山梨学院パブリシティセンター
競泳日本選手権 3日目
〜鈴木聡美100m平泳ぎオリンピックを決める〜
〜加藤和200m個人メドレー準決勝1位通過〜

ロンドン五輪日本代表選考会を兼ねた第88回日本選手権水泳競技大会競泳競技3日目、鈴木聡美が100m平泳ぎで見事な泳ぎを見せた。物凄い緊張感を克服、五輪派遣標準を突破する1分06秒80で優勝、期待通りロンドン五輪出場を決めてくれた。高校時代は無名の選手だった鈴木は、山学大に入学して才能を開花させた。努力を積み重ねた4年目の春、桜の花が咲く時に大輪の五輪の花を咲かせた。シドニーの萩原智子、アテネの長田友喜子、北京の加藤ゆかに続き、山学大水泳部から4大会連続のオリンピック選手が誕生した。そして、もう一人の五輪候補、加藤和がこの大会初登場した。200m個人メドレー予選・準決勝ともに1位で決勝進出を決めた。加藤和は、故郷福島に希望の灯をとも すために、明日の夜、水泳人生最高の泳ぎをする。


≪女子100m平泳ぎ 決勝 鈴木聡美≫
鈴木聡美(すずき さとみ 4年 九産大九州)は、両腕をぐるぐる回し、体をパンパンと叩くいつもの所作でスタート前の緊張感を堪え呼吸を整えた。ピ・ピ・ピ・ピ、ざわついていた場内が一気に静まり返った。ピー、最後に胸をポンポンポンポンと叩きスタート台に上った。ピッ、独特の前傾姿勢から電子音に誰よりも早く反応、0,62で飛び出した。前半は思ったほど早くはなく50mは31秒61でターン、リードは頭一つだった。しかし、後半はしっかり伸びた。最後は2位以下を引き離し、ただ一人6秒台でゴールした。去年の秋には67キロあった体重をベスト体重の62キロに絞り、朝練習で9000mを泳ぐ人生最大の練習量でついに夢の切符を泳ぎ取った。

レース後、大変な数の記者団に囲まれた鈴木聡美選手は「すごく緊張しました。スタート台に乗った時もドキドキしてどうなるかと思いましたが、コーチに言われたことを自分で考えながら泳ぎ、6秒台を出せたことが良かったかなと思います。去年世界水泳に初めて出場し、会場の雰囲気に飲まれて結果が出せませんでした。オリンピックはそれ以上に凄い雰囲気だと思います。未知の世界ですが、タイム的には5秒台を狙って練習に取り組み、ベストを更新して表彰台に上れたら一番いいと思います」と興奮冷めやらぬ表情で語った。正式には大会終了後の理事会で決定となるので、あくまでも内定ということになるが、五輪切符獲得は確定的。表彰台で晴れ晴れとした顔で聡美スマイルを見せた。

九州から上京した鈴木選手の家族父の良二さん母の裕子さんと姉の鮎美さんは、スタンドから大声援を送った。父親の良二さん(54歳)は「小さい時はいつもお姉ちゃんのまねをして、背伸びばかりする子だった。負けず嫌いは昔からでしたが、一つのことに夢中になりだすと他の事を忘れるくらいに夢中になるところがありました。周りの人に支えられて、いい環境に恵まれたと親として感謝しています」と話した。母親の裕子さん(50歳)は「レース前に『いつもの聡美で頑張りなさいよ』とメールを入れました。一番の課題が体を絞ることだったので、先生と話し合い昨年11月から月に一回山梨に行き、家庭料理を食べさせ食生活を改善させるようにしました。とても緊張していることが伝わってきましたが 、よく泳いでくれました。皆さんに支えて頂いたおかげです」と喜びを語った。

≪女子200m個人メドレー 準決勝 加藤 和≫
加藤 和(かとう いずみ 4年 福島・桜の聖母短大)は、4年前にあと一歩の所でオリンピック出場を逃した。その悔しさを胸に山学大に編入し練習に明け暮れる毎日を送った。当初は初日の400m個人メドレーにも出場する予定だったが棄権、派遣標準を切る可能性がある200m一本に絞った。午前中の予選を1位で通過して夜の準決勝に臨んだ。最初のバタフライは28秒85で3位、つぎの背泳ぎも1分03秒25で3位通過。しかし、得意の平泳ぎで逆転1分41秒07の1位、最後のクロールで突き放し2分13秒21、準決勝トップで決勝進出を決めた。加藤 和選手は「両方出場するつもりでしたが、狙える方を目指そうとコーチと話し合い200mに絞りました。お昼のアップでしっくりしない部分があり12秒台を出せませんでしたが、感触はつかんでいます。決勝は最後まで諦めない気持ちでしっかり泳ぎたい。4年前は何も分からずに終わってしまい悔しい思いをしました。今度はオリンピックをつかみ取りたい」と決意を語った。福島県出身の水泳選手でオリンピックに出場した人はまだ誰もいない。加藤は放射能の影響で屋外で泳ぐことが出来ない子どもたちのために、福島県水泳連盟の人たちとともに50m屋内プール建設の署名運動にも取り組んでいる。自分がオリンピックに出ることで、故郷に希望の灯をともしたいと思っている。そ のために、明日の決勝レースは全身全霊を傾けて泳ぐ。

この日の山梨学院勢は、この他4人が登場した。100m背泳ぎの2人山下安輝(1年 山口・豊浦)18位・竹迫麻澄(1年 中京大中京)は37位だった。200mバタフライの中坊彩(4年 京都外大西)は36位、200m個人メドレーの七里夏海(高3 山梨学院高)は46位となった。

明日4日目の山梨学院勢は、女子100m自由形予選に萩原智子・下中千明・山岸奈央、男子200m平泳ぎ予選に大林稜典・重森俊二が挑む。そして、加藤和の集大成舞台、女子200m個人メドレー決勝が行われる。

山梨学院勢 3日目の成績
名前 学年 種目 記録 備考
鈴木聡美 4年 100m平泳 1分06秒80 優勝、派遣標準突破、五輪内定
加藤 和 4年 200m個メ 2分13秒21 準決勝1位で決勝へ
山下安輝 1年 100m背泳 1分03秒26 18位
中坊 彩 4年 200mバタ 2分16秒86 36位
竹迫麻澄 1年 100m背泳 1分04秒28 37位
七里夏海 高3 200m個メ 2分19秒81 46位

文(M.T) カメラ(平川大雪)
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