
2012年関甲新学生野球秋季リーグ戦(最終戦第7節2戦目)は10月14日、群馬県の上武大学野球場で2試合を行った。第1試合で白鴎大学が勝ち勝率で2位以上が決定し関東大会出場を決めた。第2試合は山梨学院大学と上武大学が残り関東大会出場の1枠を争奪する戦いとなった。山梨学院が4対3と逆転で連勝し、2位以上が決定し関東大会出場を決めた。先攻の山梨学院は0対3とリードされた3回表の一死一二塁、5番・菊池紳弥の左前適時打で1対3。6回表には二死二塁、3番・中村圭輔の右前適時打で2対3と追い上げる。7回表の二死一二塁、主将の1番・高田千暉のレフト線へ痛烈な2点適時二塁打で4対3と逆転。投げては先発の大型新人投手・松尾勇太が2回で3失点と苦しい展開。3回裏からリリーフした今春季最多勝利投手の山田祐也がランナーを出しながらもMAX141のストレートと多彩な変化球で6回裏までの4回を0点に抑える好投。4対3と逆転した7回裏からは昨日、139球で上武に完封勝利したエース高梨が伸びのあるストレートで打者を翻弄させ3回を1安打1四球4三振ときっちり無失点に抑え勝利を呼び込んだ。高橋一三監督は「野球部全員でチームを作ってきた。全員で勝ち取った、この結果を全員で喜んでもらいたい」と野球部員を労った。山梨学院は勝ち点4一番乗りを果たし2年連続2回目の関東大会出場。優勝の行方は明日の白鴎が松本に勝てば勝率で白鴎が2年連続4回目の優勝となる。白鴎が敗れた場合に山梨学院の初優勝となる。
□秋季リーグ戦は第7節1戦目の昨日、勝率で暫定1位の白鴎が暫定6位の松本に敗れる大波乱。その白鴎が今日の1試合で松本を負かし、勝率で2位以上が確定し関東大会出場を決めた。第2試合は関東大会出場残り1枠を争奪する戦いとなった。昨日、先勝し関東大会出場に王手をかけ2年連続2回目の出場を目指す山梨学院と2年ぶり6回目の出場を目指す上武大学とで熾烈な戦いが予想されるとあって球場には大勢の観客が押し掛けた。この大事な一戦に山梨学院は大型新人投手・松尾勇太(1年・米子西高)を先発に起用した。
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●【山梨学院】
●【投手】松尾 投球回数2回、打者13、打数9、投球数48、安打2、本塁打1、四球3、死球1、三振1、失点3、自責点3
●【投手】山田(勝ち投手) 投球回数4回、打者18、打数14、投球数61、安打3、犠打1、四球3、三振3
●【投手】高梨 投球回数3回、打者11、打9数、投球数45、安打1、犠打1、四球1、三振4
●【捕手】田中
●【長打】高田、大丸(二塁打)
●【気象状況】天気(晴れ)、気温(25度)、湿度(43%)、風向(北西4m/s)
◆先攻の山梨学院は1回表の二死後、3番・中村圭輔(2年・熊本国府高)がバットを折りながらも左前安打で出塁し、4番DH・児玉卓也(4年・甲府城西高)の左前安打で一二塁、5番・菊池紳弥(3年・学法石川高)の死球で満塁と攻め立てたが後続が倒れチャンスを逸する。
◆1回裏、投手・松尾勇太(1年・米子西高)が一死後、2番打者に2ー1から右中間スタンドに飛び込む本塁打を浴び0対1と先制される。
◆3回裏、投手・松尾は6番打者を一ゴロに、7番打者に四球を与え、一塁ランナーへの牽制が悪送球となり三塁へ進塁を許し、8番打者に中前適時打され0対2。二死一二塁から、2番打者と3番打者に連続四球を与え0対3とされる。
◆3回表の一死後、2番・大丸浩平(2年・甲府商業高)が左中間を破る二塁打で出塁。二死後の4番DH・児玉卓也(4年・甲府城西高)の四球で二死一二塁。5番・菊池紳弥(3年・学法石川高)の左前適時打で1対3とする。
