山梨学院パブリシティセンター
大学グレコローマン選手権 最終日
~主将の84㎏級鈴木友希ついに悲願の初優勝達成~
~120㎏級金澤勝利3位、96㎏級中村風太5位~

平成24年度全日本大学グレコローマン選手権大会2日目(最終日)の19日、東京・駒沢体育館で重量級3階級の戦いが行われた。山梨学院大からは84㎏級鈴木友希、96㎏級中村風太、120㎏級金澤勝利の3人が出場した。このうち、いつもあと一歩のところで優勝を逃して来た主将の鈴木友希が"4年の秋"最期のグレコ選手権で、ついについに悲願の初優勝を達成させた。誰よりも一番練習しながら、誰よりも多く悔し涙を流して来た鈴木の頬を、レスリング人生初めての嬉し涙が伝った。120㎏級の金澤勝利は2冠と大会2連覇を狙ったが準決勝で敗れ3位となった。96㎏級の中村風太は1階級上げての出場だったが、健闘して5位に入った。山学大の成績は、優勝1人、準優勝1人、3位2人、5位1人、団体戦は昨年と同じ4位で秋の陣グレコ選手権を終えた。
≪ 84㎏級 鈴木友希(4年 青森・八戸工大一)≫
鈴木友希と金澤勝利が中学生だった頃は、総合格闘技の全盛期だった。2人はヒーローの山本キッドに憧れ、キッドの母校でレスリングに励み、将来は総合格闘技家になりたいと山学大に入学した。鈴木は苦しい道を歩んで来た。実力で勝りながら、勝利目前で勝ちをスルリと逃がしてしまうことが多く、タイトルとは無縁の4年間を過ごして来た。この夏のインカレでは決勝まで進んだが、チャレンジの押収の末に横澤徹(拓大)に僅差で敗れた。向かえた"4年の秋最後のグレコ選手権"では、1回戦から実力を発揮し順調に勝ち上り、再び決勝に進出した。対戦相手は、夏のインカレで惜敗した因縁の相手横沢徹、リベンジを胸にマットに上がった。1Pは両者ポイントなしから30秒のグランドの攻防に入り、赤の鈴木が上からの攻撃、渾身の力でローリングを決め1Pを取った。続く2Pも両者ポイントなし、今度は鈴木が守りの体勢、懸命に30秒間耐えた。守り切った鈴木が2Pも取り2-0で勝利、ついに無冠を返上、悲願の初優勝を獲得した。鈴木の頬をそっと嬉し涙が伝った。あと一歩の所で勝利を逃し、悔しさをこらえる鈴木を4年間見守って来た筆者の目からも嬉し涙が溢れ出て来た。よかった、何度も心 が折れそうになっただろうに、歯を食いしばり、誰よりも一番多く練習に取り組んだ努力が報われた。試合直後の鈴木友希選手が発したのは「嬉しいです、初めて勝てた、辛かったです」たった三つの言葉だけだった。ただ、その声には万感の思いが込められていた。4年間の思いを凝縮させた、とても重い言葉だった。おめでとう、鈴木友希。

≪ 120㎏級 金澤勝利(4年 岩手・種市)≫
金澤勝利は、1年で96kg級全日本大学選手権王者になり、3年の時に120kg級に上げてグレコ選手権で優勝、4年夏のインカレでフリーとグレコの両方を制して2冠に輝いた。同じように総合格闘技に憧れた鈴木友希が苦しい道を歩んだのに比べると、金澤は日の当たる道を歩いて来たように見えるが、苦しい時の方が長かった。1年生王者に輝いた後、2年から勝てなくなり、スランプでどん底に落ちた時もあった。高田監督の助言で3年夏に120kg級に階級を上げ、減量に苦しまなくなり再び勝てるようになった。インカレでフリーとグレコの2冠を制覇したのに続き、大会2連覇を目指した。しかし、準決勝で村木孝太郎(拓大)に敗れ、敗者復活戦に回った。敗復では柴田耀(日体大)を 圧倒して3位となった。金澤勝利選手は「インカレを取ったのだから、今日も取らなければいけなかった。村木も弱くはない相手、1Pはローリングで返せたが、2Pを取られ、3Pはボールピックアップ後に守り切れなかった、悔しい。天皇杯では勝って優勝したい」。敗れた村木へのリベンジを誓った。

≪ 96㎏級 中村風太(3年 千葉・佐倉南)≫
中村風太は84kg級の選手だったが、先輩の鈴木友希と後輩の亀山晃弘(2年 群馬・大泉)に次ぐチーム内3番手だったため、団体戦に出場する機会に恵まれなかった。この大会から思い切って1階級上げ、96kg級で戦うことにした。対戦相手は、自分より一回り大きい選手ばかりだったが、非常にいい戦いをした。予備戦で鈴木勝一(東洋大)を下し、1回戦でインカレ2位の米平安寛(日体大)を下し、準々決勝で横井健人(中京学院大)を下し、準決勝に進出した。準決勝ではインカレ3位で昨年2位の赤嶺希(青学大)に敗れ、3位決定戦に回った。3決で須惠勝貴(桃山学院大)に敗れたため5位となったが、自分より大きい選手ばかりを相手に善戦した。中村風太選手は「大学でやるつもりはなかったが、高校最後の選抜大会フリーで3位になり、声を掛けて頂いてやってみる気になった。現在の体重は88㎏、力は通用したが、体力がまだ足りない。もっと体重を上げて、96kg級で堂々と戦える選手になりたい」と飛躍を誓った。

試合後、選手を集めた高田裕司監督は「グレコは、返すか守り切るかの二つしかない。鈴木友希は高校時代はフリーしか知らなかったが、練習を重ねてチャンピオンになった。攻めと守りに自信を持てるようになれば勝てるチャンスが来る。しっかり練習するように」とアドバイスした。小幡邦彦コーチは「3年生以下は、練習で自分に足りないのは何かを見つけ、乗り越える練習をするように」と来季に備えるよう指示し「4年生は次の内閣総理大臣で優勝するように、天皇杯で勝つように」とラストチャンスでの挑戦を促した。

団体戦最終結果、
1位、拓殖大、2位日体大、3位早稲田大、4位山学大、5位国士舘大、6位青学大、7位東洋大、8位法政大

文(M.Ⅰ) カメラ(平川大雪)
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