
学部設置から3年目を向かえた山梨学院大学健康栄養学部(松本晴美学部長)で、4月から新たな講義として「やまなしの食」について考える研究が始まった。山梨県・山梨学院大・山梨学院短大とで締結された連携協定事業の一環として取り組まれる。講義内容は、山梨県内の食資源の種類やそれぞれの商品学的・栄養学的特性などについて知識を習得し、食の安全などについて考察するもの。具体的には、山梨県農政部の専門職員や生産・加工・流通などに携わっている外部講師を毎回ゲストスピーカーとして招き、専門知識を学び、地域食資源の有効利用について研究して行く。これまでも単発的に外部講師を招いたことはあったが、講義を毎回外部講師(前期15回のうち11回)に委ねるのは学 部設置後初の試み。4月24日の第3回からゲストスピーカーによる講義が始まり、初回は山梨県農政総務課の斉藤修氏が「山梨県で生産されている食資源の状況」と題して県産農畜水産物の概略を説明した。
「やまなしの食」講義は、3年前期の科目として組み込まれた。コーディネーターを松本晴美学部長が務め、ゲストスピーカーとして山梨県農政部の専門職員、地場産業関係者、流通関係者が毎回90分間の講義を行う。科目の狙いは、山梨県内の食資源の種類やそれぞれの食品学的・栄養学的・調理学的・食品加工学的特性について学び、生産から調理・加工、流通、消費までの過程を学習、山梨県における食の安全の取り組みについて理解することを目的にしている。また後期は、前期に学んだ知識を基に、加工や給食メニュー開発などの実習に取り組むことになっている。
第3回講義のゲストスピーカーとして教壇に立った山梨県農政部農政総務課の斉藤修課長補佐は「食品そのものだけでなく、そのバックグラウンドにある山梨県の農畜水産業に目を向けて、知識を深めてほしい」と語り始め、山梨県の地理的条件や気象条件と農畜産物との関係、主要農産物の生産量と全国シェアなどについて説明した。その中で、斉藤氏は「ぶどう・もも・すももの生産量が全国1位であることは良く知られていますが、意外な点では、富士山麓や道志村の水源地帯で清らかな水を利用して栽培されるクレソンの生産量も全国1位です」と紹介し、「皆さんの発想で、クレソンの新たな活用法・料理法を研究してほしい」と若い感性に斬新なアイデアを求めた。
「やまなしの食」講義は、毎週火曜午後1時から90分講義で7月24日まで全15回実施される。第4回以降の講義については、主要食糧・野菜・果実・畜産・水産資源・森林資源などの各分野について、それぞれの専門知識を持ったゲストスピーカーが、取り組みと現状の課題などについてより具体的に講義を行うことになっている。山梨県としては、管理栄養士を目指す学生たちに県産農産物の知識をより深く理解してもらい、地産地消と消費の拡大に学生のアイデアを生かしたい狙いがある。健康栄養学部としては、身近にありながら詳しくは知らなかった県産食材について専門家から知識を学び、後期に取り組む加工食品や給食メニュー開発などの実習に役立てる狙いがある。学生たちが後期に 考案するメニューや研究内容は冊子にして県に提出されることになっている。
松本晴美学部長は「これまでも県健康増進課と連携した一般市民を対象にした生活習慣病を予防する『県民公開講座』などを単発的に実施して来たが、講義のほとんどを外部のゲストスピーカーで構成する試みは初めて、専門家が生産から今の活用の状況まで詳しく話して下さるので、学生たちは生の活きた知識を学ぶことが出来る。山梨県との連携を積極的に活用して行きたい」と話している。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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