
平成24年度関東学生柔道優勝大会・関東学生女子柔道優勝大会が5月27日、埼玉県上尾市の埼玉県立武道館で行われた。この大会は、男子は7人によるトーナメント戦で優勝を争い、女子・5人制の部は3チーム・2パートでリーグ戦を行い、その成績上位校同士が決勝で優勝を争い、3人制の部では、トーナメント戦で優勝を決定する。山梨学院大男女は、昨年のこの大会を6年ぶりの男女アベック優勝で制し、今年も関東NO.1の座を目指し大会に臨んだ。山学女子はリーグ戦2戦全勝で決勝に駒を進め、淑徳大と対戦。先鋒の連 珍羚が技有で勝利し、チームに流れを呼び、副将の佐野賀世子が内股で一本勝ちし、副将の時点で3勝1分けとして3年連続6回目の優勝を決めた。最後は大将の山部佳苗主将が大外刈りの一本勝ちで有終の美を飾った。一方、山学男子も順当に勝ち進み、決勝で昨年も優勝を争った筑波大と対戦。男子は、組手争いで苦戦を強いられ、攻めの柔道ができず敗退し、準優勝に終わった。
女子5人制の部は今年は3チーム2パートでリーグ戦(予選)を行い、両パート成績上位の2校が決勝で優勝を争った。山学女子はリーグ初戦を平成国際大と対戦し5人全員がオール一本勝ちで圧勝。初戦の勢いそのままに2戦目は埼玉大と対戦し4勝1分けとこれも快勝。リーグ全勝で決勝に駒を進め、関東NO.1の座を争う相手は淑徳大。
関東学生女子柔道優勝大会・決勝(5/27)於 埼玉県立武道館
≪山梨学院大vs淑徳大≫
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先鋒 |
次鋒 |
中堅 |
副将 |
大将 |
| 山学大 |
連 |
加賀谷 |
馬場 |
佐野 |
山部 |
| |
○
技有 |
○
指導2 |
引き分け |
○
一本 |
○
一本 |
| 淑徳大 |
清水 |
武田 |
太田 |
塚越 |
下田 |
山学大4勝1分け 勝利
先鋒の連 珍羚(3年・台湾錦和)は、組手が崩れた所から相手の足を奪いそのまま豪快に投げ、技有りで勝利し流れを作る。次鋒の加賀谷千保(4年・藤枝順心)は前に出て積極的に柔道を行うものの技が入らず、相手の指導2つで勝利。中堅の馬場菜津美(3年・埼玉栄)が引き分けに終わり、続く副将は期待のニューフェイス、佐野賀世子(1年・高岡龍谷)。佐野は、高校3年生の時にインターハイと全日本ジュニアを制し、2冠を達成した逸材。序盤から積極的に攻めの姿勢を崩さず相手を圧倒。残り1分16秒で足技から相手を崩し有効を奪うと残り51秒には鮮やかな内股を決めて一本勝ち。この時点で3勝1分けとして山学の3年連続6回目の優勝を確定させた。残る大将は、今年4月の皇后盃全日本女子柔道の覇者・山部 佳苗(4年・旭川大高)。山部は、主将らしい落ち着いた柔道で全日本に繋がる試合を展開。開始早々に技有を奪うと残り1分27秒で有効、さらに残り36秒に豪快な大外刈りを決めて一本勝ちを収め、有終の美を飾り、チームはこの大会負けなしで優勝を飾った。試合後、選手たちを集めた
山部伸敏監督は「無失点・負けなしで優勝することを目標にしていたので良かった。関東で失点(負けている)するようでは全国が難しい。喜びはもちろんあるが、全日本まで残り1か月を切っているので気持ちを切り替えて稽古に励んでもらいたい。全日本での3連覇は山梨学院しかできないこと。怪我人が多かったり技をかけるタイミングが甘かったり反省点はいっぱいある。全国でパーフェクトを出せるように不安なことはできるだけ排除して完璧な状態にして6月23日を迎えよう」と語りかけた。
