山梨学院パブリシティセンター
やった聡美今度は銀メダル!
〜日本記録タイの快泳「100mよりもっといい色だ」〜
〜山学大のパブリックビューイング会場は狂喜乱舞〜

ロンドン五輪女子200m平泳ぎ決勝で、鈴木聡美選手がとてつもない泳ぎを見せた。2009年のインカレで金籐理絵選手(当時東海大)が高速水着で打ち立てた「絶対破れない」と言われて来た記録に並ぶ日本記録タイ(2分20秒72)の快泳をオリンピックの檜舞台で演じ「100メートルよりいい色を取ることができて本当によかった」銀メダルを獲得した。日本時間8月3日午前3時40分の未明の時間にもかかわらず、山梨学院大クリスタルタワー7階広報スタジオのパブリックビューイング会場には、スタジオに入りきれないほどの150人を超える学生・教職員・一般の方が詰めかけた。アテネ五輪に出場したOGの高橋(旧姓長田)友喜子さんも駆け付け、母校の後輩水泳部員と共に決勝レースを見守った。世界新(2分19秒59)で優勝したレベッカ・ソニ選手(米国)に迫る勢いで2位になると、会場の全員が総立ちになり狂喜乱舞、大興奮に包まれた。
鈴木聡美(4年 九産大九州高)は50m(31秒40)と100m(1分06秒32)の日本記録を持っているが、持久力が必要な200mには1〜2年の頃には苦手意識があった。しかし、人一倍負けず嫌いな鈴木はものすごい練習を重ねた。去年の秋には67キロあった体重を母の協力もあってベスト体重の62キロに絞り、朝練習で9000mを泳ぐ人生最大の練習量でパワーとスタミナの両方をアップさせた。4月の日本選手権で派遣標準を切る2分22秒99の自己ベストで優勝を果たし、得意の100mだけでなく、以前は苦手だった200mの日本代表も獲得した。鈴木が凄いのはその精神力の強さ、大学の壮行会の時に「自己ベストで泳いでメダルを取ることが目標です」と挨拶し、そ の通りの泳ぎをして見せる心の強さを持っている。「大きな大会になればなるほど燃える」鈴木のニックネームは「ボンバー」。チームメートがそう言うだけでなく、鈴木自身がサイン色紙に爆弾イラストを書き入れるほど気に入っているニックネーム。「ボンバー鈴木」はオリンピックでニックネーム通り爆発した。準決勝で自己ベストを更新(2分22秒40)し、決勝でさらにそれを上回る日本タイ記録で泳いで見せた。どんなに緊張しても冷静にレースを運ぶ精神力と、狙った通りに体を動かせる肉体力を持つ稀有な人物だ。シドニー記念水泳場で男子にも負けない猛練習を重ねたのは確かだが、五輪は努力だけでメダルが取れる世界ではない。その笑顔を支えている強靭な心と強靭な体が、鈴木聡美と山梨 学院に銀メダルをもたらした。

レース直後のインタビューで鈴木は「自己記録も大幅に更新することができて、100メートルよりいい色を取ることができて本当によかったと思います。一生懸命頑張りましたし、自己記録を出すこともできたので、本当に悔いのないすごく楽しいレースができたと思います。家族やチーム、日本で応援して下さっている皆さんの応援のおかげだと思います」と率直に喜びを爆発させた。

チームメートの中坊彩選手(4年 京都外大西)は「ずっと鈴木と同じコースで練習して来て、去年から減量に取り組む姿も見て来ました。持久力を高める練習を多くやって来たので、それが後半の伸びにつながったと思います、本人の隠れた努力が実を結びました」。中坊自身が人一倍努力する努力家だが、4年間ともに切磋琢磨して来た仲間の努力を称えた。チームを支えている山本裕香マネージャー(4年)は「去年は体と心が一致しなくて悔しい表情で練習を重ねた時もありました。一人で行った世界大会の時はいい記録を出せませんでしたが、今回は神田コーチと加藤和さんが一緒だったので、精神的に落ち着いて臨めたと思います。本人が一番望んでいたことなので、チームとしてもとても嬉しい」。鈴木の取ったメダルは、ストップウォッチを手にプールサイドで支えて来たマネージャーたちの勲章でもある。綿谷健佑コーチは「高速水着の時の日本記録に追いついたということは、非常に価値のあることですし、オリンピックという舞台で自己記録を2秒以上も縮めるということは異常な事ですから、彼女自身が持っている力なのかな。帰ってきたら忙しくなりそうです」。大舞台で銀メダルを取り日本タイ記録を出した鈴木の底知れぬ強さにコーチ自身が驚きを示した。後輩の水泳部員と一緒にレースを見守ったアテネ五輪代表の高橋友喜子さん(甲斐市勤務)は「100mで銅メダルを取った時に、こんなに早くメダリストが生まれるとはと驚いた上に、今日は歴史的なことをやってくれた。その瞬間を後輩たちと一緒に見ることが出来ました。(萩原)智子さんが道を開いてくれて、自分や加藤ゆかさんが続き、今度は鈴木さんがメダルを取ってくれた。感動という言葉しか見つかりません」。後輩の活躍を興奮冷めやらぬ表情で喜んでいた。

鈴木聡美がロンドンオリンピックで打ち立てた記録は、100m平泳ぎ銅メダル、200m平泳ぎ銀メダル、日本記録タイ、アジア記録タイ、競泳日本女子史上初の個人種目2種目メダル獲得という快挙だった。これだけでもう十分なのだが、これで終わりではない、400mメドレーリレーに先輩の加藤ゆか(東京SC)とともに出場する。もしかすると1大会3個のメダル獲得という可能性がある。同じ日に同じように銅メダルと銀メダルを取った背泳ぎの入江陵介選手は200mのレース後「競泳は8日間で、27人で一つの競技をしているようなものなので、最後の男子リレーの自由形の選手がタッチするまで、27人の選手のリレーは終わらないです」と語った。明後日の鈴木聡美は、日本チー ムのために、タッチするまで全力で水面を滑るように泳ぐ。

文(M.T) カメラ(平川大雪・藤原 稔)
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