山梨学院パブリシティセンター
山梨学院短大オペレッタ発表会
〜保育科2年生がミニ歌劇「ピノッキオ」を企画・制作〜
〜167名全員で役割を分担、園児1000人を招待〜

山梨学院短期大学は7月5日、山梨学院メモリアルホールで平成24年度オペレッタ発表会を行った。オペレッタはイタリア語で「小さなオペラ」を意味するセリフと踊りのあるオーケストラ付き歌劇。発表会は保育科2年生が必修科目「保育内容 総合表現授業」の一環として取組む山梨学院短大伝統の授業。保育科2年生の167人は「脚本・演出」「運営」「キャスト」「音楽表現」「造形表現」「身体表現」の6部門に分かれ、上演作品の選定から、大道具、小道具、照明、音楽などすべてを全員で分担、試行錯誤を繰り返して上演に漕ぎ着けた。今年はカルロ・コッローディ原作の童話「ピノッキオのぼうけん」に挑戦、この一週間は通し稽古を繰り返して本番に臨んだ。公演は午前と午後の2回行わ れ、招待された山梨県内の幼稚園と保育園の園児約1000人が小さな手で大きな拍手を送った。
保育科2年生伝統の授業「オペレッタ発表会」は、何もないところからすべて学生が準備する"学生による学生のための特訓授業"、毎年2月ごろから準備に取り掛かり、4月からは本番に向けて役割ごとに準備を本格化させる。一つの舞台を作り上げる過程で、チームワーク力、問題解決能力、コミュニケーション能力を養い、自分の体で自分の表現力を体験学習する舞台。

今年の公演演目は、イタリアの作家カルロ・コッローディ原作の童話「ピノッキオのぼうけん」が選ばれた。学生たちはこの1ヶ月間は本番準備作業に追われた。背景の大道具・小道具を用意する美術造形担当や、出演者の舞台衣装を制作する衣装担当は本番に間に合わせることが一番の使命、毎日遅くまで学校に残り、波や鮫の怖さを見事に表現したセットや、ピノッキオや出演者の衣装をすべて手作りで仕上げた。脚本・演出担当はキャストと話し合い、試行錯誤を繰り返して脚本を制作。キャストと身体表現のメンバーは、各自の演技と踊りの表現を皆で話し合い工夫。音楽表現の吹奏楽と合唱隊は、それぞれの立場から意見を出し合い作曲・編曲。本番直前のこの一週間は、全員が集結して本番のメモリ アルホールを使っての通し稽古に取り組んだ。初日はまったくだめだった。音楽も演技も中途半端でばらばら、はたして間に合うのかというほどの不出来だった。しかし、若いということはすごいことだ。日を追うごとに成長、わずか1週間で完璧に仕上げて見せた。向かえた本番当日、運営は各団体の受入れと場内整理に奮闘。誰もが創意と工夫と努力で舞台の表と裏を支えた。

公演は、午前も午後も園児たちの歓声に包まれた。ピノッキオがキツネとネコにだまされて4枚の金貨を埋めようとすると「埋めちゃだめだよ〜」と黄色い歓声が上がり、大道具・小道具・照明・音楽・効果音・身体表現が一体となって作り上げたピノッキオが鮫に食べられてしまうクライマックスシーンでは、子どもたちの悲鳴が会場にこだました。会場中空を"宙吊りのハト"が舞い、女神様の呪文で操り人形のピノッキオが人間の子どもに生まれ変わると、喝采の拍手が湧き起った。公演時間は休憩時間なしの約1時間だったが、あっという間だったのだろう。裏方に徹した者も舞台に上がり最後の挨拶をした学生に、拍手と笑顔で応え、通路で見送る学生たちに手を振り、子どもたちは興奮した表情で帰 って行った。1週間前は厳しい顔でダメ出しを繰り返していた川上琴美先生は「120点の出来です」と学生たちの努力を称えた。

園児を引率して来場した甲府・和泉愛児園の杉浦利江さんは「サメのシーンでは身を乗り出してしまうなど、子どもたちの興奮が手に取るように伝わって来ました、素晴らしい感動に出会えて子どもたちはわくわくしています」と感想を語った。ピノッキオ役の秋山菜摘さんは「最初は木の動きが分からなくて、先生方に聞いて肘から曲げるようにして、足は直角に上げ下げするようにしました。最後に人間に変わった時の動きが逆にとても難しくて悩みました。ピノッキオがだめだとぜんぶだめだとなるので大変でしたが、みんなに支えてもらってなんとか出来たかなと思います」と振り返った。身体表現の鰐川久実子さんは「私たちは荒れた海と穏やかな海の両方をやったんですけど、穏やかな海の表現に苦心しました。身体にはダンス部やチアリーダー部、新体操やバレエ経験者がいて最後は一致団結して燃えました」と語った。脚本・演出を担当した渡邉真実さん・天野萌々子さんは「2月から準備を始めて、部門ごとの意見を聞いて何度も書き直して第7版まで行きました。私たちは考えるだけで、皆が形にしてくれました。この1週間で、どの部門も急激に燃えて追い込んでくれました。120点の出来です」と嬉しい涙を流しながら語った。運営を担当した三枝由起子さん・小杉早紀さんは「通路のレンガ装飾を一つ一つボンドで貼り付ける作業は思った以上に大変だったけど、子どもたちが「すごい、すごい」と言ってくれて励まされました。終わった後、キャストの人たちが泣いているのを見て、裏方として支えることが出来て良かったと思いました」と笑顔を見せた。

2月から準備を始めて約5か月、最後の1週間で猛烈に追い込んだ今年のオペレッタ集大成舞台。待っていたのはこどもたちの歓声と拍手に包まれた感動のフィナーレだった。保育士の卵たちが得たのは、一緒に苦労したことで得た連帯感と、私たちは努力すれば出来るんだという自信だった。この2年生の舞台を1年生は前日に見聞した。来年の自分たちはこれを超えれるだろうかという不安と、越えて見せるという闘志の両方を心に植え付けた。伝統はその心とともに引き継がれる。

文(M.T) カメラ(平川大雪)
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