2012年関甲新学生野球春季リーグ戦1部(第6節)は5月12日、埼玉県の平成国際大学野球場で1戦目2試合を行った。第1試合は暫定2位の山梨学院大学と暫定4位の松本大学が対戦。山学が松本に4対3で勝ち、逆転優勝に望みを繋いだ。先攻の山学は力投派右腕・山田祐也(3年・山梨学院)が先発。山田が2回表、二死一三塁で右前適時打され先制を許すが、粘投で援護を待つ。4回表、先頭の3番・加賀美祐樹(2年・東海大甲府)が相手左腕から内野安打で出塁し犠打で進塁。続く、主砲5番・中村圭輔(2年・熊本国府)が1ー1からの3球目を左フェンスに達する二塁適時打を放ち1対1の同点。その後の2四球で満塁とし、9番・大丸浩平(2年・甲府商業)が初球を強振し左前2点適時打し3対1とした。5回表にも四球で出塁したランナーを一塁に置き4番・DH・大沢が一塁線を痛烈に抜け右フェンスに到達する二塁適時打を放ち4対1とした。6回表から制球派右腕・諸見里尚(2年・糸満)が2回を好投。8回表、デビュー戦となる新人右腕・花城大輔(1年・八重山商工)が1失点、9回には抑えとして技巧派右腕・穴田真太郎(4年・PL学園)がマウンドに上がり1失点と、松本大に4対3と追い上げられながらも、穴田が最後の打者を左飛に打ち取る踏ん張りで先勝した。
□暫定2位の山梨学院は(勝ち点2 4勝2敗)、第5節で暫定1位の上武(勝ち点4 8勝0敗)、暫定2位の白鴎大(勝ち点3 6勝2敗)の両校を追い、むかえた6節の松本大戦。高橋一三監督が先発を任せたのは、2勝1敗1セーブの力投派右腕・山田祐也(3年・山梨学院)。強風の中、山田がマウンドに向かった。
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松 本 |
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●[山梨学院](1勝〈通算 勝ち点2 5勝2敗〉)
●【投手】
●山田(勝ち投手〈3勝1敗1セーブ〉)投球回数5回、打者23、打数20、投球数74、安打6、犠打1、四球1、死球1、三振3、失点1、自責点1
●諸見里 投球回数2、打者6、打数5、投球数19、四球1
●花城 投球回数1回、打者6、打数4、投球数24球、安打2、犠打1、四球1、三振1、失点1、自責点1
●穴田 投球回数1回、打者6、打数4、投球数28球、安打1、四球2、暴投1、失点1
●【捕手】田中
◆先攻の山梨学院は1回裏、山田が1番打者を中飛に、2番打者を3ー2から見逃しの三振に打ち取るが、4番・5番打者に連打。二死一二塁と得点圏にランナーを背負う投球のなか、6番打者を内野安打で打ち取りピンチを脱した。
◆2回裏、山田が先頭打者6番に四球を与えると7番打者に左前安打され無死一二塁。8番打者の犠打を捕手の田中が捕球し三塁封殺で一死一二塁。山田が9番打者に中飛され二死一三塁とされ、続く1番打者に右前適時打され先制を許し0対1とされた。
◆4回表、先頭の3番・加賀美祐樹(2年・東海大甲府)が相手左腕から内野安打で出塁し、4番・DH・大沢和久(3年・光星学院)の犠打で進塁。続く、主砲5番・中村圭輔(2年・熊本国府)が1ー1からの3球目を左フェンスに達する二塁適時打を放ち1対1の同点。6番・菊池紳弥(3年・学法石川)の1ー1からの3球目が、相手投手の悪送球を誘い中村が三塁に進塁、すると菊池が四球で歩き一死一三塁。二死後、1打席目で左前安打している8番・田中貴也(2年・八重山商工)がストレートの四球で満塁とし、続く9番・大丸浩平(2年・甲府商業)が初球を強振し左前2点適時打し3対1とした。
◆5回表、この回から代わった相手右腕から一死後、3番・加賀美が四球を選び出塁。続く、4番・DH・大沢が1ー2から一塁線を痛烈に抜け右フェンスに到達する二塁適時打を放ち4対1とした。
◆6回裏、高橋監督が安定感に欠ける山田から制球派右腕・諸見里尚(2年・糸満)に交代。諸見里が先頭の6番打者にフルカウントから四球を与えるが7番打者を三塁ゴロにし、三塁手・中村圭輔(2年・熊本国府)から、この回から二塁の守りに付いた鈴木悠介(2年・山梨学院)へ、鈴木から一塁手の菊池紳弥(3年・学法石川)へと転送され二死無塁。続く8番打者を二塁ゴロに仕留めた。
