
ロンドン五輪日本代表選考会を兼ねた第88回日本選手権水泳競技大会競泳競技は7日、東京・辰己国際水泳場で6日目の競技を行った。100m平泳ぎで五輪出場権を獲得した鈴木聡美が、今度は二冠と五輪2種目出場を目指し200m平泳ぎ決勝レースに挑んだ。150mでは4位だったが、残り50mで猛然とスパート、先行する3人を抜き去り二冠と五輪2種目出場を確定させた。バタフライで出場するOGの加藤ゆか(東京SC)とともにメドレーリレーメンバーに選ばれる可能性が高く、日本代表メンバー4人のうち2人は山学大の現役とOGが占めると見られる。一方、長距離のエース野中瑞姫は800m自由形のファイナリストとなり8位入賞した。また、50m自由形で萩原智子と下中千明 が準決勝を突破、ともに最終日の決勝に進出した。
≪女子200m平泳ぎ 決勝 鈴木聡美≫
鈴木聡美(すずき さとみ 4年 九産大九州)は100mの時と違い、非常にリラックスした表情で入場して来た。そして、100mとはまったく違うレースをして見せた。先行型の鈴木が珍しく前半を抑えて入った。100mでは2位、150mでは4位に落ちた。もうだめだと思われたその瞬間、まるでターボエンジンが点火したような勢いで、驚異的な追い上げを見せた。先行した川辺美奈子(イトマン)、伸び盛りの高1渡辺香生子(JSS立石)、日本記録保持者の金藤理絵(Jaked)を次々に抜き去り、残り20mではもうトップに立っていた。ゴールタイムは2分22秒99、高速水着で出した2分23秒83の自己記録を1秒近くも短縮させた。オリンピックで表彰台を狙えるタイムで 派遣標準を切り、二冠と五輪2種目出場の両方を手に入れた。表彰式で、バルセロナ五輪200m平泳ぎ金メダリストの岩崎恭子さんから金メダルを受け取った。2位に入った渡辺香生子とともにロンドンに行く。
鈴木聡美選手は「周りに惑わされずにしっかりと自分のレースをしようと思い、最後の50mも周りは見ませんでした。ベストで優勝することが出来、すごく嬉しいです。オリンピックはすごく緊張すると思いますが、自己記録を更新することはもちろん、表彰台を目指して頑張りたいと思います」。たくさんの取材陣からの質問にハキハキと答えていた。メドレーリレーを入れると3種目の日本代表として、いよいよ8月のロンドンに向かう。
≪女子800m自由形 決勝 野中瑞姫≫
高校時代は無名の選手だった野中瑞姫(のなか みずき 4年 佐賀学園)は、山学大に入ってから徐々に徐々に、一歩一歩、力をつけて来た。今年は最終学年、日本選手権の決勝レースを泳ぐことを目標にして、朝練習8500m、午後練習9500mを自らに課し泳ぎ込んで来た。初日の400mで決勝出場を達成させ、あと一歩で表彰台の4位を獲得した。その勢いを800mに持ち込み、800mでもファイナリストになった。だれよりもゆったりした大きな泳ぎで自分らしく泳ぎ、8分49秒44で8位となった。
野中瑞姫選手は「いい感じでレースに臨んだが、スタートしてみたら体が重いと感じた。前半が遅すぎました。前半突っ込んで後半も持つ選手が強いと思うので、練習がまだ足りない。両方決勝に残れたのは久々で楽しく泳げました。最後の年なので、インカレでは絶対優勝してチームに貢献したい」とインカレでの活躍を誓った。
≪女子50m自由形 準決勝 萩原智子・下中千明≫
萩原智子(はぎわら ともこ カレッジスポーツセンター職員)は午前中の予選3位で、下中千明(しもなか ちあき 4年 北陸大谷)は9位で夜の準決勝に進んだ。同じ2組で泳ぎ、萩原は5コース、下中は2コースから飛び込んだ。あっという間のレース、息継ぎをするのはたった一度だけ、ゴールはタッチの差。萩原は25秒75で3位、下中は26秒00で7位となり、揃って決勝進出を決めた。
萩原智子選手は「結構良かったと思います。すごく調子いいと思っているんですが、それに見合ったタイムが出てくれない、お願いだから出して。もっと泳ぎたいね、あと一本なので完全燃焼したい」と語った。50mが専門種目の
下中千明選手は「準決勝でベストを出して決勝に残るのが目標でした。6秒00はベストよりちょっと遅いけれど、とりあえずホッとしました。明日は、思い切って行きます」と話した。二人ともに大好きな50m、決勝の舞台を緊張しながら楽しむ気持ちで最終日のレースに挑む。
この他の山梨学院勢は、女子200m背泳ぎの山下安輝(1年 山口・豊浦)が20位。女子50m自由形の本間あかり(1年 山形・羽黒)が22位。男子1500mの2人は須藤勝也(4年 東京立正)36位・嶋崎喬介(3年 福井工大福井)37位(自己新)。竹迫麻澄(1年 中京大中京)57位となった。明日の最終日は、五輪ラストチャンの萩原智子と下中千明が女子50m自由形決勝に出場する。
山梨学院勢 6日目の成績 |
名前 |
学年 |
種目 |
記録 |
備考 |
鈴木聡美 |
4年 |
200m平泳 |
2分22秒99 |
自己新で優勝、二冠2種目五輪出場 |
野中瑞姫 |
4年 |
800m自由 |
8分49秒44 |
8位、長距離2種目決勝出場 |
萩原智子 |
職員 |
50m自由 |
準決25秒75 |
準決3位で最終日の決勝へ |
下中千明 |
4年 |
50m自由 |
準決26秒00 |
準決7位で最終日の決勝へ、 |
山下安輝 |
1年 |
200m背泳 |
2分15秒02 |
20位 |
本間あかり |
1年 |
50m自由 |
26秒57 |
22位 |
須藤勝也 |
4年 |
1500m予 |
15分58秒55 |
36位 |
嶋崎喬介 |
3年 |
1500m予 |
15分59秒46 |
37位(自己新) |
竹迫麻澄 |
1年 |
200m背泳 |
2分20秒53 |
57位 |
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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アルバム鈴木選手1 |
アルバム鈴木選手2 |
アルバム野中選手 |
アルバム萩原・下中選手 |