
第53回日本選手権[25m]水泳競技大会が2月11日、東京辰巳国際水泳場で開幕した。大会は、五輪代表選考会を兼ねた4月の日本選手権の前哨戦。山梨学院から大学12人、高校2人、職員1人の計15人がエントリーした。1日目の山学勢は、萩原智子(カレッジスポーツセンター職員)が午前中の50m自由形予選で日本新を出すなど、実に8人もが午後からの決勝レースに進んだ。そして女子100m平泳ぎ決勝で、今度は鈴木聡美が日本新をマーク、圧倒的な強さで優勝を飾った。鈴木は2日目の200m・50mでも優勝を狙っており、平泳ぎ全種目制覇を目指す。萩原智子は手術を乗り越えて復活優勝を果たした。2人ともロンドンオリンピック出場に大きく前進した。同様に五輪を目指す加藤和は100m個人メドレー、400m個メとも4位に終わり、2日目の200m個メに賭ける。この他50m自由形の下中千明が4位、800m自由形の野中瑞姫が5位、男子400m個メの福田真大が大躍進の5位、200mバタフライの中坊彩が8位入賞した。
≪女子100m平泳ぎ 決勝 鈴木聡美・村上優海≫
予選1位の鈴木聡美(3年 九産大九州)はセンターコースの4コース、予選5位の村上優海(3年 市立船橋)は2コースから飛び込んだ。スタートの反応は鈴木0,65、村上は全選手中トップの0,62の反応だった。鈴木は25mで頭一つ抜け出し、50mで日本記録を上回る30,39と大きくリードした。村上らは横一線の戦い。場内アナウンスが「鈴木選手は、日本記録を0秒14上回るペースで泳いでいます」と絶叫、会場のボルテージが一気に上った。そのまま他を大きく引き離してゴール、タイムは1分04秒11、田村菜々香が2009年に出した1分04秒65を抜く日本新記録を樹立、大会2連覇を達成させた。(昨年の優勝タイムは1分06秒17、1年で2秒以上短縮させた)。村上は5位でゴールしたが、泳法違反と判定され失格となった。大勢の記者に囲まれた
鈴木聡美選手は「予選よりは落ち着いて泳げました。コーチに指示されたターンの後に深くもぐることが出来ずに、水をなでる形になってしまい目標の3秒台は出せなかったが、日本記録は素直に嬉しい。明日の200mと50mに向けていい手応えを得ました」と記者団に答えていた。
≪女子50m自由形 決勝 萩原智子・下中千明≫
予選で日本新(24秒84)を出した萩原智子は4コース、予選3位の下中千明(3年 北陸大谷)は3コース。テレビ中継カメラが待つ入場ゲートに、3番目で下中がちょっとうつむいて入って来た。続いて4番目に入場してきた萩原は、ハギトモスマイルを見せて観客に手を振った。2人とも両手で体を叩き、大きく深呼吸してスタート台へ。スタートの反応は萩原0,70、下中0,72だった。どの選手もターンの時以外は顔を上げない、あっという間のレース。萩原は25mで頭一つ抜け出し、そのままの勢いで押し切った。タイムは24秒90、予選で出した日本新をわずかに下回ったが、これまでの自己ベスト(24秒91)を上回るタイムで泳いだ。下中も大会前の自己ベストを上回る25秒12でゴール、ほぼ横一線の中で4位となった。
萩原智子選手は「調子は良くなくて、木曜日まで出るかどうか迷った。予選は練習の成果を出せたが、決勝はターンが失敗気味で少し悔しい。4月の選考会にチャレンジャーの立場で臨めるので、しっかり泳ぎこんで練習の成果を出したい」とレースを振り返った。
下中千明選手は「決勝は25秒を切りたいと思って臨んだ。予選よりは動いていた気がするがタイムには納得していない。膝は相変わらず泳ぎこむと痛みが出るが、調子を持続させて4月にはしっかり結果を出したい」と明日を見詰めた。
そのほかの決勝進出者の感想
100m個メ、400m個メとも4位となった
加藤 和選手(3年 桜の聖母学院短大)は「100個メは久し振りに出場した(自己ベストの1分01秒14を記録)。4個メは30秒を切りたいと思ったが、背泳ぎが良くなかった。大学に入ってからスピードがついてきたので、どちらかに絞らずに200mも400mもしっかりやっていきたい、明日の200個メはベストを出せるようにしたい」と気持ちを切り替えた。自己新の8分30秒52で800m自由形5位の
野中瑞姫選手(3年 佐賀学園)は「苦手のターン強化とテンポをちょっと上げる工夫をして、1日1万4000m泳ぎこんで大会に臨みました。ラストで競り負けたので70点の出来です、4月の選手権では表彰台を狙いたい」猛練習で5位に食い込んだ。男子400m個メ予選で、自己ベストを3秒以上も短縮させる4分12秒38の好タイムを出して決勝に進出、大健闘の5位に入った
福田真大選手(2年 白鴎大足利)は「高校時代は弱かったが、山学大に入って体幹を鍛えて伸びました。初めて決勝に進めたが、これで満足しているようではダメ」もっと上を目指すと語った。200mバタフライ8位の
中坊彩選手(3年 京都外大西)は「200mでの決勝進出は初めて、予選より決勝の方が悪かったので悔しい。明日の100mは悔しさをバネに1秒でも早く、1つでも上に行けるよう頑張りたい」と気持ち明日に向けた。
この他、大学生にまざり、山梨学院高の江原騎士(3年)と七里夏海(2年)が2年連続して大舞台に立った。七里は100m個メで自己ベストを更新(1分02秒47)しB決勝2位と健闘した。江原は22位と上位進出はならなかったが、2人とも飛躍のスタート台に立った。
大会1日目は、鈴木聡美・萩原智子の他、葛原俊輔(200m自由形)、高橋美帆(400m個メ)、立石亮(100m平泳ぎ)が日本新を樹立、高校新・中学新・学童新も生まれた。山梨学院勢も多くが自己ベストを樹立、記録ラッシュに沸いた。
大会2日目(最終日)の12日は、午前9時30分に予選がスタート、午後2時からB決勝・決勝が行われる。山学勢は、平泳ぎ3冠を目指す鈴木聡美ら13人が自己ベストを胸にそれぞれのレースに挑む。
文(M.T) カメラ (平川大雪)
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