
第88回日本学生選手権水泳競技大会(インカレ)競泳競技は最終日の9日、男女個人4種目の予選・決勝と女子800m自由形、男子1500m決勝、男女800mリレーが行われた。山梨学院勢は、女子800m自由形、男子1500m自由形、女子400m個人メドレー、女子100m自由形、女子100m背泳ぎ、男女200m平泳ぎで決勝に進出。このうち、女子200m平泳ぎに出場した鈴木聡美は前半から快調に飛ばし、首位に躍り出ると75m付近では体半分リード。後半も全力で泳ぎきり、2位と0.2秒差ながらこの種目の五輪銀メダリストとしての意地を見せ、2分24秒18で優勝し大会2連覇を果たし、100平とメドレーリレーに続いて3冠を達成。学生として臨んだ最後の レースで有終の美を飾った。学校対抗得点では、800mリレーB決勝での活躍などで得点を稼ぎ、女子は昨年から順位を1つ上げ総合3位となり、男子も昨年から順位を5つ上げ総合11位となった。最終日も山梨学院チームは。選手・マネージャー・応援団が心ひとつに少しでも上の記録・順位を目指し健闘、躍動した。
■鈴木聡美、圧巻の2連覇(女子200m平泳ぎ)
予選では思うように体が動かず、予選を5位で通過した鈴木聡美(4年 九産大九州高)。鈴木は、学生最後のレース、決勝までの時間悔いの残らぬよう調整を行う。決勝のレースは、センターコースからの水の影響を受けやすい2コース。隣の1コースには4年間一緒に切磋琢磨した主将の村上優海がいた。スタート前には会場の大型スクリーンに福岡からかけつけた家族の姿が映し出され、"やらなければいけない"と強い気持ちになったという鈴木。スタートの反射は2番目の0秒62。前半から全力で泳ぎ25m過ぎからは頭1つ分リード。75m付近では体半分抜け出し、さらに快調に飛ばす。後半も焦らず自分のレースを進め、誰よりも早くタッチ板に手をつけた。ゴール後は電光掲示板を確 認しガッツポーズ。プールサイドに上がると自分の泳ぎに全力で応援してくれた仲間に両手を振った。鈴木は、この種目2連覇を果たし、100m・メドレーリレーに続いての優勝で3冠を達成。学生最後のレースで有終の美を飾った。
鈴木聡美選手は「レース直前は凄い緊張していて、レース中もドキドキしていました。足がつっても良いので前半から積極的に、最後まで全力で泳ぎました。この大会は思い出深い大会で、1年では日本新を出し、4年生の今は3冠達成ということで、チーム一丸となって戦ったので今までに無い喜びがあり、とても楽しかったです」と語り、4年間を振り返り「チームみんなの支えがあり、この記録を出せたので、チームのみんなには感謝の気持ちを伝えたいです。凄く仲の良いチームで辛い練習もお互いに支え合っていける良いチームです。このインカレで一緒に戦えて本当に嬉しいですし、引退レースだった同期のみんなからは感動をもらいました」と述べ、今後について「インカレは最後だけど 水泳人生はまだまだ続くので、リオに向けて頑張りたい」と未来を見つめた。
女子400m個人メドレーに出場した加藤和(4年 桜の聖母短大)は、痛めた腰の影響で後半思うようにタイムが伸びずに4分46秒10の5位に終わり、2冠達成はならなかった。
加藤 和選手は「予選より前半を踏ん張るつもりが踏ん張り切れなくてタイムも上がらなくて残念です。腰を言い訳にしないで表彰台に昇りたかったけど、泳いでいなかった影響が大きかったです。五輪後の最後のインカレで良い経験もしてこれからのプラスになると思います。今後は国体もあるので、しっかりタイムを出せるように頑張りたい」と語った。
さらにこの日はB決勝のレースでも選手たちが躍動。女子800mリレーB決勝では、野中瑞姫・金田有加・岩永有加・村上優美とつなぎ、8分17秒29でB決勝1位。
男子800mリレー(江原・高橋・渡部・須藤)が7分26秒78でB決勝2位、山梨学院記録と山梨県記録を更新した。
江原騎士選手(1年)は「1500mではふがいないレースをしてしまい、800のリレーは須藤キャプテンの引退レースでもあるので、良い順位で次に回したかった。結果として山梨学院記録と山梨県記録を更新できたので良かったです。このレースがインカレ最後のレースで、楽しいレースができました」と述べ、
高橋勇多選手(3年)は「関東インカレで悔いの残る結果となったので、このレースでは悔いの残らないよう全力で頑張った。どんな結果でも受け入れる気持ちで取り組み、最後に山梨学院記録が出せたので良かった」と語った。
渡部貴久選手(3年)は「B決勝であっても須藤キャプテンにただで帰らすわけにはいかなかったので、メダルはないけど新記録を残すことができて良かった」と話し、全員の思いを受けた
須藤勝也男子主将(4年)は「決勝まで残って格好良く入場したかったけど自分が出場したレースで山梨学院記録が出せたので良かった。このレースで引退ですが、まだ実感はなく、これから思いなどが出てくるのかなと思います。選手層が厚くなる中で、この4人で山梨学院の今のベストを示せて良かったです」と語り、引退レースを振り返った。
この他山梨学院勢では、女子800m自由形で野中瑞姫が8分46秒69で5位入賞。男子1500m自由形では、江原騎士が15分35秒25で7位入賞。女子100m自由形で下中千明が56秒82で6位入賞。女子100m背泳ぎでは、山下安輝が1分02秒44で5位入賞、竹迫麻澄が1分03秒15で7位入賞。女子200m平泳ぎでは村上優海女子主将が2分30秒58で8位入賞。男子200m平泳ぎでは大林稜典が2分14秒32で8位入賞を果たした。3日間のインカレを振り返り神田忠彦監督は「女子の予想は4位だったが、取りこぼしが若干あり、リレーも決勝に残れれば総合優勝の可能性もあった。全体としては、男女含めて自己ベストや今後の期待が持てる選手も出てきたので 良かった。良いものを持っている選手はたくさんいるので、そこをさらに引き出せるように基本を大切に伸ばしていけるようにしたい」と総括した。
学校対抗得点ベスト5
【女子】 1位・鹿屋体育大(300.0点)、2位・日本体育大(288.5点)、3位・山梨学院大(288.0点)、4位・中京大(271.5点)、5位・神奈川大(235.0点)
【男子】 1位・中央大(401.0点)、2位・中京大(362.5点)、3位・日本大(352.0点)、4位・法政大(293.0点)、5位・日本体育大(286.0点)・・・11位・山梨学院大(86.0点)
最終日山学勢の結果
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)
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アルバム鈴木選手 |
アルバム男子800mリレー |