山部佳苗主将は「正直3連覇できてホッとしている。個々に本当に頑張っていて、チームとしては良い流れで戦えた。個人的にはもっとガツガツした戦い方をした方が良い内容になったのではないかと思う。きょうは良い形で関東が3連覇できたので、一人一人がさらにレベルアップしてチーム全体でもレベルアップできるように練習したい」と述べた。
一方、山学男子は1回戦の流通経済大を全勝の7勝で下し波に乗り、準決勝の埼玉大には4勝1敗2分けで勝利。勢いそのままに決勝で昨年も優勝を競い合った筑波大と対戦。
関東学生柔道優勝大会・決勝(5/27)於 埼玉県立武道館
≪山梨学院大vs筑波大≫
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先鋒 |
次鋒 |
三将 |
中堅 |
五将 |
副将 |
大将 |
| 山学大 |
白石 |
中村 |
島崎 |
藤木 |
前原 |
鈴木 |
飯田 |
| |
引き分け |
●
有効 |
●
有効 |
●
指導3 |
引き分け |
●
指導2 |
○
一本 |
| 筑波大 |
小林 |
長倉 |
藤原 |
永瀬 |
近藤 |
西山 |
山田 |
山学大1勝4敗2分け 敗戦
先鋒の白石公康(1年・作陽)は粘りの柔道を見せるが決め手に欠け引き分け。続く次鋒の中村剛教(4年・京都共栄)、三将の島崎隼(2年・大成)は相手の組手を奪えず、逆に相手に隙を与えて有効を奪われ、2敗1分けに。中堅の藤木暢志(3年・汎愛)も積極的に前に出るが、技が決められず防戦一方となり指導3で敗退。五将の前原慎也(1年・足立学園)は、一進一退の攻防を繰り広げ引き分け。この時点で3敗2分けで山学の敗戦が決まっていたが、副将の鈴木誉広(2年・弘前実業)は攻めの姿勢を見せ続け、好機を伺ったが組手が奪えず指導2で敗戦。残す大将・飯田健伍(1年・崇徳)は、昨年のインターハイ100kg超級の覇者。攻撃柔道が持ち味で1年生ながら意地を見せ、3 分16秒に見事な1本を決め、チームの決勝での成績は1勝4敗2分け。準優勝となり、2年連続の優勝はならなかったが、強豪相手に投げられない粘り強さが分かり、一定の成果も見えてきた。試合後、
西田孝宏監督は選手たちに「内容での大差はなかった。最後の最後までふんばる、全力で戦う、ちょっとしたことが勝敗を分ける鍵になる。筑波相手に投げられ負けしているわけではないので、組手の決まり次第で勝負が決まっていた。チャンピオンチーム相手に勝つには、ちょっとしたことをしっかりやることが大切になる。全日本に向けあと1か月、もう1回気持ちを引き締めて稽古しよう」と檄を飛ばし、奮起を促した。
武田拓之主将は「筑波とはレベルの違いが明らかだった。投げられ負けはなかったが組手争いなど基本的な所で負けた。しかし、投げられなかったことは収穫になったので、まだ全日本では追いつける余地はあると思う。全日本に向けて優勝できるよう、さらに稽古に励みたい」と語った。
この大会の優秀選手には、山学から男子は島崎隼、飯田健伍、女子は連 珍羚の3人が選出された。山学大は男女ともに6月23、24日に日本武道館で開催される全日本学生柔道優勝大会への出場権を獲得。女子は昨年の全日本で2連覇を達成しており、今年は3連覇がかかっている。男子は2大会連続3位と日本一を狙える位置にきている。男女ともに関東では叶わなかったアベック優勝を目指し、きょうを新たなスタートに稽古に精進する。
文(Y.Y)、カメラ(小池裕太)
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アルバム女子 |
アルバム男子 |
アルバム表彰式 |