山梨学院パブリシティセンター
日本短水路選手権 最終日
〜加藤和大逆転優勝、鈴木聡美日本新連発優勝〜
〜大健闘中坊3位表彰台、重森5位、下中6位〜

第53回日本選手権[25m]水泳競技大会2日目(最終日)の12日、東京辰巳国際水泳場で男女14種目の予選・B決勝・決勝が行われた。初日に鈴木聡美(100m平泳)と萩原智子(50m自由)が揃って日本新を出し優勝した山梨学院勢は、2日目も出場した男女13人全員が健闘した。このうち加藤和(200m個メ)、中坊彩(100mバタ)、鈴木聡美(50m・200m平泳)、下中千明(100m自由)、重森俊二(200m平泳)の5人が決勝に進出した。そして、昨日振るわなかった加藤和が、前半6位から後半驚異的な追い上げで大逆転劇を演じ優勝を勝ち取った。オリンピックを引き寄せる素晴らしい泳ぎを見せた。鈴木聡美は50mの予選決勝ともに日本新、圧勝で二種目を制した。最後の200mは惜しくも3位となり、三冠達成はならなかった。大健闘3位表彰台の中坊彩、大躍進5位の重森俊二、苦手克服6位の下中千明は揃って自己ベストを更新した。3人とも山学大に入って地道に懸命に努力を重ね、急激に力を伸ばした選手、この日のレースで日本代表を狙うトップスイマーの仲間入りをした。
≪女子 200m個人メドレー 決勝 加藤 和≫
加藤 和(かとう いずみ 3年 桜の聖母学院短大)は、前日の100m個メ、400m個メはともに4位と振るわなかったが、この日は気迫が違った。予選をトップで通過、センターコースで決勝レースに臨んだ。いつものように淡々とした表情で入場して来た。0,70の4番目の反応で入水、最初のバタフライは5位、背泳ぎでは6位と後方集団だった。距離の短い200mでこの位置から追い上げるのは無理と思われた。しかし、加藤は「最後まで絶対諦めない」という強い気持ちで臨んでいた。ここから猛然と追い上げた、得意の平泳ぎで一気に2位に引き上げた。そして、ラストのクロールは死闘だった。最後の最後に逆転、2位の小松原綾香(中京大)とは0,15差だった。去年の自分を1秒以上も上回る2分08秒64の大逆転優勝となった。加藤和選手は「4年前にオリンピックを逃す悔しい思いをしている。4年前と今は練習の仕方も内容も違う、背泳ぎまでをしっかり泳げればオリンピックは見えてくると思う。今回はオリンピックに行って新しい経験をしたい」スピードと持久力のバランスを意識した練習を重ねて4月の選考会に臨む。
 
≪女子 50m平泳ぎ 決勝 鈴木聡美≫
鈴木聡美(すずき さとみ 3年 九産大九州)は、午前中の予選で30秒24の日本新を樹立、絶好調で午後の決勝を迎えた。笑顔とガッツポーズで入場して来た。いつものように体を叩き、腕を回し、最後に胸をポンポンと叩いてスタート台に上った。スターターの「用意」の声と同時に、体を後ろに引かせるのが普通だが、鈴木は逆に体を前に傾ける。独特の前傾姿勢から2番目に早い0,62の反応で入水した。25mのターンをする時には、もう体一つリードしていた。そのまま他を寄せつけずに一気にゴール。午前中に出した記録をさらに上回る30秒23の日本新で圧勝した。鈴木聡美選手は「リラックスして泳げました。目標は29秒台だったので、少し悔しい思いもあります。200mではしっかり泳いで、200mでも日本新を出したい」と語った。しかし、その200mは気負い過ぎた。前半飛ばしすぎて後半伸びず3位に終わり、三冠はならなかった。全レース終了後、鈴木は大会最優秀女子選手に選ばれた。
 
≪女子 100mバタフライ 決勝 中坊 彩≫
中坊 彩(なかぼう さやか 3年 京都外大西)は午前中の予選を3位で通過して決勝に進んだ。去年のこの大会で59秒03の自己ベストで3位に入り、全国大会初めての表彰台に上った。しかし、その後は苦しい戦いが続き、いい結果を残せず苦しんで来た。1年ぶりの決勝レース、スタートは良くなかった、後から2番目の0,77の反応だった。しかし、猛ダッシュ、どう泳いだかまったく覚えていないほど必死だった。75mで隣の人の足が見えたので、「足がとれても、手がとれても構わないから、ベストを出す」と懸命に泳いだ。タイムは58秒94、去年の自己ベストを超えた。中坊彩選手は「勝ちたい、ベストを出したい気持ちでいっぱいでした。やっとベストが出た。苦しい時期が有りましたが、(前日の200mも自己ベスト)2種目ともベストを出せたことは、これからにつながる。4月に向けてしっかり泳ぎ込みたい」中坊が復活した。
 
その他の決勝進出選手の感想
男子200m自由形5位の重森俊二選手(2年 鹿児島情報)は「自分はやっとインターハイに出たレベル。山梨学院で強くなりたいと鹿児島から山梨に来た。決勝など夢のまた夢だった。コーチから「焦らずに、力むな」と指示された通りに、前半抑え気味に入って後半追い上げる泳ぎが出来た」重森は筋トレと泳ぎ込みに励みグッと力をつけた。100m自由形6位の下中千明選手(3年 北陸大谷)は「前に比べると後半が持つようになった。100mをきちんと泳げれば50mも上ってくるので、苦手意識を持たずに両方をしっかり泳いで4月を迎えたい」下中は手応えをつかんだ。
 
2日間の大会で、鈴木・萩智らが日本新を樹立して優勝したほか・高校新・中学新も続出、若い力の台頭も目立ったシーズン開幕レースとなった。山学勢は、優勝3人(鈴木2、加藤、萩原)、3位2人(中坊、鈴木)が表彰台を獲得、出場選手の多くが自己ベストを更新した。山梨学院高の江原騎士と七里夏海の2人の高校生も健闘した。2日間を振り返り神田忠彦監督は「自己ベストを更新したものが多くチームとして良く戦ってくれた。特に男子の福田・重森の健闘は大きな励みになる。オリンピックを狙う鈴木・加藤については、課題もあるがやらなければいけないことに目星をつけられた」と総括した。ロンドン五輪日本代表を決める競泳日本選手権は4月2日(月)から8日(日)の日程で、今回と同じ東京辰巳国際水泳場を舞台に開催される。
文(M.T)カメラ(平川大雪)
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