◆3回裏、今春季最多勝利投手の山田祐也(3年・山梨学院高)がリリーフ。山田は5番打者に四球を与え、6番打者の犠打と7番打者の中飛で二死三塁。8番打者に四球を与え二死一三塁と窮地を招くも、9番打者を見逃しの三振に斬って取る。
◆4回表一死後、8番・渡辺晶也(3年・山梨学院高)の内野安打と、続く9番・平井慎也(3年・富士学苑高)のエンドランでの右安打で一、三塁。続く主将の1番・高田千暉(3年・木更津総合高)の四球で一死満塁としたが後続が倒れチャンスを潰した。
◆5回表、先頭の・児玉卓也(4年・甲府城西高)が初球を叩き左前安打で出塁。一死後、6番・加賀美祐樹(2年・東海大甲府高)の右前安打で一死一二塁。7番・田中貴也(八重山商工高)の犠打で二死二三塁としたが後続が打ち取られる。
◆6回表、先頭の9番・平井慎也(3年・富士学苑高)が四球で出塁。主将の1番・高田千暉(3年・木更津総合高)の犠打で一死二塁。二死後、3番・中村圭輔(2年・熊本国府高)の右前適時打で2対3と追い上げる。
◆7回表、先頭の6番・加賀美祐樹(2年・東海大甲府高)が死球、7番・田中貴也(八重山商工高)の犠打で一死二塁。二死後、9番・平井慎也(3年・富士学苑高)の死球で二死一二塁。主将の1番・高田千暉(3年・木更津総合高)のレフト線に2点適時二塁打で4対3と逆転する。
◆7回裏、エース・高梨裕稔(3年・土気高)をマウンドに上げた。高梨は5番打者を見逃し三振、6番打者を空振り三振に、7番打者を一塁ライナーに仕留める。
◆9回裏、エース・高梨が先頭の2番打者に左前安打され、3番打者の犠打で一死二塁。4番打者を中飛に打ち取り二死二塁。前打席で見逃し三振に打ち取っている5番打者を敢えて歩かせ二死一二塁。前打席で空振り三振に打ち取っている6番打者と真っ向から勝負し、やはり空振りの三振に斬って取り、勝ち点4一番乗りを果たし2年連続2回目の関東大会出場を決めた。
□7回表の二死一二塁、レフト線に2点適時二塁打を放ち4対3と逆転打した
主将・高田千暉(3年・木更津総合高)は「春、抑えられていた投手だったので、正直、打たないと不味い、ここで打たないと終わりだなと思い、プレッシャーの方が大きかった」と表情を硬くした。「日頃メンバーに入っていなくて、一生懸命手伝ってくれている仲間のためにも、4年生のためにとか、色々な思いを込めて、プレッシャーを跳ねのけて打席に入った」と、「インコースやや高目の真っ直ぐを打った時は、抜けたと確信しホッとした」と胸をなでおろして見せた。勝ち点4と現在トップだが「明日、白鴎が負けない限りないので」と複雑な表情を浮かべ、もし優勝できれば「初優勝なので4年生にはプレゼントになるので嬉しい」と言いながらも他力本願なので表情は浮かばない。「関東で頑張ります」と笑顔で終えた。
□1回表満塁で点が入らず嫌なムードの中で、それを吹き飛ばす3回表に初打点を奪った5番・菊池紳弥(3年・学法石川高)は「二死一二塁の2ー1、3点ビハインドだったので、どんな形でも、どんな当たりでも、とにかく1点が欲しかったので、気持ちで打とうと思い打席に立った」。「外より低目の真っ直ぐに食らい付き、全然当たりは良くなかったが、上手く拾えて左前に落ちてくれたので良かった」と満面に笑みを浮かべた。関東大会に向けて「去年、関東で城西国際戦で負けたのは、自分がことごとく打てずにブレーキになっていたので、昨年に比べて調子もいいので残りの期間でさらに向上させて、関東でリベンジしたいと考えていたので必ず関東でかえしたい」と闘志を燃やしていた。
