
第64回春季関東高校野球大会山梨県大会は5月7日、甲府・小瀬球場で3位決定戦と決勝戦が行われた。3位決定戦で富士河口湖高が4−1で甲府城西高を下した後、午後1時に春の王者を決める戦いが開始された。両チームはいきなり点を取り合った。1回表に山梨学院の先頭バッター安並大輔が3塁打で出塁、東海大甲府の先発秋谷の暴投であっさり先制。一方、東海甲府は、四球で出塁した先頭の渡邉が暴投と送りバンドで3塁に進み、セカンドゴロの間にノーヒットで生還した。試合の前半は、山梨学院がゲームを支配し5回を終わった段階で5−1とリードした。しかし、後半は東海甲府ペースに流れが変わり、6回に2点、8回に1点を奪われ1点差に詰め寄られた。向かえた9回表、平間凜太郎 が圧巻の投球をした。代打石渡、1番渡邉、2番新海を三者連続三振、いずれもカウント2―2からフォークボールで空振り三振に仕留めた。完投で優勝投手となった。山梨学院高の優勝は10年ぶり2回目、山梨第一代表として19日からの関東大会に出場する。
春季関東高校野球県大会決勝≪山梨学院vs東海大甲府≫(5/7)小瀬球場
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山梨学院 |
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東海大甲府 |
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山学バッテリー平間―矢崎、東海 秋谷→高橋→木下→本多―成田→石井
3塁打 安並(山学)、2塁打 山本・渡邉(東海)
安打 山学6・東海10、エラー 山学0・東海1、
山梨学院の廣瀬直紀(3年)と東海大甲府の神原友(3年)の両エースは、この試合は登板しなかった。準決勝で関東大会出場を決めた山梨学院は、もう一人のエース平間凜太郎(3年)で臨み、東海大甲府は2番手・3番手の4投手を注ぎ込んで戦った。初回に1点を取り合った後、前半は山梨学院の流れで進み、3回に2点、4回に2点を取り大きくリードした。しかし、東海甲府は平間の速球に慣れてきた後半に反撃してきた。6回に2点、8回に1点を返され1点差に詰め寄られた。平間の速球は前半にマックス148キロを記録したが、6回以降はその速球を痛打されるようになり、東海打線に10安打を許した。一方山学打線は、準決勝までの4試合は毎試合二ケタ安打を記録して来たが、決勝では東海が繰り出した4投手に目先を狂わされ、後半は追加点を奪えず6安打に留まった。平間は中盤以降ピンチの連続だったが、9回表はぴしゃりと止めた。冬の間に習得したフ ォークボールを7回から使い始め、9回は決め球として投げ込んだ。使ったのは、いずれも追い込んだ2−2から、打者の手元でストンと落ちて三者連続空振り、魔球でゲームセットに持ち込んだ。試合後の表彰式で、春の覇者山梨学院チームに表彰状・優勝旗・優勝盾が贈られ、ナインの胸に金メダルが輝いた。
平間凜太郎投手は「これまではピンチの場面で粘れず、去年1年間は悔しい思いしかしなかった。7回・8回の苦しい場面で粘れたのは自信になる。スタミナが夏に向けての課題。フォークボールは、球種を増やそうと冬の間に習得に努めた。矢崎と話して7回から使い始め、大会でこんなに見事に決まるとは思わなかった。関東大会でも投げれればいい経験にしたい」フォークに手応えと活路を見出したようだ。
小林義弘主将は「最初に5点を取って、後が0だった。そういう攻めをしていると相手に流れが行ってしまう、もう1点だめ押しが欲しかった。満塁のピンチをダブルプレーで守れたのは大きかった。関東大会は強豪校との試合になるので、盗めるものは盗んで、夏につなげる試合をしたい」と関東と夏を見据えた。バッティングを指導する
菊池 徹コーチは「つなぎ役の選手もいれば、長打を狙ってもらわなければいけない選手もいる。それぞれのタイプに合わせて個々の指導をしている。バッティングは水もの、いま打てたから夏打てるという保証はない。センター中心に大振りしないで、ボール球は打たない、それで確率を上げるしかない、夏に照準を合わせしっかり指導したい」と語った。
須田喜照監督は「廣瀬一人では夏に勝てないので、平間にピンチの場面で踏ん張ることを経験させようと登板させた。ランナーを出しても焦らずに、丁寧に投げれば、そんなに打たれないよとベンチで伝え、ギリギリのところで踏ん張ってくれた。完投できたことで自信を持ってくれたと思う。今日は神原君が投げていないし力は東海さんと五分だと思う。反省点はいっぱいあるが、優勝できたことは結果として良かった。もう一つ二つレベルアップして行けば甲子園は見えてくると思う」と振り返った。
山梨第一代表山梨学院高の関東大会出場は4年ぶり7回目、第二代表東海大甲府高の関東大会出場は3年連続17回目となる。大会は、5月19日から23日の日程で埼玉県大宮公園、市営大宮、上尾市民球場で開催される。
文(M.T) カメラ(藤原 稔)
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