
平成24年度全日本学生テニス選手権(インカレ)本戦4日目の8月23日、岐阜市・岐阜メモリアルセンターでシングルス4回戦とダブルス3回戦が行われた。山学大勢はシングルスに松田望実、ダブルスに田村実里・下道愛里紗組と岡田優里・久次米夏海組が出場した。いずれも敗退となったが、今年のインカレは、山梨学院大テニス部女子にとって飛躍の舞台となった。創部7年目にして初めて二桁の10人を送り込み、最後の夏に燃えた4年の松田望実を筆頭に、下級生も健闘、無名選手集団が強豪校選手を次々に下し、シングルスもダブルスもベスト16を獲得した。ラケットでの練習だけでなく、横根の山道を走り、持久力と瞬発力の両方を高めるトレーニングを継続的に続け「体力勝負には絶対負けない」体と心を作った選手たちは、イ ンカレの檜舞台で鍛えた力と技を発揮した。
山梨学院大テニス部女子は、2006年に9番目の強化育成クラブとして誕生した。関東大学テニスリーグ5部からスタート、初年度5部優勝、2007年4部優勝、2008年3部優勝、2009年2部準優勝1部2部入れ替え戦勝利で最短最速の1部昇格を達成。2010年1部4位、2011年1部5位、創部7年目の今年は3年連続1部校として9月の大学対抗リーグ戦を戦う。
8月のインカレは、9月のリーグ戦を占う前哨戦の意味合いもある。山学大のインカレ記録は、1期生の絶対的エース阿部瑠美(09年卒)のシングルス・ベスト16が過去最高だった。ダブルスは一度も勝ったことがなかった。ダブルスで2組がベスト16に進んだことは創部7年目にして始めて獲得した成果。また、阿部の記録に並ぶシングルス・ベスト16に入った松田望実(4年 鳥取育英中央)は、高校時代はインターハイで1勝もしたことがない選手だった。学生テニス界は、高校時代にインターハイ上位の成績を上げた選手は、揃って早稲田大に進む傾向が強く、早大はエリート集団、地方私学山学大はいわば無名選手集団。無名だった松田が、この大会で早大勢2人を下しベスト16を獲得したのは快挙。1回戦3時間越え、2回戦4時間半越え、3回戦4時間の激闘を制した裏には、ラケットでの練習だけでなく、横根の山道を走り、持久力と瞬発力の両方を高めるトレーニングを継続的に続け「体力勝負には絶対負けない」体と心を作った山学大独特のトレーニングがある。日本テニス協会公認S級エリートコーチの資格を持つ三好勲コーチの指導の下、高校時代に大きな実績を残せなかった選手たちが、徐々にその才能を開花させている。
松田望実選手は「4年間を通して一番実力を出せた大会になりました。インターハイ1回戦負けの自分が、インカレでベスト16に入れたのは、山学大に入って厳しい練習をしたからです。仲間と支えてくれた皆さんのおかげ、リーグ戦で恩返しをしたい」と語った。一方、ダブルスで大健闘した2組はまだ下級生、第3シードの岩崎舞・伊藤夕季組(早大)に敗れた
田村実里・下道愛里紗ペアは「挑戦者として思い切って行こうと臨み、ファーストはタイブレークになった。あそこを取っていたら・・・、思ったより競れました、ポイントを取りたいところで取れなかったことが敗因です」2人とも体調不充分にもかかわらず、最後まで立派に戦いぬいた。リーグ戦でも対戦する金子真理子・難波沙樹子組(専大)と対戦した
岡田優里・久次米夏海ペアは「第2セットを奪い返したのに、ファイナルは出だしが悪かった。勝てた試合だったので悔しいです。ここという所でポイントが取れなかったことを反省して、しっかり練習してリーグ戦では勝ちます」と巻き返しを誓った。田村・下道組は3年と2年のペア、岡田・久次米組は2年と1年のペア、下級生の4人は、勝てなかった悔しさを胸に更なる高みを目指す。大会を振り返り
三好勲コーチは「予想以上にいい所もあったし、最後に悪いところも出た。これまで活躍できなかった選手が力をつけてチーム力を底上げしてくれた。時期によってトレーニング方法を変えているが、この大会で間違っていないという手応えを得た。2週間後にはリーグ戦が始まるが、初戦の亜細亜大戦が鍵を握ると思う。気持ちを引き締め、緊張感を持って初戦に臨みたい」と成果を上げたインカレを振り返り、気持ちをリーグ戦に切り替えた。
平成24年度全日本学生テニス選手権 本戦4日目(8/23) S4R・D3R結果 |
● |
松田望実 |
0−6
2−6 |
大竹志歩
(早稲田大) |
(第2シード)
ベスト16 |
● |
田村実里
下道愛里紗 |
6−7
2−6 |
岩崎 舞
伊藤夕季
(早稲田大) |
ベスト16 |
● |
岡田優里
久次米夏海 |
3−6
6−3
3−6 |
金子真理子
難波沙樹子
(専修大) |
ベスト16 |
学生テニス界最強リーグ戦「平成24年度関東大学テニスリーグ戦」は9月上旬に開催される。1部リーグの試合は、テニスの聖地有明テニスの森公園が舞台となる。大会は9月4日から12日までの8日間に1部の6校が各5試合を戦う短期決戦。試合はダブルス戦2試合、シングルス戦5試合を行って勝敗を決める団体戦。山学大の試合日程は、4日(火)亜細亜大、6日(木)早稲田大、8日(土)駒澤大、10日(月)慶応大、12日(水)専修大となっている。今年の山学大は、創部初の大学王座進出(リーグ戦2位以上チームに出場権)を目指す。インカレ後、山中湖で直前合宿を行い、チーム全員の力を結集させて短期決戦リーグに挑む。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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アルバム松田 |
アルバム田村・下道(ダブルス) |
アルバム岡田・久次米(ダブルス) |