山梨学院パブリシティセンター
総合図書館に蔵書を寄贈
~秋尾暢宏氏から収集314冊の贈呈受ける~
~北朝鮮関連書籍コーナー「秋尾文庫」開設~

ライフワークで収集した貴重な書籍が、山梨学院総合図書館に寄贈され、10月31日に寄贈図書贈呈式が行なわれた。寄贈して頂いたのは、博報堂退職後、日本ペンクラブの事務局長を務め、阿刀田高新山梨県立図書館長の就任に尽力された秋尾暢宏氏、県立図書館から総合図書館に寄贈受け入れの打診があり、秋尾氏と総合図書館が協議し実現された。寄贈図書は、すべて北朝鮮関連の図書で、書籍・雑誌合わせて314冊。北朝鮮政府関連の出版社から発行された図書もあり、現在では入手困難な1960年代から80年代の希少図書も含まれている。全国の大学図書館の中でも所蔵館は少ない貴重な資料。贈呈式で秋尾暢宏氏から古屋忠彦学長に寄贈図書目録が贈られた。総合図書館は一般開放もして おり、2階西側の一角に「秋尾文庫」を開設、学生や教職員だけでなく、県民のためにも活用したいとしている。
寄贈図書贈呈式は、31日に館長室で行われた。最初に上條醇総合図書館長が、秋尾氏のプロフィールと寄贈に至る経過を紹介した。秋尾暢宏(あきお のぶひろ)氏は1939年生まれ、広告代理店博報堂在職中は、PR局・文化事業局などで自治体広報・広告・イベントなど幅広い業務を担当。定年退職後は、タイ・ラオス・カンボジアの恵まれない子どもたちへの奨学金や学校建設を支援する日本民間交流センター諮問委員として現在も活躍中。また、日本ペンクラブの事務局長を2007年まで8年間務め、梅原猛・井上ひさし・阿刀田高の3代の会長を補佐した。11月11日に開館する新山梨県立図書館の館長に阿刀田高氏が就任するのに尽力、山梨を訪れる中で、自身がライフワークとして収集 したコレクションが、山梨における北朝鮮研究の一助になればと考え、寄贈の運びとなった。

秋尾暢宏氏は「自称北朝鮮ウォッチャーで、本屋さんだけでなく、色々なセミナーや勉強会に行き、機会があるごとに本を購入しました。93年と98年に北朝鮮に行き、金剛山へも登ってきました。現地で買ってきた本もあります。キャンパスで学ぶ学生さんたちが、北朝鮮と東アジア全体を俯瞰的に見て、こういう国もあったんだと知る一つの研究素材にはなると思います。研究資料として活用して頂くことを願っていますし、若い学生の皆さんが、国際関係とか東アジアに関心を持つ一つのきっかけになってくれればと願っています」と挨拶した。古屋忠彦学長は「本学は、大学が創設されて66周年目にあたるいわば中堅の私学です。図書館というものが、大学の命のような時代が長く続きました。近年は、時代が変わり、蔵書数を誇る時代ではなくなりましたが、学生が自ら学ぶ中心の場であることに変わりはありません。力を合わせてライブラリーを充実させていくことが、ご寄付頂く秋尾様への恩返しになると思います。是非、時々は遊びにいらして頂きたい」と御礼を述べた。

寄贈された図書は、北朝鮮に関する書籍266冊と雑誌「現代コリア」全巻の合計314冊。朝鮮近代経済史が専門の宮塚利雄経営情報学部教授は「私が持っていないもの、見たいものがたくさんある。特に資料集は非常に貴重なものばかり。また、北朝鮮専門の研究誌で現在は絶版の月刊誌[現代コリア]が全冊揃っているのは非常に珍しい。研究者にとっては資料価値の高いものばかり」と語っている。上條醇総合図書館長は「日本社会は視野が非常に狭くなっているが、学生たちにはグローバルな感覚を是非持ってもらいたい。近くて遠い国の北朝鮮のことについても、しっかり勉強してもらいたい。また、地域の方々にも開放し、学生や教職員だけでなく、県民の皆様にも利用して頂きたい」と秋尾文庫の活用を呼びかけている。

文・カメラ(M.Ⅰ)
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