山梨学院パブリシティセンター

山梨学院ウインドブラスアンサンブル
〜全国各地から大勢の先輩が駆け付け大合同演奏〜
〜30年連続30回目の定期演奏会で夢の共演〜


山梨学院大学吹奏楽団(山梨学院ウインドブラスアンサンブル)の「第30回定期演奏会」が3月4日、山梨学院大学メモリアルホールで開催された。30年目の節目の定期演奏会に、全国各地から60人のOB・OGが駆け付け、現役学生と一体となって合同演奏を行った。総勢90人に及ぶ夢のような大合同演奏は、「30年を記念して一緒に演奏しませんか」という現役学生の呼びかけに応えて、先輩たちが互いに連絡を取り合い実現させた。もっとも北の岩手県山田町から参加したOBは、津波で家も愛用のトランペットも流失、支援物資で頂いたトランペットを手に700kmの道を運転して駆け付けた。合同演奏曲はアンコールを含めて4曲、12月から4回合奏練習の機会を設けたが、毎回参加で きた人はごくわずか、多くの人が各地で個別に練習を重ね、母校のメモリアルホールに駆け付けた。当日の観客席には、54歳になった草創期のメンバーなど、出演者以外のOB・OGも大勢訪れた。大震災から間もなく1年、30年目の演奏会は、部活の“絆”を再認識させる温かい演奏会となった。
山梨学院ウインドブラスアンサンブルが創設されたのは昭和52年、それから5年後の昭和57年に、今はなき山梨県民会館大ホールで第1回定期演奏会が開かれた。第1回と第2回のプログラムが残されている。その第1回プログラムには「この演奏会を機に、少年から青年へ、そして、大人への道の第一歩を標したい」と記されていた。そこから一度も途切れることなく30年連続30回目の定期演奏会を向かえた。創設当時を知る関係者は「団員わずか4人でスタートした。メンバーを集めるのに苦労したが、当初から、先輩後輩の垣根を超えたチームワークの良さがあった。それが代々受け継がれて、どこにも前例がない大合同演奏につながった」と感慨深く振り返った。

山梨学院ウインドブラスアンサンブルは、単に吹奏楽の部活動を楽しむだけでなく、箱根駅伝や大学野球に代表されるスポーツの応援や、アルテア七夕まつりなどの大学行事に花を添える活動に地道に取り組んでいる。今年の箱根駅伝では、予選会からチアリーダー部とともに応援に駆け付け、正月の本大会では、大手町〜箱根間を駆け回って選手を励まし、チームのシード権獲得に沿道から貢献した。

33人の現役メンバーは、大学生21人と短大生12人、女性が3分の2を占める構成、定期演奏会に向けて各楽器単位でそれぞれ練習を重ね、本番1週間前からは、会場のメモリアルホールを使い、フルメンバーによるホール練習に取り組んだ。メトロノームに合わせ、テンポを正確に合わせる練習と全員の音を合わせる練習を繰り返して本番に備えた。植松勇気団長は「大変大勢のOB・OGの皆さんに参加して頂けるので、内容の濃い演奏会にしたいと皆張り切っています。長い間見守ってくれている人もたくさんお見えになるので、先輩の皆さんや支えてくれている人たちに「楽しむことが出来たよ」と言ってもらえる演奏会にしたい」と話し、メンバー全員が一丸となって準備を進めた。

向かえた本番当日、演奏会は第1部吹奏楽・第2部ポップス・第3部クラシックの3部構成。第3部クラシックステージの1曲目が終わった時に緞帳が静かに降ろされた。再び幕が開いた時、一気にクライマックスが訪れた。ステージは90人のメンバーで埋め尽くされた。白河和治山梨学院短大教授の指揮に全員が呼吸を合わせる。予定された演奏曲目は、ムソルグスキー作曲「歌劇[ボリスゴドゥノフ]より戴冠式の場」と、チャイコフスキー作曲「序曲[1812年]」の2曲。久しぶりに楽器を演奏する人、働き盛りの人、生活環境は皆違うが、皆山梨学院で吹奏楽をやった仲間たち、どの顔も紅潮して音に思いを込めた。2曲の演奏後、拍手が鳴りやまなかった。そして、アンコールの2曲目、最後の曲は、30年変わらない山梨学院ウインドブラスアンサンブル伝統のアンコール曲「ブロックM」。どの年代も演奏して来た共通の曲、演奏している全員の心が、本当に一つになっているように見えた。メモリアルホールは、七色に輝く大音響に包みこまれた。

山梨市民吹奏楽団に加わっているという最年長参加者の廣瀬和人さん(38歳)は「自分たちは白河先生でつながっている。先生自身が進化していて、短いリハーサルでぐっとまとめてくれた。改めて偉大さを実感しました。とにかく懐かしかった」と語った。岩手県山田町から駆け付けた笹原祐起さん(28歳)は、2002年の第1回アルテア七夕まつりで、開幕を告げるファンファーレを吹いた元団長。「わずか30分少々の演奏だったけれど、楽しかった。遠くから時間をかけて来た甲斐があった。年齢も住んでいる環境も違うけれど、みんな仲間。絆で結ばれていると感じ、元気が出ました。また是非やってほしい」と顔を輝かせていた。東京から駆け付けて後輩たちの演奏を見守った初代団長の吉田均さん(54歳)は「鳥肌が立った。演奏もそうだけど、30回主催してきたことに感動しています。現役学生に伝えたいのは、吹奏楽で学ぶ団体の和は、就職すると非常に役に立つこと。身につけたチームワークを社会で活かしてほしい」と後輩にエールを送った。中心的にOB・OGに参加を呼び掛けた14年前の卒業生銚子市在住の吉田伸健さん(36歳)は「学生から相談を受け、連絡が取り合えるOBでメール等による呼びかけを行い、12月から4回の合奏練習を行う機会を設けて本番に臨みました。現役の学生が演奏した第1部・第2部では涙を流すOBがいました。自分の学生時代と重なって見えたそうです。合同演奏では世代を超えたOBが集い、白河先生指揮の下でひとつの時間を共有する感動を得ることができました」と振り返った。植松勇気団長(法学部2年)は「自分はWBE(ウインドブラスアンサンブル)の一員だと改めて感じました。白河先生が終始笑顔だったので、先生も楽しんで下さったと思います。準備は大変でしたが、本番は素晴らしいものになったと思います。40回・50回にはOBとして参加したい」ホッとした顔で肩の荷を下ろしていた。

演奏会の準備に追われていた時、現役の学生たちは「OB・OGの皆さんと同じ年齢になった時に“あの時は良かったな”と振り返られる演奏会にしたい」という思いを抱いて飛び回った。そして、演奏会の後で行われたプルシアンブルーでの懇親会で、再会を果たし、旧交を温めた先輩たちが、次々に「楽しむことが出来たよ」と現役の学生たちに言葉を投げかけてくれた。山梨学院のキャンパスは、この日遅くまで、絆の大切さと温かさを胸に刻んだ“先輩と後輩”の笑顔に包まれた。

文(M.T) カメラ(平川大雪)


| アルバム1 | アルバム2 | アルバム練習 |
Copyright (C) 2011 YGUPC. All Rights Reserved.