぞれ用意されており、自分がどの講座を受けるといいのか、子供たちが選び易いように、低学年向け・高学年向けの目安が表示され、各児童が自分の学力・知識力・能力に応じて自由に選べるように組み立てられている。期間中、教師は極力アドバイザーに徹する。子どもたちは普段の授業では学び切れない専門的な、深い知識の習得に協同で取り組んでいる。「学び方を学ぶ」のもこのプロジェクトのねらいの一つになっている。
4研究会の研究会名、講座内容は下記の通り。

研究会名

学年向け

講座名

取組内容

言葉研究会


全学年向け

Englishアフレコ

場面にあった表現・発音をする

全学年向け

COMICS & MANGA

文章に沿った言葉をあてはめる

高学年向け

漢字

筆順や部首の意味を覚える

高学年向け

源氏物語

源氏物語夕顔の原文を読もう

高学年向け

古典暗唱

百人一首20首暗唱で1級合格

低学年向け

ローマ字

ローマ字を早く正確タイピング

低学年向け

しりとり

語彙を増やす・品詞を学ぶ

低学年向け

ことわざ

意味を調べて使えるようになる

数研究会


高学年向け

美と比例

名画に隠された黄金比を発見

高学年向け

法則・暗号

計算の決まり、数列などを学ぶ

中学年向け

量感

重さ、長さ、広さについて学習

中学年向け

数独

ナンバープレイス、計算力を養う

中学年向け

四角パズル

プリント解けたら3級合格

中学年向け

立体

1級は折り紙正20面体に挑戦

低学年向け

法則・暗号

暗号使って秘密の手紙を書こう

低学年向け

図形、模様

折り紙で敷き詰め模様を作ろう

社会研究会


全学年向け

三国志3級 三国志2級 三国志1級

中学年向け

サッカーの歴史

選手やチームのデータを作ろう

中学年向け

社会クイズ作り

クイズと答えを20問考えよう

中学年向け

世界の楽器

楽器名やその特徴を覚える

中学年向け

世界の自動車

名車やメーカー名を覚えよう

低学年向け

47都道府県

都道府県名を覚えて書こう

低学年向け

地図記号

地図記号表を作れれば3級合格

自然研究会


高学年向け

地震ゆらゆら

地震の発生と被害レポート作成

高学年向け

実験器具・操作

実験器具名と使い方を覚える

中学年向け

昆虫

ファーブル昆虫記レポート作成

中学年向け

食事と栄養素

5大栄養素分け、8問で2級合格

低学年向け

筋肉マッスル

筋肉の名前をカードで覚えよう

中学年向け

くだもの

果物の保存方法や産地を調べる

低学年向け

海のいきもの

海のいきもの新聞を作ろう


プロジェクトの模様を取材すると、「ローマ字講座」では低学年の子どもたちが、覚えたばかりのローマ字をディスクトップパソコンに素早く正確に入力する「タイピング検定8級」の試験に挑んでいたり、高学年の子どもがローマ字博士の取得を目指しパソコン画面とにらめっこしていた。「地震ゆらゆら講座」では、[日本の国土面積は世界の1%なのに、マグニチュード6以上の地震は世界の20%]であることなどを学び、紙芝居型防災カードゲーム[なまずの学校]を教材に、地震が起きた時にはどう対応すべきか、ゲームをしながら対応マニュアルを吸収していた。「Englishアフレコ講座」では、アニメ映画を教材にして、英語に興味を持つ子どもたちが英語でのアフレコに挑戦していた。
ウインタープロジェクトの企画・運営を推進する瀬端淳一郎教務主任は「自分の興味や能力を高めようと、子どもたちが燃えるプロジェクトです。各講座は大学のゼミのようなもので、各領域で学んだ内容を中心に、自分が興味を抱いたことについて、より専門的に、より具体的に、より深く学んで行きます。個別の能力を高める一番有効な方法」と考えて取り組んでいる。担当者の一人鈴木尚美教諭は「1年生から6年生が一緒に学ぶ機会を大切にしています。自分と同じことに興味を抱く仲間を見つけて、互いに学び合い、プロジェクト後も学年が違っても一緒に遊び学ぶケースが多く見られます。自分で選び、自分の力で学んだ経験は、大人になった時に活きてくる貴重な体験」と捉えている。昆虫について学んでいた2年生の児童に尋ねると「昆虫と筋肉マッスルと地震ゆらゆらを選びました、知らないことを学んで、出来ないことに挑戦して出来るようになるのが楽しい」という言葉が返ってきた。学年の壁を取り払って行われるこの先進的教育プログラムは13日まで行われる。
文(M.I) カメラ(平川大雪)
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