山梨学院パブリシティセンター
全日本選抜柔道体重別選手権 
〜山部佳苗決勝の延長で杉本美香に惜しくも敗れる〜
〜浅見八瑠奈初戦で敗れロンドン五輪の夢かなわず〜

ロンドン五輪代表最終選考会を兼ねた平成24年度全日本選抜柔道体重別選手権大会が4月12・13の両日、福岡市・福岡国際センターで開催された。各階級の上位8人に選抜された選手によって競われる体重別日本一決定戦。山梨学院大からは現役8人、OG1人が選ばれ出場した。このうち、4月の皇后杯で田知本愛・杉本美香の2人の五輪代表候補を下して優勝した78s超級の山部佳苗の戦いと、五輪最終選考に臨んだOG浅見八瑠奈(コマツ)の戦いが最も注目された。山部は予想通り強さを発揮、準決勝で田知本を再び下し決勝に進出した。決勝の杉本戦も優勢に試合を進めたが、ポイントを奪えずに向かえた延長戦で有効を奪われ惜敗した。浅見は初戦で高校生の岡本理帆に敗れてしまい、福見友子と戦うことなく五輪の道を断たれた。

≪78s級 山部佳苗の戦い≫
大会の台風の目となった山部佳苗(やまべ かなえ 105s 4年 旭川大付属)が大いに健闘した。1回戦は120sの巨漢立山真衣(フォーリーフジャパン)から指導2を奪い優勢勝ち。準決勝で五輪代表候補の世界ランキング1位田知本愛(ALSOK)と対戦。開始2分30秒に指導1を奪い、残り10秒に払い腰を仕掛けたが決まらず、ゴールデンスコア方式(GS方式 ポイントが入ったところで終了)の延長に突入した。延長でも両者ポイントなし、3人の審判の旗による判定は白3本、山部の優勢勝ちとなった。そして、決勝の対戦相手は、後輩の井坂希望を下して進出してきた前年覇者で五輪代表候補筆頭の世界選手権覇者杉本美香(コマツ)、再びの日本一決定戦となった。この試合も山部が押した。前半は激しい組み手争いに終始し両者に指導1、ここから山部が圧力をかけて前に出た。杉本は下がりながら場外際で技をかけるだけ。山部優勢ながらポイントを奪えず、GS方式の延長戦に突入、山部優勢のままで1分半が経過、場内が「またもや番狂わせ」とざわついた次の瞬間、杉本の背負い投げに有効を奪われた。勝利まであと一歩のところまで追い詰めながら逆転負けした。山部佳苗選手は「皇后杯で優勝して、この大会も優勝したかった。負けたので口惜しいだけだけど、すぐ投げられて負けていたら、まぐれといわれるだけだった。まぐれでないことを証明できたことは良かった。次は、学生の大会でチームに貢献し、講道館杯で海外の試合に選んでもらえるよう頑張って行きたい」と強さを立証した大会を振り返った。
 
≪その他の山学勢の戦い≫
浅見八瑠奈(あさみ はるな 48s級 OG コマツ)
まさかの初戦敗退となってしまった。相手の高校3年生岡本理帆(藤枝順心)は左組み、右組みの浅見とは喧嘩四つ、奥襟を持って果敢に技を仕掛けてくる岡本に対し、浅見は慎重になりすぎた。動きが硬く、いつもの浅見らしい積極的な攻撃が見られなかった。GS延長に入って寝技に持ち込んだが6秒で解かれ勝機を逃した。両者ポイントなく、3人の審判による旗判定は1−2、積極的に攻めた岡本の勝利となった。浅見八瑠奈選手「甘さがあった。オリンピックに出たかったので非常に情けない」。涙をこらえ声を振り絞って報道陣の質問に答えた。
 
濱田尚里(はまだ しょうり 78s級 4年 鹿児島南)が優勝候補の一人、一昨年の優勝者で講道館杯3位の実力者岡村智美(コマツ)を破る金星を上げた。1回戦で対戦し1分20秒、内股で岡村の体制を崩して得意の寝技に持ち込み、横四方固めで鮮やかに一本勝ちした。準決勝で昨年の優勝者池田ひとみ(自衛隊体育学校)の小内刈りに敗れたが3位を獲得、日本の78s級を代表する選手になったことを立証した。濱田尚里選手tは「2戦目は攻めが遅かった、もっと力をつけなければいけない。去年は1回戦負けだったので、去年よりは良かった、次はもっと上にいけるように頑張りたい」と成長を誓った。
 
新入生の井坂希望(いさか のぞみ 105kg 1年 八千代)が全日本ジュニア3位の実績を買われて選抜された。1回戦で昨年度講道館杯3位の実力上位橋口ななみ(近畿大4年)を破る番狂わせを演じた。序盤で指導1を奪い有利に進め、残り23秒に上四方固めに持ち込み一本勝ちを収めた。準決勝の杉本美香戦も善戦した。結果的には指導2で敗れたが、杉本に投げを許さなかった。井坂希望選手は「挑戦者のつもりでやったので、他の人と比べてプレッシャーはなかった。思い切り出来ました」。期待の新人が表れた。
 
この他の山学勢のうち3人は、五輪出場を決めた優勝者に1回戦で敗れた。馬場奈津美(ばば なつみ、70s級 3年 埼玉栄)は田知本遥(東海大4年)、加賀谷千保(かがや ちほ 52s級 4年 藤枝順心)は中村美里(三井住友海上)、山崎珠美(やまざき たまみ 48s級 1年 三浦学苑)は福見友子(了徳寺学園職員)に敗れた。また、78s超級井上愛美(いのうえ まなみ 115kg 2年 新田)は田知本愛に敗れはしたが対等に戦った。GS延長までもつれる戦いを演じ最後に二つ目の指導を取られ敗れた。男子の清水健登(しみず けんと 66s級 3年 京都共栄)は、世界選手権優勝者の森下純平(筑波大4年)と対等に戦いながら、一瞬の釣り込み腰で一本負け した。井上愛美選手は「今度こそは3回目の正直で田知本さんに勝ちたかった。攻め切れない所があったので、それで指導を取られて負けたのだと思う。次も対戦することがあると思うので、もっと攻めの柔道をやれるよう力をつけて行きたい」と雪辱を誓った。
 
山梨学院勢は惜しくも敗れたが、女子最重量級に主将の山部佳苗と井上愛美ら3人を送り込み、4年生になった濱田尚里・加賀谷千保が充実した戦いを見せ、3年の清水健登・馬場奈津美が成長を示し、井坂希望・山崎珠美の新星が輝きを放った。今年の学生柔道優勝大会、インカレ、講道館杯で光を放つことを示す、確かな足跡を福岡の地に印した。
 
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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