山梨学院パブリシティセンター
出雲大学選抜駅伝
〜駅伝シーズン到来 下馬評覆し4位好発進〜
〜1区井上大仁好走・最終オムワンバ区間賞〜

「第24回出雲全日本大学選抜駅伝競走」が10月8日、島根・出雲大社前をスタート、出雲ドームをゴールとする6区間44、5kmで競われた。全国から選抜された20チームと米・アイビーリーグ選抜チームの計21チームが出場、6度の優勝を誇る山梨学院大は、2年ぶり19回目の出場となった。1区に起用された井上大仁がトップとわずか5秒差の5位で好発進、3区で9位に下がったが、4区と5区の駅伝初出場組松山雄太朗と阿部竜巳が7位に上げ、アンカーのエノック・オムワンバが区間賞を獲得、山梨学院の最終順位は4位となった。優勝は青山学院大で初優勝、2位に前年覇者の東洋大、3位中大、山学大は下馬評では評価が低かったが、優勝候補と言われた5位駒大、6位早大を上回る 4位、全日本・箱根に向けて好発進した。


大学三大駅伝の開幕レース"出雲駅伝"は総延長44,5kmで競われる。全日本大学駅伝の8区間(106,8q)、箱根駅伝の10区間(217,9km)と比べて距離が短く、スピードが重視される。レース前の下馬評は、5000m13秒台のスピードランナーを揃えた駒沢大・早大を中心に明大・東洋大が優勝候補と見られた。山学大は9位前後の実力と分析され、厳しい戦いになると予想された。新チームで臨む初めての駅伝、山学大は1区に日本人エース井上大仁(2年)を起用、2区は2度目の鳥羽和晃(4年)、3区は主将の牧野俊紀(4年)、4区は駅伝初出場の松山雄太朗(3年)、5区同じく初出場の阿部竜巳(2年)、6区はケニアからの新留学生エノック・オムワンバ(1年)、下級生主体の布陣、6人中3人が駅伝初出場のメンバーで臨んだ。

スタート時13時05分の天候は晴れ、気温23,5度、湿度55%、東北東の風3,5m、1区・2区・5区のランナーは強い向かい風とも戦うレースとなった。

■ 1区(8,0km)井上大仁(いのうえ ひろと 2年 長崎・鎮西学院)
1区に起用された井上大仁は、オムワンバに次ぐ1万m自己ベスト29分01秒のチームNo2、難しい1区起用に応えてよく走ってくれた。終始先頭集団を走り、早大のエース大迫傑(3年)の揺さぶりにも冷静に対応、1位になった中大代田修平(3年)とわずか5秒差の5位(23分34秒)でタスキをつなぎ、チームに勢いをつけた。井上大仁選手は「目標について行って上位の5位で渡せたが、後半あと一歩足りなかった、まだまだです。チームとしては4位で、まずまずと思うが、もっと上を目指せると思う」。粘りとスピードをもっと身につけたいと語った。
■ 2区(5,8km)鳥羽 和晃(とば かずあき 4年 群馬・前橋育英)
鳥羽は2年前もこの2区に起用され、その時は、2位でたすきを受けたが、初めての駅伝出場で頭の中が真っ白になり、ペースをつかめずにズルズルと後退、区間11位に終った。今回は、その反省を活かした。強い向かい風の中で冷静に力強く走り、6位でタスキをつないだ。鳥羽和晃選手は「2年前の失敗を意識しないようにしていたが、どうしても記憶の中にはあった。でも、前半から積極的に行けた。セオリーだと後ろについて集団に合わせる方がいいが、それでは今までの殻を破れない、攻められたので良かったと思う。夏合宿で距離への不安がなくなったので、しっかり練習して今後につなげたい」。このレースで得た手応えを自信に変えたいと語った。

■ 3区(7,9km)牧野俊紀(まきの としき 4年 千葉・西武大千葉)
3区は主将の牧野俊紀が走った。6位でタスキを受けたが、伸び切れず順位を9位に下げた。レースは、青学大の怪物ルーキー久保田和真(1年)が区間賞の走りでトップに立ち、そのまま青学大がトップを保ち優勝する展開となった。牧野俊紀選手は「個人としては力を出し切れなくてチームに力を与えられなかったが、全体の順位としては4位で次につながると思う。全日本・箱根は距離も延びて、スタミナも必要になる。全日本まで1ヶ月、箱根まで3ヶ月、しっかり練習を積んで行きたい」。また強い山梨学院になれるよう頑張りたいと語った。