◆8回裏、2回を好投した諸見里から新人右腕の花城大輔(1年・八重山商工)へ継投。公式戦初出場の花城が先頭の3番打者に右前安打で出塁を許すと犠打と四球で一死一二塁。続く、6番の代打を空振りの三振に打ち取り二死一二塁としたが、7番打者に中前適時打され4対2とされた。
◆9回裏、抑えとして技巧派右腕・穴田真太郎(4年・PL学園)がマウンドに上がった。先頭の9番打者を一塁ゴロに仕留める立ち上がり。続く1番打者にフルカウントから四球を与えると、2番の代打に左前安打され一死一二塁。穴田が二塁走者へ牽制、これが悪送球となり一三塁としたが、3番打者を三飛に打ち取り二死一三塁、勝利まで後1人。穴田の4番の代打への3球目が、まさかのワイルドピッチとなり4対3、さらに四球を与え二死一二塁と逆転ランナーを塁に出した。追い詰められた穴田が、5番打者を左飛に打ち取る踏ん張りで先勝した
□今季初のスターティングメンバーで、4回二死満塁で2点逆転打を放った9番・大丸浩平(2年・甲府商業)は「悪い流れの中で、皆が繋いでくれたので、打ちたかった。打席に入る前に伊藤コーチから『中途半端でなく、3球振ってこい』といわれ打席に立った。一球目の、インコース低目のストレートの初球を仕留められた」と、明日もスタメンで出られたら「期待に答えたい」とはきはき話した。
□4回表の同点2塁打を放った主砲5番・中村圭輔(2年・熊本国府)は「先制され、雰囲気が良くなかったので、この局面を打開したかった。インコースよりの真ん中のストレートが来たので振り抜いた。今シーズンは調子が良いので明日もチームに貢献したい」と淡々と述べた。
□捕手で4人の投手をリードし、8番バッターで1安打2四球でチャンスを演出した・田中貴也(2年・八重山商工)は、まず投手について山田は「今日は、変化球のコントロールが良くなかった。特にスライダーは、何時ものキレとコントロールがなかった」と「強風の影響かな」と首をひねった。諸見里は「立ち上がり四球を与えたが、後は安定した投球をしてくれた」と、花城は「初登板でボールが先行し良くなかったが、次は今日の経験が生き良いピッチングができると思う」と高校の後輩へエールを送った。9回、抑えで出て来た穴田は「予定していなくて急な登板で、調子が出なかったと思う」と弁護した。自身の打撃について「繋ぐバッティングを心掛けた。特に4回は自分の四球で満塁となり、大丸が良く打ってくれて、勝ち越せて嬉しかった」とチームバッティングに徹し切った男が微笑んだ。
□高橋一三監督は「勝ったのか、負けたのか、分からない試合」と苦笑い。「後半、点を取れるところで取れなかったのと、投手陣がボールが先行して自分達のピッチングができなかったことが苦戦した理由」と振り返った。「今日の山田は球のキレもなくボールが先行して良くなかった。山田は悪いなりに1失点でこらえていたが、5回が限度と諸見里に継投した。8回裏(4対1)には1年生の花城を試したかったので起用した。順調に行けば、この2人で終わりたかった。明日先発予定の穴田の登板は予定外だった」と述べ、打撃陣について「キャプテンで1番の高田千暉(3年・木更津総合)と3番の平井慎也(3年・富士学苑)らが体調不良で欠場した。その中にあって、中村は調子が持続しているので中村の前にランナーが出ればと思っていたが、4回ランナーを一塁に置いて期待どおりに二塁打を放ち同点にしてくれた。今日スタメンで起用した大丸が、苦しい場面で今季公式戦初安打の勝ち越しとなる打点2を挙げてくれて」と笑顔で顔が崩れた。怪我人などで台所が苦しいが「岩渕智和(2年・樹徳)も初打席初安打、守備では古屋啓輔(2年・巨摩)、鈴木などの試したい戦力を起用でき収穫もあった。明日は穴田に頑張ってもらいたい」と球場を後にした。山梨学院は明日の午後12時30分から同球場で勝ち点を狙い松本大と戦う。
文(H・K)、カメラ(小池裕太)
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