
第94回全国高等学校野球選手権山梨大会は7月18日、小瀬スポーツ公園野球場で準々決勝4試合が行われた。山梨学院高は午前8時からの第1試合で帝京三高と対戦した。この試合は左のエース廣瀬直紀が先発したが、ピリッとしなかった。ボールが先行する苦しい投球で守備にも足を引っ張られ5回までに3点を失った。打線はチャンスを作りながらも主軸が打てず苦戦を強いられた。チームを救ったのは6回から救援した平間凜太郎、いきなり3者連続三振で流れを変え7回・8回・9回の3イニングはヒットを打たれながらも後続を抑え切った。打のヒーローは1番の安並大輔、7回裏2死2・3塁の場面でライトの頭上を越える3塁打で2者を迎え入れる逆転勝利弾を放った。準決勝に進んだ 4強は、山梨学院、甲府工、東海大甲府、甲府商。4強対決は21日、山梨学院は甲府工と決勝進出を賭けて対戦する。
夏高校野球山梨大会準々決勝≪山梨学院vs帝京三≫(7/18)甲府・小瀬球場
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バッテリー 山学 廣瀬・平間−矢崎、帝三 宮崎−辻、
3塁打 安並、 安打 山学9・帝三9、失策 山学1・帝三1、
左のエース廣瀬直紀(3年)は、初戦の日川高戦では2年の時のような、下半身のリードで力まずに全身で投げる投球を取り戻し4安打10奪三振と復活したが、この日は上半身だけで投げる悪かった春のピッチングに戻ってしまった。体重が前に行かず上体と手先でコントロールをつける投球でボールが先行した。3回表は1死から四球を与え、送りバンド成功からセンター前ヒットを打たれセンターがもたつき2塁ランナーの生還を許した。打線はその裏に反撃し1死1・2塁から3番に打順が上がった大下拓馬(2年)がこの日も活躍、センター前にタイムリーヒットを放ち同点に戻した。4番小林義弘(3年)・5番坂上泰斗(3年)の連続デッドボールでラッキーに逆転したが、そのあとの1死満塁のチャンスは生かせなかった。帝京三は5回表に 先頭の6番唐木のレフト前ヒットを足掛かりに意表を突く3盗とスリーバンドスクイズで同点、さらに山学内野陣の悪送球を誘って逆転した。廣瀬は5回を投げ4安打2四死球という不安定な71球でマウンドを降りた。6回頭から登板した右のエース平間凜太郎(3年)はいきなり帝三の3番宮崎をスライダー、4番那須野を149キロの速球、5番柿本をフォークで仕留め、三者連続三振で帝三に傾いた試合の流れを変えた。平間は7回・8回・9回の3イニングはヒットを打たれてピンチを招いたが、捕手の矢崎海(3年)のサインを信じ、コントロールに気を付けて後続を抑え切った。ピンチで萎縮して打たれた昨夏の悔しさをばねに、弱い気持ちを鍛える努力を続けた成果が、最後の夏の大事な場面でチー ムを救った。
打線は主軸が打てなかった。4回裏の2死満塁、6回裏の1死満塁のチャンスで4番の小林義弘(3年)と5番坂上泰斗(3年)の主軸が凡退に終わった。しかし、7回裏に下位打線が再びチャンスを作った。スタメンを外されたが途中から2塁の守備に入った6番福本大賀(2年)がレフト前ヒットで出塁、7番加藤久也(3年)の送りバンドを3塁手が悪送球して無死2・3塁とした。8番・9番が倒れ2死になったが、この日2安打1四球、出塁率10割の1番安並大輔(3年)がバッターボックスに立った。
1塁側応援席から安並のテーマ曲「さくらんぼ」が響いてきた。一段と熱気を帯びた吹奏楽部の大音響と全校応援生徒の大声援が小瀬球場の熱気を一段と高めた。安並は「ツーストライク取られてから打つのが自分のバッティング」と冷静に打席に立っていた。2−3と粘った末の打球は"カキーン"という心地良い響きと共にライトの頭上を越える放物線を描いた。2者を迎え入れる3塁打でついに逆転に成功した。山学チームは帝京三のエース宮崎一斗の151球の粘投に苦しんだが、4−3として準決勝進出を勝ち取った。
羽織袴姿で大応援団の最前列に立ち、声を枯らして応援を指揮した
浅川莉央応援団長は「先制点を取られた時はスタンドもア〜となったんですが、すぐに気持ちを切り替えて気持ちを一つにして全員が全力で応援しました。選手たちが粘ってくれたので、1点1点を勝ちにつなげられたと思います。次の甲府工か城西はどちらも伝統校なので、選手が伝統校に負けないようにしっかり応援します」と話した。
平間凜太郎投手は「1点差で負けている時は、強い気持ちで投げないといけないことを(これまでの経験で)知っているので、キャッチャーの矢崎のミットめがけて思い切り投げました。ピンチの時こそ丁寧に丁寧にと心に言い聞かせて投げて、甲子園のマウンドに立ちたい」と語った。
安並大輔選手は「7回の場面では、自分が絶対返すという強い気持ちで打席に立ち、打てて良かった。準決勝は甲府工か甲府城西ですが、どちらが出て来ても強いチームなので、自分たちはピッチャーを中心にしっかり守って1点を取りに行きたい」と語った。
須田喜照監督は「小林が打たないとうちはどうしても苦しい展開になる、満塁で打ってくれていればもう少し楽な展開になったと思う。平間は今日もあれだけ投げれたから本物ではないですか。去年は廣瀬が頑張って、今年は平間が頑張ってくれている。どこが来るか分からないが、あと2回なのでなるべくうちの野球が出来るように頑張りたい」と試合を振り返った。
ベスト4に進出した4強は、2年連続6度目の甲子園を目指す第1シードの山梨学院、第2シードの東海大甲府、Bシードの甲府工、5年ぶりの甲子園を目指す甲府商の顔ぶれとなった。山梨学院は21日(土)小瀬球場第1試合(午前9時開始)で甲府工と決勝進出を賭けて対戦する。
文(M.T) カメラ(平川大雪・今村佳正)
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