■ 4区(6,2km)松山雄太朗(まつやま ゆうたろう 3年 福岡・自由が丘)
松山は3年になって初めて駅伝レースに起用された。9位でタスキを受けたが、いい走りをした。18分07で走り個人の区間順位は6位、チームの順位を7位に引き上げた。松山雄太朗選手は「前を行く選手を追いかけるレース展開は得意なので、いい位置でタスキを受けたので頑張れると思いました。調子が良かったので2つか3つ行けるかなと思った。初めて起用されて結構緊張しましたが、これはチャンスだと思い自分を売り込むつもりで走りました」。いい走りが出来たと振り返った。
 
■ 5区(6,4km)阿部竜巳(あべ たつみ 2年 秋田・秋田工)
5区を任された阿部竜巳も駅伝初出場だったが、冷静にいい走りをした。18分39秒の区間7位で走り、チームの順位7位をキープしてアンカーのオムワンバに後を託した。阿部竜巳選手は「大学初めての駅伝だったが、後ろにエノックが控えていたので、少しでも早くつないであげようと思って、自分の走りに徹しました。一人抜いたが、一人に抜かれた。もっと攻めて、前をつめてエノックに渡したかった。まだまだだと思うので、さらに力をつけたい」。もう一歩上のところで走れるようになりたいと語った。

■    最終6区(10,2km)エノック・オムワンバ(1年 ケニア・ナイクル)
アンカーのエノック・オムワンバは、ケニアからやって来た新留学生、9月のインカレで5000mと1万mを制し実力を証明した。ただ、駅伝はもちろん、ロードを走ることも初めての体験だった。本人は不安だったと思うが、強かった。7位でタスキを受けたあと5キロ付近で5位に上がり、駒大のアンカー窪田忍(3年)とのラスト勝負に勝ち、29分23秒で区間賞を獲得、チームの最終順位を4位に引き上げた。エノック・オムワンバ選手は「前半は良かったが、ラスト5キロになってから疲れが出て来た。それでも前を必死に越していかなければと思って頑張りました。全日本と箱根ではもっといい走りをしたい」と通訳を務めた阿部竜巳選手を通じて話し、覚えたての日本語で「頑張ります」と笑顔を見せた。

第24回出雲駅伝 山梨学院大学 総合成績4位 タイム 2時間11分46秒

区間 ランナー 区間タイム 区間順位 合計時間 総合順位
1区 井上大仁 23,34 5位 23,34 5位
2区 鳥羽和晃 17,20 8位 40,54 6位
3区 牧野俊紀 24,43 13位 1:05:37 9位
4区 松山雄太朗 18,07 6位 1;23:44 7位
5区 阿部竜巳 18,39 7位 1・42.23 7位
6区 オムワンバ 29,23 区間1位 2:11:46 4位

上田誠仁監督は「明治が出遅れるなど、持ちタイムの争いではなくて、このレースにどういう状態で臨んだかということが如実に出たレースだったと思う。序盤に井上を使っていい流れを作った。2区・3区で差が出てしまったが、駅伝初の4区・5区の2人が耐えて、順位も上げてくれて明るい材料を得た。オムワンバに関しては初の駅伝で、初のロードレースだった。まだ彼の力を充分発揮したとは思えない。分析すれば彼自身も新たな理解が生まれると思う。これでこのまま早稲田・駒沢が引き下がる訳はないし、全日本・箱根は距離が延びて、もっと激しいレース展開になると思う。4位は悪くないが、3位が見えていながらシードが取れなかった。いい意味での課題を見つけたということで今回を締めくくりたい」 と19回目の出雲路を総括した。

大会最終成績は、青山学院大が出場3回目で大会新での初優勝。2位東洋大、3位中央大、4位山梨学院大、5位駒澤大、6位早稲田大、7位順天堂大、8位IVYリーグ、9位城西大、10位國學院大などとなった。 
 
文(M.I) カメラ(平川大雪・藤原稔)
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