□3回裏3対1からリリーフしストレートと多彩な変化球で4回をゼロ点に抑え勝ち投手になった山田祐也(3年・山梨学院高)は「松尾が得点を奪われていたので、心の準備はできていた」と動じない。交代を告げられたとき「自分が立て直せば、まだどうにかなると思いマウンドに上がった」と振り返り、「このリーグ戦は、チームに何も貢献できていなかったので、これが最後のチャンスだと思い、自分にプレッシャーをかけて臨んだ」と精神力の強さをうかがわせる。投げては「ストレートと多彩な変化球で勝負した」とゼロ点に抑えチームの窮地を救った。関東大会に向け「昨年の関東大会では2イニング投げゼロ点に抑えた」と振り返り、「横浜スタジアムでの登板機会があれば投げてみたい」、「監督さんとフォームの改造を行っていて、今日ストレートがMAX141出たり、変化球も良いので改造したフォームがしっくりきているので、是非、投げてみたい」と目を輝かせた。
□エース・高梨裕稔(3年・土気高)は「松尾と山田が粘り強く投げていたので、逆転した時には自分がマウンドに行って、何としても抑えてやろうと思った」と勝利への執念をうかがわせた。「真っ直ぐが走っていたので、3回なので全力で一球一球思い切り投げていった」と振り返った。9回先頭打者に安打され犠打で一死二塁と得点圏にランナーを背負ったが「一点もやらないという強い気持ちで」とにかく、一球一球に渾身の力を込め「4番打者を中飛に打ち取り」二死一二塁として、前打席で見逃し三振に打ち取っている5番を迎え、あえて「捕手のサインで5番打者を歩かせ、気持ちで6番打者と勝負し空振りの三振に抑えた」と安堵した表情で振り返った。「チームには春、投げられずに迷惑をかけたので、そのぶん秋に頑張れて良かった」と笑顔で応えた。「関東ではエースの自覚を持って、自分が投げる時には絶対負けないと、思わせるぐらいの気概を持って臨みたい」と真顔で述べた。
□高橋一三監督は「ご苦労さん。うちは野球部全員が一丸となりチームとして戦って来た。ゲームに出ている選手だけでは勝てない。出ていない選手が練習の中で色々と協力してくれたり、試合でも確り応援したりして、皆でこのチームを作ってきた。このことが最後の最後になって関東大会出場という実を結んだ。今日も序盤3点リードされても、ベンチとスタンドが一体となって、粘り強くチーム全員で戦ってくれ逆転できた。この関東大会出場はチーム全員で勝ち取ったもの、この結果を全員に喜んでもらいたい」と野球部員を労った。
□伊藤彰コーチは「ナイスゲームだった。白鴎に負けてから一つも勝ち点を落とせない、厳しい状況で、お前たちがやってのけた。今日の中盤のビハインドのところ『見事な攻撃だった』『見事な集中力だった』『見事な応援だった』チームが一つに成らなかったら、最後の逆転、3回からのゼロの抑えもなかった。関東大会横浜スタジアムには去年の借りがある。このメンバーで1日でも長く野球をやろう。一丸となって、この状況から勝ち取った関東出場、この勢いを関東大会でぶつけよう。去年を越えて行こう。それだけの経験をしてきたはずだし、力をつけてきた。チームが一丸となれば力が発揮できることを経験し身につけた。関東大会でもチームが一丸となり、一つ一つ峠を越えて、神宮を目指し 、神宮に行くぞと気概を持って戦おう」と労うとともに関東大会に向け部員の気持ちを喚起した。
□主将・高田千暉(3年・木更津総合高)は「応援の皆さんありがとうございました。メンバーだけでは絶対無理だったので感謝します。日頃から手伝ってくれた皆さんのおかげだと思っています。関東のメンバーはまだ決まっていないので切磋琢磨して、お互いがレベルアップして関東に向けて頑張りましょう。関東大会では全員で力を合わせて戦い、神宮を目指しましょう」と関東大会出場決定を部員全員で噛み締めながらも、すでに関東に向けて全員が一丸となり始動していた。
□関東大会は11月1日から4日間で横浜DeNAベイスターズのホーム球場「横浜スタジアム」で行われる。
文(H.K)、カメラ(小池裕太)
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